資料8 第8節

  正礼暦二一一年○月○日

  エイダ・プラウス記


 正礼暦二〇一年、イェルド・サリアン司祭による告発により、ウォードーン王国から持ち帰られた聖杯は聖人が使用した物ではないと公式に発表された。これにより教会の権威が落ちるかと思われたが逆に高まった。

 麦の安定収穫が可能になったのは教会の尽力によるものだとウォードーン王室が公式声明を発表したからだ。

 それはさておき、私が聖杯伝説について知る事は少ない。聖杯を持ち帰った者が誰なのかすら記録にないなんて。わかるのは長い旅路の末、聖杯にたどり着いたという事だけ。旅……まさか、ね。


【土地/時期】

 イェルド・サリアン司祭が拠点とするウォードーン王国、都市フォヴレ郊外。聖杯に刻まれている山はフォヴレ近くの三つ槍霊峰である。


【人物】

・ギル

 意外にも聖杯伝説に詳しい。詳しすぎる。聖杯を持ち帰った者を知っているかのような素振り。聖杯が持ち帰られたのは正礼暦元年。という事は少なくとも二百年以上生きている事になるはず。もう彼について驚かなくなった。慣れって怖い。


・アダム・ウィーラン

 男性。異端審問官。記録ではアダム・ウィーランという人物が異端審問官として在籍していない。同様にイェルド・サリアンを異端者として断罪する神命があった事実もなかった。これは、ギルの本が間違っているのか? 

 それとも■■■■■■■■■■(塗りつぶされている為、解読できず)


・イェルド・サリアン

 男性。ウォードーン王国、都市フォヴレの司祭。司祭としてだけではなく、様々な分野で活躍しているらしい。今もフォヴレで司祭をしているのだとか。彼から直接、話が聞けたら真実が見えるかもしれない。しかし、ウォードーンは遠すぎる。

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