シオンの友達と初対面。ありさの思惑。

「シオンのねぇちゃんかぁ・・・なぁ紹介して」

「やだ。」

こうきがしつこく聞いてきたから正直に答えたのだが・・・案の定紹介しろと言ってきた。

なんでこうきにありさを紹介しなきゃいけないんだよ。

そう心のなかで思いながら、レオンが嫌そうな目をした。

「なんでお前が嫌そうな顔するんだよ。」

シオンは引いた目をしながらこうきを見た。

「当たり前じゃん。友達とありさがイチャコラするとか気持ち悪くて無理。」

「それもそうか」

こうきは笑いながら言った。

シオンはそんなこうきを横目に黙々と勉強を再開した。


その頃・・・ありさはというと。



「気になる・・・シオンが友達を家に連れてくるなんて、初めてのことだし・・・。」

そうつぶやき、少し考えたあと良いこと思いついたと言わんばかりにニヤリと笑い、シオンの部屋に向かった。

そしてシオンの部屋の前について実行に移した。

「部屋から出ないように、今まで寝てたんだけど、怖い夢見ちゃって部屋にいられなくなっちゃった」

そう言って嘘泣きをした・・・・が、シオンのガードが固く、部屋に入れてもらえなかった。

しかも友達もチラッとしか見ることが出来なかったし。

何回も行くと怪しまれそうだから、今回は諦めることにした。

次来た時は必ずどんな人なのか確かめるんだ!!!

そう決意するありさなのでした。



「ところでシオン。お前好きな人いないの?」

「突然どうした。」

「いや、ちょっと気になった」

こうきからの突然の質問にシオンはまたしても嫌そうな顔をした。

さて、どうしようか・・・。と心の中で思いながら、どう返事をしようかと考えていた。

「シオンってかっこいいから結構女子から言い寄られてるじゃん?でも全部断ってるから、好きな人でもいるのかと思ったんだよ。」

こうきから言われて「なるほど」と一言言った後にシオンは続けた。

「好きな人いるよ。今はまだ叶わないけど」

そう言うとこうきは目を丸くしてびっくりした顔になり

「まじで?叶わないって・・・そっかぁ・・・」

そうつぶやいた。そして続けて

「シオン、俺は応援する。相手がそんな人かわからないけど、それでも俺はお前の友達だから、応援するぞ」

そう真剣な顔でまっすぐシオンの目を見てこうきは答えた。

その言葉を聞いたシオンはフッと笑い

「おう、ありがとう」

とこうきに言うと二人で笑いあった。


「もうこんな時間か、さて俺は帰ろうかな」

こうきが時間を確認して帰る支度を始めた。

そして玄関に向かい、靴を履いている時

「シオン、お友達もう帰ったの?」

ありさがそう言いながらやってきた。

シオンがまずい!と思ったときにはありさが玄関まで来ており、こうきを見て目を丸くしている。

「えっと・・・はじめまして。こうきといいます。おねえさん」

こうきは気まずそうに自己紹介した。

「あ、はじめまして。シオンと仲良くしてくれてありがとう。」

ありさが笑顔でこうきに伝えると、こうきは頬を赤くして照れた顔になり

「じゃあシオン。また学校で」

と言ってそそくさと帰っていった。



シオンはというと・・・。

「はぁ・・・ありさはホント・・・。」

そうつぶやいた後、ありさの方を向いて

「あれが俺の友達。ありさは俺の友達が見たかったんだろ?これで満足した?」

シオンがそうありさに言うとありさは

「ありゃ、バレてたんだ。満足した」

と笑顔で答えた。

シオンはそんなありさを見て、フッと笑って俺もつくづくありさには甘いなぁと思いながら

「さて、もうご飯の時間だろ?リビング行こう」

そう言ってありさとリビングに向かうのでした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る