資料10 第10節
正礼暦二一一年○月○日
エイダ・プラウス記
前回、セックトンランド、マンディ、グーベルグ間の三国戦争について記述したが、大規模すぎて詳細を知る者は少ない。
そのため簡単におさらいしておく。
前提として、戦争が激化していたのは正礼暦三九年~五七年であって、その後五〇年にわたり休戦が続いていただけだ。休戦といっても小規模の戦いはいくらでもあったし、敵国との交易も行われていたという不思議な時代だ。
発端は、疫病流行で国力が低下したグーベルクへマンディが侵攻した、と言う歴史学者もいる。当初はマンディ優勢だったが、王位継承権一位である第二王子が戦死。混乱するマンディへセックトンランドが侵攻を開始、マンディは二国に攻められるがままかと思いきや、なぜかセックトンランドとグーベルグ間も戦争状態となった。
これに関しては学者の間でも意見がわかれ、未だに答えがでていない。
結局、長期間に及ぶ混戦となり、三国とも消耗しただけで誰も得しない戦争だった。
【土地/時期】
疫病について記された書物によると、閉鎖を行った都市はグーベルク王国のバウアム地方近隣の街だけ。
時期は疫病流行後なので正礼暦六五年か六六年の出来事。
【人物】
・ギル
街の下水道に詳しい。名言されてはいないが、フランツを救ったのはギルではないか? そう思う。
自然とそう考えるなんて私も毒されてきたかもしれない。
・フランツ
男性。衛兵。ゲルダとは元夫婦。元孤児で盗みを働いていたが流れ者に救われた。罰を受けた後、衛兵になる。立ち直っているかのように明るく振る舞っているが、心の棘は思った以上に深い。
デニスと向き合う事で過去との折り合いがついた。ゲルダの怪我に責任を感じ接している姿は実に健気。実に大人。
性格は明るく、つらくても顔に出さない。その上、気配りもできる。英雄ではないけど立派な人だと思う。
・ゲルダ
女性。元衛兵。弓の名手。都市閉鎖時に発生した暴動で膝を負傷し退役。フランツとは退役後に離婚。デニスの教育を始める。
口より先に手が出る手あい。正直な話、こういう人は好きじゃない。司祭様にそう言ったら、あの厳格な司祭様が驚いていた。何? 私も同類だっていうの? 失礼すぎるわ!
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