第14話 メテシュシス
「綺麗······。とても綺麗です」
中央広場まで連れ出され、やっと思い出しました。
噴水を中心に
今日から3日間、ご先祖様の
「今日からだったのですね。すっかり忘れていました」
「みたいだね。フルールと来たくて楽しみにしてたんだ。おじゃま虫もついて来ちゃったけど」
「僕の事だったら気にしないでぇ。いないと思ってくれていいからぁ。えへへぇ」
「いえ、そんなのダメです。もちろんアズ様もご一緒に、皆で楽しみましょう!」
「わーい、やったぁ」
「やっぱりこうなるよね。アズ、狙ってただろ」
「なんの事かなぁ。僕だってフルールちゃんと遊びたいんだよぅ。
「はぁ······、仕方ないなぁ。でも、フルールと僕の
「はいはぁい、わかってますよぉ。じゃぁ、まずは
「おふたりとも、あちらをご覧下さい! フワフワです! あっ、あそこに焼きもろこしと
ラーファ様とアズ様は顔を見合わせて、クスクスと笑ってらっしゃいました。
「フルールが楽しそうで何よりだよ。僕も一緒に買いに行くから、アズはここで場所取りね。じゃ」
「はぁい。行ってらっしゃ~い」
やってしまいました······。久しぶりのお祭りで、ついはしゃぎすぎてしまいました。
「ラーファ様は毎年来られるのですか?」
「ん~、何度か来たことがある程度かな」
「ご家族でですか?」
「うん。最後に来たのは2年前かな。あの時は妹が迷子になって大変だったよ」
「へぇ、妹······。えっ、ラーファ様、
「あれ? 言ってなかった?」
「初耳です。ラーファ様は一体、何人兄弟なのですか?」
「4人だよ。兄さん2人と妹が1人。1番上のエルミ兄さんは結婚して、アウスディースでのんびり家族で暮らしてるでしょ。2番目のアル兄さんはこの間会ったね。妹のウリルは今5歳。僕やアズが通ってる学院で博士号もらって薬の研究したり、やりたい放題やってるよ」
「え、待ってください。5歳と
「あはは······。そうなるよね。ウリルは物凄い天才児なんだよ。母さんからの遺伝。母さんも昔は凄い天才児だったらしいけど、それ以上なんだって」
「まぁ、1度お会いしてみたいです」
「そうだね。そういえば、タイミング悪くて1度も会えてないよね。今度会わせるよ」
「是非、よろしくお願いします」
「フルールは毎年来るの?」
「いえ。私も家族で何度か来たことがあるだけです。父は仕事がありますし、母は人混みが苦手でしたので。ですから、こうして連れてきていただいて、とても嬉しいです」
「喜んでもらえて良かった。連れ出してから、お父さんと行く予定だったらどうしようかと思って······」
「大丈夫ですよ。父はきっと最終日まで
「へぇ、あの櫓ってフルールのお父さんが造ってるんだ。毎年国の何処からでも
「わぁ! 美味しそうです。早くアズ様の所に戻りましょう」
色とりどりの雲の様なフワフワを持ってアズ様の所に戻ると、クトゥス様もいらっしゃいました。
ラーファ様があからさまに
「うわ······、増えてる」
「や~ぁ、ラーファ、フルールちゃん。君らも来てたんだね。会えて嬉しいよ~」
「僕たちは嬉しくない」
「もう、ラーファ様ったら。私はお会いできて嬉しいですよ。今日も警備ですか? いつもありがとうございます」
「フルールちゃんは優しいな~。これも国民の平和を守る
「憲兵の皆様のおかげで、国民が平和に暮らせるのだと思っております」
「いや~、ホントにフルールちゃんには心を洗われるよ。じゃ、俺はまだ仕事があるから行くわ。フルールちゃん、楽しんでね~」
「いつもながら、嵐みたいな奴だったね。フルールはクトゥスを甘やかしすぎだよ」
「あ、ラーファ
「別に、そんなんじゃないよ」
これは完全に拗ねてしまわれました······。と、良い物を思い出しました。
「ラーファ様、少々お待ちください」
「あっ、フルールどこ行くの?ちょっと待って······」
「すぐに戻りますから!」
「あ~あ、行っちゃったねぇ」
「確かこの
「お待たせしてすみません。これを、ラーファ様にと。受け取って······いただけますでしょうか······」
「これってアテルの羽?」
息を切らして戻った私は、ラッピングもしていないままの2本の首飾りを差し出しました。
小指の先程の天然石から、
「はい。ご存知でしたか。かつてこの世界に愛をもたらした天使アテル羽には永遠の愛が
「あ、ありがとう」
「あらぁ、ラーファったら照れちゃってぇ」
「うるさいなぁっ!」
「ラーファ様もこれで少しは安心してくださいますでしょうか。あっ、これが無くても安心していただいて大丈夫なのですが、やはり形としてあった方が良いかと思いまして」
「うん、フルールの事は信じてるよ。僕が子供なだけなんだよね······。ありがとう。大切にするよ」
ラーファ様は首飾りをしっかりと
ラーファ様に首飾りをお着けして、仕上げに羽にキスをしておまじない完了です。
「これで2人は
「なんだよ、アズ。
「えへへぇ。牧師みたいでしょぉ。絶賛、猛勉強中だからねぇ」
「アズ様は将来、牧師様を目指されているのですか」
「そうだよぉ。家が代々ねぇ。クトゥスと一緒。家の方針ってやつだよぉ」
「立派なご職業ではありませんか」
「僕ねぇ、あんまり家の仕事好きじゃなかったんだぁ。だって葬儀屋だよぉ。小さい時は気味悪がられてたし、メテシュシスも本当は家でお祈りしなくちゃいけないの。僕も大きくなって葬儀屋のやり甲斐とか知ったから、親の意向通り牧師を目指すことにしたんだけどねぇ。でもねぇ、たまにはお友達と過ごしてもいいかなぁって。明日からはお
「そうだったんですか······。でしたらなおの事、今日はとことん楽しみましょう! ね、ラーファ様」
「そうだね。今日だけね。今日だけ」
「わぁーい。じゃぁ今日はいっぱい遊ぶぞぉ!」
貴族には貴族の悩みというものがあるのですね。
ラーファ様にも悩みなどがおありなのでしょうか。私にできる事はなんでもして差し上げたいです。
お悩み相談会は後日開催するとして、今日はアズ様に楽しんでいただくのが最優先です。
そして、最終日の
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