スパークリングライター
あんちゅー
泡が解ける
このライターは不思議なライター。
彼はそういい火をつけた。
フリント着火のライターの火はパチパチ弾ける音がした。
青白い火が胸を焦がす。
昨日言われたあの人の言葉。
わかって欲しいと打ち明けたけど、理解されることないのはわかってた。
煙を吸うとさ気持ちよくなる。
彼はそうやって笑ってた。
手近にあった紙を燃やした、しゃなりしゃなりと煙が昇る。
少し酸っぱい煙が燻る。
嫌がらせかと言われた昨日。
そんなことないと否定したけど、そしたら今度は殴られるってわかってた。
大事な人からもらったんだ。
彼はそういい転がした。
彼の手にある小さなライター、次第に大きく広がる炎。
燃えるてる中で揺れている。
出て言ってくれと苦い顔。
お前もあいつと同じなのかと、小さな声で呟くあなた。
とっくに燃え尽きた家の残骸。
彼はふわふわ笑うだけ。
残った煙が私を包む、つーっと意識を飛ばしてくれる。
私もふわふわ飛んでいく。
好きではなかったあなたの言葉。
いつかわかると思っていたけど、結局最後もあっけなかった。
ゆらゆら揺れて、ふわふわ流れて、昇る煙は吹かれ消えて、どこもかしこへ霧散する。
シュワシュワ、パチパチ、チラチラ、ヒヤリ、首筋たどった汗のひと粒、回った頭に針を落とした
彼はいつでも笑ってる。
大事なライターおっことし、いつまでたっても笑ってた。
私も釣られて笑ってる。
全部忘れて笑ってる。
スパークリングライター あんちゅー @hisack
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