第12話 伯爵家の三男坊(勘当中)
バルドックたちと別れた後も、俺たちは第四層でコボルト狩りを続けた。
レイジ
スキルアップ:〈献物頂戴〉→〈献物頂戴+1〉
おお、〈献物頂戴〉の段階が上がったぞ!
Q:〈献物頂戴+1〉って?
A:信者が自らの力で得た経験値、および熟練値の一部を獲得できる神固有のスキル
熟練値というのはスキルの熟練度合のことだ。そのスキルを使用すればするほど上昇していき、一定の熟練値に到達すると+が上がっていく。
例えば〈剣技〉スキル。熟練値100で〈剣技〉を獲得し、熟練値200になれば〈剣技+1〉、熟練値400で〈剣技+2〉となる、といったイメージだ。
Q:熟練値の一部って、具体的にはどれくらい?
A:獲得熟練値×信仰度
つまりニーナが〈投擲〉を使って熟練値100を手に入れたとすれば、100×0.85=85の熟練値が俺にも入ってくるということらしい。
もちろん、リザやバルドックたちが獲得した熟練値も同様だ。熟練値は経験値より入りにくいので非常に助かる。俺が持ってないスキルも結構あったし、そのうち何もしなくても獲得できるということだ。
スキルにおける熟練値の入り方は種族や才能によって大きく異なる。
例えば、俺はあまり回復魔法が得意な方ではないらしく、使ってもなかなか熟練値が上がらない。使う場面も少ないしな。
だが回復魔法が得意でどんどん熟練値が入ってくるような信者がいれば、そうした才能の乏しさや機会の少なさをカバーしてもらえるということだ。
「ご主人さま、どうしたのです? 何だか嬉しそうなのです」
「ニーナと一緒に冒険できるのが嬉しいんだよ」
「ひぇっ? そそ、そうなのです!?」
顔を真っ赤にして慌てるニーナを後目に、俺は内心でほくそ笑む。
よぉし、もっと信者を増やしていくぞ。
◇ ◇ ◇
レイジ 0歳(24歳)
種族:人間族(ヒューマン)(邪神)
レベル:19
スキル:〈神眼+1〉〈神智+1〉〈献物頂戴+1〉〈賜物授与〉〈死者簒奪+1〉〈物攻耐性+3〉〈自己修復+3〉〈突進〉〈剣技+2〉〈逃げ足〉〈槍技〉〈木登り〉〈怪力〉〈毒耐性〉〈盾技〉〈勇敢〉〈動体視力〉〈俊敏+1〉〈統率〉〈火魔法+2〉〈風魔法〉〈回復魔法〉〈杖技〉〈噛み付き+2〉〈遠吠え〉〈吸収+3〉〈触手攻撃+1〉〈投擲〉
称号:神殺しの大罪人 中級冒険者(Dランク)
ニーナ 15歳
種族:ドワーフ族
レベル:18
スキル:〈採掘+1〉〈投擲+1〉〈忠誠〉〈怪力〉
称号:駆け出し冒険者(Eランク)
バルドックたちを助けた翌日。この日も鉱山に潜ってコボルトたちを虐めた俺たちは、夕方にファースの街へと戻ってきた。
俺のレベルは19に、ニーナのレベルは18にまで上がっている。
火魔法をかなり積極的に使ったこともあり、〈火魔法+1〉が〈火魔法+2〉になった。また、ニーナ経由で〈投擲〉の熟練値を獲得したらしく、俺も〈投擲〉スキルを覚えてしまった。
この日の戦果を報告するため、俺たちは冒険者ギルドへと足を運んだ。この時間になるとギルド内に設けられた酒場が盛況で、いつも大勢の冒険者で賑わっている。
受付へ向かうと、ちょうどセルカさんが冒険者の対応をしているところだった。
ルバート=セオドロス 25歳
種族:人間族
レベル:22
スキル:〈剣技+2〉〈盾技+2〉〈俊敏+1〉〈動体視力〉
称号:上級冒険者(Cランク) 伯爵家の三男坊(勘当中)
悪趣味な装飾過剰な鎧に身を包んだ青年だと思ったら、貴族なのか。しかし三男坊じゃあ家を継ぐことはできないだろう。いや、そもそもこいつ、勘当されてるじゃねぇか。
・ミスリルソード:片手剣。稀少度アンコモン
・ミスリルシールド:盾。稀少度アンコモン
・ミスリルプレート:鎧。稀少度アンコモン
しかし金だけは持っているのか、装備はミスリルシリーズで固めてやがる。
Q:ミスリルって?
A:魔力を帯びた稀少金属。強度は鋼以上で、加工には特別な技術が必要。
俺もあの装備、欲しいんだけど高いんだよなぁ……。
ルバートの後ろには、二人の取り巻きらしき男たちがいた。
グース 26歳
種族:人間族
レベル:21
スキル:〈体術+2〉〈怪力+2〉
称号:上級冒険者(Cランク)
エリク 21歳
種族:人間族
レベル:16
スキル:〈魔物調教+2〉〈念話〉〈逃げ足〉
称号:中級冒険者(Dランク) モンスターテイマー
グースは筋骨隆々の巨漢で、エリクは逆に貧相な身体つきの青年だ。
「綺麗だろう? これは幸せを呼び込むとされる虹晶石さ。きっと君のことを護ってくれるはずだよ」
ルバートは気障な笑みを浮かべながら、宝石付きの指輪をセルカに渡そうとしていた。
・|幸運の指輪(フォーチューンリング):稀少度アンコモン。幸運値が上昇する。
「あの……困ります。仕事中にそういった個人的な贈与を受けるのは禁止されてますので……」
「ああ、そうだったね。じゃあ勤務後はどうだい? もうすぐ終わる時間だろう?」
「いえ……今日は少し残業があって、何時に終わるか分からないので……」
婉曲的に断ろうとしているが、ルバートは引き下がらない。
「それなら酒場の方で待っているよ」
「えっと……」
1.関わっても面倒だ。見て見ぬふりをする。
2.ぶっちゃけ面倒なのだが、セルカを助けると信仰度が上がりそうなので助ける。
3. あくまで純粋無垢な善意からセルカを助ける。
もちろん3だ。……本当に3だよ? 2じゃないよ?
「セルカさん」
「あっ、レイジさん!」
俺が横から声をかけると、こっちを向いたセルカがパッと顔を明るくした。
・セルカ:信仰度25%
前に〈神眼〉で確認したときは15%だったのに、なぜか10%も上がっている。何があったのだろうか?
「聞きましたよ! バルドックさんたちの危機を救って下さったんだって!」
なるほど。それでか。
「それに、リザさんたちのパーティも! みなさん、本当に感謝されてましたよ!」
彼女は美人なだけでなく、人当たりも良くて冒険者たちから好かれているし、きっと冒険のときの話を聞かされることも多いのだろう。そのせいで変な虫が付くこともあるようだが……。
「……へぇ、君が噂の新人君か」
いきなり割り込んでこられて、ルバートはひくひくと唇の端を痙攣させていた。
「彼女とは僕が話をしていたんだが?」
「えっと……バートルさんでしたっけ? Dランク冒険者の」
「ルバートだ! それに僕はCランクだ!」
「すいません。まだ加入したばかりで、ある程度、実績のある人の名前しか覚えきれてないんです」
「……Cランクは上級冒険者っ……十分な実績がある者しか辿りつけないランクだぞ……っ!?」
ルバートの額に青筋が浮かび上がる。
「へー、そうなんですねー。……ところで、セルカさん。約束していた今日のこと、大丈夫そうですか?」
「……え?」
もちろんそんな約束なんてしてない。
だが、セルカは俺の意図を察してくれたようだ。
「あ、はい! 少し残業があるんですけど、どうにか……」
忌々しげに顔を歪めるルバートへと視線を戻し、俺は告げた。
「という訳で、ルビート先輩。申し訳ないんですが、セルカさんには先約があるので今日は無理です」
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