第11話 贈り物




 皆さん、こんにちは。

 今日はラーファ様とドレス選びの日です。


 あまり高価な物は買えませんが、せっかくお招きいただいたのですからラーファ様のお隣に居て恥じぬような物にしなければと思います。と言いましても、ラーファ様が選んでくださるとのことなので、今日はお任せしたいと思います。



「やぁ、フルール。今日も可愛いね」

「ラーファ様、こんにちは。今日はよろしくお願い致します」

「うん! 任せて。さぁ、行こうか」

「はい!」


 ラーファ様に手を引かれて、さぁ出発です。




 ──シャッ


「ラーファ様······あの、これは······」

「それも可愛いな······。よし、決めた」

「あの、これだと少しお値段が······」


 大きな声では言えず、コソッとお伝えしたのですが······


「すみませーん。これとこれと、これも包んでください」

「えっ、ちょっ、ラーファ様、あの、えっと······」

「これは僕からのプレゼントだよ。これからちょくちょくパーティに呼ぶ予定だからね」

「そんな、こんな高価な物いただけません。ダメです。······え? ちょくちょく?」

「そう。ちょくちょくね。今日フルールのドレスを選びに行くって母さんに言ったら頼まれたんだよ。『うんと綺麗に飾らせて初めて自分の女だと豪語ごうごできるのです。』って。で、『我が家のパーティにお招きするのですから、ラーファが準備なさい』ってね」

「えー······っと、そういうものなのでしょうか······」

「さぁ? まぁ母さんの自論だけどね」

「ですがやっぱりこんなに頂く訳には······」

「いいんだよ。これを着て僕の隣に居てくれたら、それだけで嬉しいんだけどな」


 うっ······上目遣いはズルいです。


「そう······ですか。では今日はお言葉に甘えさせて頂きます」

「うん。じゃぁ次はこれを着てみようか♪」

「え······まだ着るのですか?」

「もっちろん。うちはパーティ大好きだからね〜」


 ひぇぇぇ。



 結局10着以上買って頂くことになってしまいました。······お会計は見ることができませんでした。


 お店を出て馬車に乗るとラーファ様がニコニコしながら小さな包みをくださいました。


「これ、受け取ってくれると嬉しいな」


 包みを開けるとお花のピアスが入ってました。き通った青色のトパーズ花びら、中心には黄色いガーネットをあしらえた、小さくて可愛らしいピアスです。


「わぁ、とても可愛らしいです。頂いてよろしいんですか?」

「もちろん。気に入ってもらえて良かった。それ、なんだかフルールみたいだなって思ったんだ」

「ありがとうございます! 私みたい······ですか?」

「うん。花びらがフルールの瞳の色と似てるでしょ? とっても綺麗だなって。何より可愛い」

「ほんとですね。私のと同じ······」

「ほら、次行こう。ドレスの次は装飾品えらばなくちゃ」

「えぇっ、まだ買うのですか!?」

勿論もちろん! さぁ、行くよ」


 ひ、ひぇぇぇ



 その後、装飾品と靴を買って頂き、髪を整えに連れて行かれ、家に帰ったのは夕飯の頃でした。


「ラーファ様、今日は本当に、ほんっっっとうにありがとうございました。こんなに沢山······申し訳ありません」

「どういたしまして。何言ってるの? まだまだ序の口だよ。じゃぁ、また明日ね。おやすみ。良い夢を」

「じょ、序の口······。お、おやすみなさいませ。お気をつけて。良い夢を」



 貴族とは恐ろしいです。生活感や金銭感覚の違いはなかなか慣れません。果たしてついてゆけるのでしょうか······(*´^`*)






✧︎ブルートパーズ

 精神の安定、集中力の向上、問題解決能力の向上、感受性や創造性の向上、etc······


✧ガーネット

 秘めた情熱、真実、友愛、勝利、変わらぬ愛、貞節、繁栄、etc······




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