砂漠にひとりぼっち

鯨飲

砂漠ぼっち

 気がつくと、私は砂漠にいた。

 

 あまりに急なことなので、気持ちの整理がつかなかった。

 

 ここがどこかは、分からないが、とにかく家へ帰らなくてはならない。家族が待っている。

 

 私は、歩き出した。無我夢中で歩いた。しかし、いつまで経っても砂漠を抜け出すことができない。


 疲労によって糖分を欲していることが原因かは分からないが、砂が段々と砂糖に見えてきた。

 

 幻覚が見え始め、身の危険を感じながら歩いていた時、私は前方に、あるものを発見した。

 

 それは、足跡だった。

 

 その大きな希望によって私は幾分か元気を取り戻した。私はその足跡に沿うように、歩き始めた。

 

 何千歩か歩いた後、私は絶望を味わった。

 

 足跡が途切れていたのである。

 

 落胆し、疲労が一気に押し寄せて来た私は、眠りにつくことにした。

 

 翌朝、まばゆい日光に照らされ、私は目を覚ました。

 

 早く帰らなくてはいけない。焦る気持ちが私の足を動かしていた。

 

 しかし、私はその歩みを止めることになった。

 

 砂漠一帯に、地響きが発生したのである。

 

「はやく、はやく。きょうはおしろをつくろうよ。」

 

 巨大生物が、砂漠に侵攻してきたのである。

 

 数秒後、巨大生物の足跡に混じって、アリの死骸が砂漠に横たわっていた。

 

  

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

砂漠にひとりぼっち 鯨飲 @yukidaruma8

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ