十話 影武者「本物がざまぁされたので、今日から私が本物ということでよろしいか?」

 十話 影武者「本物がざまぁされたので、今日から私が本物ということでよろしいか?」

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「ケレス・アルベード。俺は、ここに……貴女との婚約を破棄する」


 きた。

 悪役令嬢の登場する乙女ゲームならお約束のシーンで、作中最も盛り上がるポイント。

 うざったっかった公爵令嬢への、婚約破棄。

 まさにスカッとするような、ざまぁ展開。


 原作でも、途中でゲームオーバーでもしない限りは必ず通る強制ルート。

 裏話として語られたことなのだが、仮に主人公が途中でゲームオーバーになっても公爵令嬢は婚約破棄されるらしい。


 ケレスの、ここまでの悪役令嬢としての徹底ぶりはびっくりだ。


 実際今回も、もしかしたらざまぁされない可能性もあるんじゃないかなんて思ってたけど、しっかりこの展開に持ってくる。

 これは持って生まれた才能以外の何物でもないね。


 結局ざまぁは避けられなかったわけだけど、避けられないとわかっているならヒットしても何の問題もない。


「さて、そろそろ行きましょうか」


 鈍い音をたてて、大きな扉がゆっくりと開いていく。

 きらびやかなパーティー会場、思い思いに着飾った貴族たち。

 彼らの視線が一斉に私に突き刺さる。


 そして中央には王子とケレスが……


 ああ、ケレス。

 久しぶりだね。

 そんなかわいい顔しちゃって、もっといじめたくなっちゃうじゃない。


「あらあら、皆様。そんなよってたかって、私のかわいいメイドをいじめないでもらえるかしら」


 本物がざまぁされたので、今日から私が本物ということでよろしいか?


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 公爵令嬢が二人!?


 はじめパーティーにいた彼女は偽物だった。


 いつ入れ替わったの?


 パーティーのはじめ、彼女と会話してた彼(王子)は特に違和感を覚えたようすはなかった。

 どれだけうまくなり切ろうと、騙すなんて無理だ。

 仮にも婚約者同士だし、最近は学園でもよく顔を合わせてる。

 めったにあってなかったらしい、1年以上前ならともかく……


 そういえば、彼と彼女がよく合うようになったのって、彼女が私をいじめて王子が止めたからで……

 そういえばあの時、明らかに彼女が変わってた。

 何か心境の変化でもあったのかと思ったけど、心境どころかごっそり中身事入れ替わった?


 いや、まさか。

 でも……


 私は、私たちは偽物相手にここまで苦戦したの?

 国を危うく乗っ取られそうになって、彼にプライドを捨ててもらってなりふり構わず手を尽くして。


 あ、まずい。

 貴族たちは、上級貴族たちは私たちがなりふり構わず動いたのを知ってる。

 それをこんなきれいに返されたら。


 盤面がひっくり返る。

 私と彼が一手一手指して詰んだ盤面が、きれいに180°回って……


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 今話で第3章原作編完結します。

 少しでも続きが気になる、面白いと思っていただけましたら『『フォロー』『評価』よろしくお願いします。

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