第17話 隠し部屋
種族:エルダーコボルト
レベル:28
スキル:〈剣技+3〉〈噛み付き+3〉〈遠吠え+2〉〈怪力+2〉
Q:エルダーコボルトって?
A:コボルトの上位種。レベル25以上で進化する可能性がある。
最下層である第六層で俺たちを待ち構えていたのは、並みのコボルトの三倍くらいはあるだろう巨大なコボルトだった。
コボルトやコボルトリーダーたちを従え、一斉に襲い掛かってくる。
そのとき、天井からエルダーコボルトの頭に大きな塊が降ってきた。
「ッ!?」
『……!』
コボルトの死体を食べまくり、ちょっとした岩並みの大きさにまで成長したスラぽんが、エルダーコボルトの頭部を覆い尽くす。
スラぽん
種族:グラトニースライム
レベル:17
スキル:〈物攻耐性〉〈自己修復〉〈吸収+3〉〈触手攻撃+1〉
称号:暴食生物
状態:テイム
「……ッ? ッ!?」
いきなり視界と呼吸を奪われ、エルダーコボルトはかなり慌てている。しかも〈吸収+3〉スキルによって、スラぽんはエルダーコボルトの頭を溶かそうとしていた。
上手くいったな。あらかじめスラぽんには天井に貼り付いてもらっておき、エルダーコボルトが通過するタイミングで落下してもらったのだ。
エルダーコボルトはスラぽんの身体を殴りつけるが、〈物攻耐性〉と〈自己修復〉を持つスラぽんに効果は薄い。引き剥がそうとしてもしっかり噛み付いているから叶わない。〈噛み付き+2〉のスキルがあるしな。
スラぽん
スキルアップ:〈物攻耐性〉→〈物攻耐性+1〉 〈自己修復〉→〈自己修復+1〉
お、スキルの段階が上がったぞ。スライムだからか、この二つのスキルは熟練値が上がりやすいようだ。当然、その分、俺にもがんがん熟練値が入ってくる。
「ニーナ、雑魚は任せた!」
「はいなのです!」
コボルトリーダーたちはニーナに任せ、俺はエルダーコボルトに躍りかかる。
鋼の剣を振るい、また火魔法も使いつつ、この鉱山のボスとも言える強敵にダメージを与えていく。
〈神眼〉が〈神眼+1〉になってから、相手の急所を見極めるのが上手くなった気がする。たぶん〈神眼+1〉に内包されている〈慧眼〉というスキルのお陰だろう。
「ギャアアアアア!」
エルダーコボルトが断末魔の声を上げて倒れると、後は楽勝だった。
スラぽんにエルダーコボルトの死体を〈吸収〉してもらっている間に、俺とニーナで他のコボルトたちを一掃する。
「スラぽん、大きくなったのです……」
エルダーコボルトの死体を取り込んだスラぽんは、もはや俺の身長より高くなっていた。容積はすでに俺の数倍はあるだろう。
「謎の物理法則で小さくなれないのか?」
『……?』
念話で訊いてみるが、ぷるぷると不思議そうに身体を揺らすだけだ。このまま永久に成長し続けられたら、街に入ることすらできなくなるかもしれない。
「まぁそのうち何とかなるだろ」
とりあえず考えても妙案は思いつかないので、問題は後回しにすることにした。
エルダーコボルトを倒してしまったし、この鉱山にはもう用はない。明日からは上級冒険者たちが狩り場にし、オークが巣食うという山にでも行ってみるとしようか。
そして立ち去ろうとしたときだった。
「ん……ここ、何かあるな」
壁の一部に違和感を覚え、俺は足を止めた。
・隠し部屋。
〈神眼〉で鑑定してみると、隠し部屋があるらしい。
だが色々と試してみたが、壁はかなり硬く、破壊することはできなかった。剣で斬ったら剣の方が折れそうだ。
「ツルハシがあれば何とか壊せると思うのです……」
「よし、ツルハシを買おう」
決断は早かった。当然だろう。こんなところに隠し部屋に見つけたんだ。奥にはきっと貴重な宝が隠されているはず。きっと。たぶん……。
俺たちはいったん街に戻った。市場で一番高価なツルハシを買う。
・ドワーフのツルハシ:ドワーフが装備すると採掘技術が向上する。
ニーナにピッタリな装備だ。ちな、金貨1枚。
押っ取り刀で再び鉱山へ。そして最下層へ。道順は完璧に覚えているので、コボルトどもを蹴散らしつつ、一時間もかからずに隠し部屋のところまで辿り着くことができた。
「えいなのです!」
ニーナがツルハシを振るう。良い音が鳴って、壁に深く突き刺さった。
ニーナ 15歳
種族:ドワーフ族
レベル:21
スキル:〈採掘+2〉〈投擲+1〉〈忠誠〉〈怪力+1〉
称号:駆け出し冒険者
装備の補正のお陰か、一時的に〈採掘+2〉になっているな。
ニーナが何度もツルハシを叩きつけ、順調に壁を削っていく。
レイジ
スキル獲得:〈採掘〉
ニーナ
スキルアップ:〈採掘+1〉→〈採掘+2〉
なんか俺まで〈採掘〉スキルを獲得したんだが。やっぱりドワーフだからか、熟練値の入る量が大きいんだろう。
小さな身体で大きなツルハシを振るうニーナは、やけに楽しそうだった。俺が持っていても仕方ないので、〈賜物授与+1〉を使って〈採掘〉の熟練値はすべてニーナに還元しておく。
やがて、ツルハシが壁の向こう側に突き抜けた。
「もう少しなのです!」
汗を散らしながら叫ぶニーナ。
そしてついに人が一人通れるくらいの穴が開いた。
「何が出るか分からない。注意しろよ」
「は、はいなのです」
俺たちは部屋の中へと踏み込んだ。
「こ、これはっ……」
・聖銀鉱:ミスリルの原料となる鉱石。稀少度アンコモン
・聖銀鉱:ミスリルの原料となる鉱石。稀少度アンコモン
・聖銀鉱:ミスリルの原料となる鉱石。稀少度アンコモン
・聖銀鉱:ミスリルの原料となる鉱石。稀少度アンコモン
・聖銀鉱:ミスリルの原料となる鉱石。稀少度アンコモン
・聖銀鉱:ミスリルの原料となる鉱石。稀少度アンコモン
・聖銀鉱:ミスリルの原料となる鉱石。稀少度アンコモン
・聖銀鉱:ミスリルの原料となる鉱石。稀少度アンコモン
・聖銀鉱:ミスリルの原料となる鉱石。稀少度アンコモン
・聖銀鉱:ミスリルの原料となる鉱石。稀少度アンコモン
・聖銀鉱:ミスリルの原料となる鉱石(高純度)。稀少度レア
・聖銀鉱:ミスリルの原料となる鉱石(高純度)。稀少度レア
そこには大量の稀少鉱石が……っ!
「こ、こんな量の聖銀鉱、見たことないのです!」
鉱山奴隷だったニーナが驚愕している。
「何でこんなところに隠されていたんだ……?」
理由は分からない。だがここはすでに廃鉱山だ。誰の所有物でもない。つまり、
「俺のものだぁぁぁぁっ!」
「ご主人さま!?」
おっと。つい金に目が眩んでしまったみたいだ。
「とにかく、ここに鉱石が隠されていたなんて誰も知らない。つまり、すべて俺たちのものにしても何の問題もないということだ」
だがそこで気が付く。こんな大量の鉱石、どうやって持ち帰ればいいのか?
「ニーナ。悪いんだけど、ここでスラぽんと一緒に待っていてくれないか?」
「え? は、はいなのです」
『……?』
俺一人で全力で走るのが一番速い。
幸い、もう夕方だ。この時間に最下層まで降りてくる奴なんていないだろう。
それから俺はまたファースの街に戻り、すでに営業が終わりかけている市場へと駆け込んだ。
そして、今まであまりに高くてなかなか手が出せなかった魔法道具を購入する。
・アイテムボックス:収納用魔法道具。亜空間に繋がっている。収納スペース=10メートル×10メートル×10メートル。希少度レア。
ゲームなら初期装備だが、残念ながらこの世界はそんなに親切じゃなかった。
今回は収納口拡張機能もついていて、お値段なんと……金貨30枚! うわ高い!
そもそもこのアイテムボックス、王都にいる凄腕の魔導技師にしか作ることができないようで、かなり貴重なものらしい。
俺は手に入れたアイテムボックスを抱え、また鉱山へ。疲れる!
「あれ、レイジくんっ!?」
途中でリザたちに遭遇して驚かれたが、今は彼女たちに構っている暇はない。
俺は鉱山最下層まで全力疾走した。
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