資料12 第12節

  正礼暦二一一年○月○日

  エイダ・プラウス記


 この図書館にマンディ王国の記録は多くない。それもセックトンランド王国とマンディの国交が正常化していないせいだ。百五十年も前の三国戦争戦後処理が未だに済んでいないからと知った時は空いた口が塞がらなかった。幸い、叔父の知り合いがマンディ出身で彼の国の歴史に明るいらしく、話を聞き、記録の隙間を補完できた。



【土地/時期】

 記録では、正礼暦三七年。マンディ王国王都王城が崩壊しかかり、城壁の一部が崩落。また、当時、王位継承権一位のジョルジュ・マンディ王子は流行り病を患い、公式の場から姿を消す。

 数年後の正礼暦四○年、ジョルジュ王子崩御が発表されると同時にグーベルグ王国への侵略戦争が始まった。俗に言う三国戦争だ。三国戦争については資料10及び11を参照。

 そして、峡谷にある鉱夫の町については情報なし。叔父の知り合いが調べてくれるらしく、彼の調査待ち。



【人物】

・ギル

 今までどの話にも彼の姿があったのに今回は登場せず。

 ここで一つの疑問が生まれた。この本はギルから聞いた話をまとめたものと考えていたが、彼が出てこない話、彼が知らないであろうこの話は、


・ジョルジュ

 男性。マンディ王国王位継承一位だった。記録と照らし合わせると呪いをかけられたのが15歳の時。彼についての記録は少ない。まるで抹消されたみたいに。

 彼は岩巨人になり、呪いから解放された。その後どうなったのか? この本には何も書かれていない。


・シモン

 男性。彼についての記録はない。しかし、ジョルジュに出会って彼の人生は大きく変わった事だろう。彼と、彼の息子ジョルジュについても調べてもらっているが結果はまだだ。


・呪い師

 女性。今までに何度か彼女の話が出てきたが実際に登場するのはこれが初めてだ。彼女に呪いをかけられた人物はこれで四人目だ。ジョルジュが解放された事から呪いは永遠ではないとわかる。

 吸血鬼ブルーノの解放される条件は、街のために身を粉にして働く。

 聖女ジャネットの場合は、外見に見合った美しい心になる。

 岩巨人ジョルジュは、誰でもいいから尊敬される。彼はシモンに尊敬されたことで解放された。

 では旅人ギルの条件は? まだ明確にされていない。この先を読み進めたらわかるのだろうか?

 そして呪い師。彼女の目的はわからない。

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