第5話 浴槽ヴァルキュリア

※この連載は著者が見た夢の内容を覚えている範囲で書き綴っていくものです。

※なお、夢のため合理性や論理性は保証しかねます。



 風呂場の前に仁王立ちしているのは、見目麗しい戦乙女。

 いったい彼女がなぜこんなところにいるのかは不明。


 風呂に入ろうと戦乙女の隣を通ろうとしたところ、おれの前の男が呼び止められた。


「おい貴様!」

「な、なんでしょう?」


 男がうろたえる。

 戦乙女がにらみを利かせる。


「貴様は不浄だ! この先の湯に入る事はまかり成らん!」

「そ、そんな!」

「去らぬというのならば、ここで斬り捨ててもよいのだぞ?」

「ひぃいいい!」


 男は逃げ去っていった。

 おれの番である……。


「貴様は……入ってよし」

「あの」

「なんだ?」

「いったい先ほどの彼とおれとでは何が違ったのでしょうか?」

「不浄の者を聖なる湯に浸けるわけにはゆかぬからな」

「はあ……」


 どうやらおれは不浄ではないらしい。

 いや、汚れを落としに風呂へ入ろうというのだから、そもそも不浄とはなんだろうという疑問は残るが。


 おれは、戦乙女の隣を通って浴室に入っていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る