資料13 第13節 及び第12節補足

  正礼暦二一一年○月○日

  エイダ・プラウス記


 叔父の知り合いはマンディ王国出身の商人で、今はセックトンランド王国を拠点にしているそうだ。三十代半ばと言っていたが若く見えるし、話も面白い。ついつい関係ない事まで話し込んでしまう。

 彼のおかげで第12節に出てきた、峡谷にある鉱夫の町についても色々とわかった。知識も豊富だし、そこからの推察も斬新。今後も相談に乗ってもらいたい が迷惑じゃないかな?



【土地/時期】

 正礼暦三七年の数年前と推測。つまり第12節の前。

 この時期のマンディは農作物の収穫量が下がり国力も低下していたそうだ。国王は侵略による回復を狙っていたらしく、数年後に侵略戦争を始める。

 ジョルジュ第一王子が公式の場に現れなくなった時期と一致。



【人物】

・ギル

 これまでから主な行動範囲はセックトンランド王国、マンディ王国、グーベルグ王国で、北のウォードーン王国にも足跡がある。海を越えた先、南のターリーフ帝国にも足を運んでいたとは驚きだった。

 彼の国の情報は少なく、宗教、言語が異なる。古くから商人が行き来していたが、国同士の交流が持たれたのは五〇年ほど前。個人的に興味があるのでギルの話から得られる事を期待する。



・シルヴァン

 男性。学者。専門は地質学。研究さえできれば他はどうでもよさそう。しかしジョルジュへの授業から察するに、教えるのはうまい。考えさせ、誘導するやり方は面白い。

 教会の神学講師がこういう人だったら私も少しは真面目に取り組めたかもしれない。

 マンディを去った彼がどこに行ったのか不明。


・ジョルジュ

 資料12参照。子供らしい直情的な性格だった。シルヴァンとの出会いで考え方、生き方が大きく変わる。もしシルヴァンから教えを受けていなければグーベルグ侵攻の指揮を取っていたのは彼だったかもしれない。それが良かったのか悪かったのかは私にはわからないが、シルヴァンがジョルジュを変えたのは間違いない。ジョルジュがシモンを変えたように。

 


【第12節補足】

 峡谷にある鉱夫の町に該当するのはコンヴィルという町しかない。

 サノワ山噴火による溶岩流に飲み込まれる寸前だったそうだ。

 叔父の知り合いはわざわざコンヴィルまで足を運んでくれた。そこで見たものは、峡谷に残された巨大な文字、峡谷を塞ぐ壁から突き出た巨大な岩の手。

 サノワ山噴火は正礼暦八一年。つまり、ジョルジュは四十年ほど寝続けた事になる。その後シモンに出会い、育て、呪いから解放された。

 シモンと彼の息子の方のジョルジュについては不明のまま。

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