神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使える……って、遺跡でゴミ扱いされている自称古代兵器に懐かれた。え? 誰この美少女。僕にご奉仕したい!?
第33話 マジックフォンの状態でも、周囲の声が聞けるマリー
第33話 マジックフォンの状態でも、周囲の声が聞けるマリー
「……という訳で、ジェームズを動けなくしてきたんだ」
はしゃいでいたクリスが落ち着いたので、別行動をしている間に起こった事をようやく説明する。
「流石、お兄ちゃん! 凄いねー」
「うん。だけど困った事があって、向こうは騎士がいるからね。追って来られると厄介なんだよね」
「んー。でも……そもそも、どうしてクリスたちは追われているの?」
「それがね……実は僕が持っているこれのせいなんだ」
胸ポケットからシャルロットを出し、分かり易く凄い機能……地図を表示する。
「わっ……お兄ちゃん。確かに、これは凄いかも」
「でも、シャルロット自体は悪い事なんてしないし、使う人次第だと思うんだ」
「それは確かに……って、シャルロット? それって、女の子なの?」
「え? まぁ声は女の子かな」
「ふーん。へー」
何故だろうか。
さっきまでシャルロットの事を凄いと言っていたクリスが、突然ジト目になる。
「とりあえず、二つあるみたいだけど、それを騎士に渡せば、追われなくなって、のんびり暮らせるの?」
「そうかもしれないけど、多分そうはならないかな。何でも、シャルロットの事を知っているのは、一部の偉い人だけらしくて、最悪口封じっていう事もあるかもしれない」
「えぇっ!?」
「だから、ここまで巻き込んでしまって申し訳ないけど、クリスは僕と別行動……」
「ヤダっ! そんなの絶対にヤダっ! クリスは何があっても、お兄ちゃんと一緒に居るもん!」
クリスが泣きそうな表情で叫び、ちょっと痛くなるくらいに強く抱きついてきた。
「待って。最後まで話を聞いて」
「……お兄ちゃんは、クリスの事を見捨てたりしない?」
「しないってば。一応の確認で、別行動をするか、もしくは僕と一緒に国外へ出るかを決めて欲しいなって」
「お兄ちゃんと一緒に行くっ! それで、湖が見える静かな山の中に、小さいけど誰にも邪魔をされない綺麗なお家を建てて、仲良く暮らすの!」
「う、うん。随分と具体的だけど……とにかく、クリスは僕と一緒に来る?」
「うんっ!」
そう言って、再びクリスが抱きついて来たけど、今度はさっきみたいに痛くはない。
それから、安心したのか、クリスが僕の膝に頭を乗せて眠ってしまった。
特急馬車の窓から外を見てみると、凄い速さで移動しているのに、僅かにしか揺れない。
だけど、一定のリズムで小さく車体が揺れ、その上クリスの高い体温に触れている事もあって、僕もつい眠ってしまいそうになる。
『カーティスさんっ! しっかりしてくださいっ! 魔法ですっ! この馬車の中に、眠りを誘う魔法が掛けられていますっ!』
シャルロットの言葉で目を覚ますと、慌てて窓の外に目をやり……こちらの馬車に乗り込もうとしている男と目が合った。
僕がジェームズを倒したからか、それともマリーさんと一緒にいるからか。前みたいに荷物を調べて……なんて事ではせず、問答無用で攻めて来たっ!
馬車ごと攻撃してこないのは、騎士の建前上、無関係な人を巻き添えに出来ないからだろうけど……
「≪サンダーボルト≫っ!」
窓の外に雷を生み出し、騎士が地面に投げ出される。
が、頑丈そうな人だったし、威力は抑えめにしたから大丈夫……だと思う。
『カーティスさんっ! 囲まれていますっ!』
気付けば、反対側の窓と、後ろの窓にも人が貼り付いて居た。
こんな状況なのに、よく馬車を走らせ続けているな……と思ったら、御者さんも寝てるっ!?
魔力強化された馬には睡眠が効かなくて……この馬車、暴走しているのかっ!
いや、これは逆にチャンスだっ!
「シャルロット! マリーさんの起こし方を教えてっ!」
『雷魔法を与えて、緑色のボタンを押してください!』
「≪サンダーボルト≫……マリーさんっ! 悪いけど、手伝って!」
雷魔法を使った後、シャルロットに教えてもらった通りにボタンを押すと、マジックフォンが白く輝き、
「ふふっ、困っているみたいね」
何故か妖艶な笑みを浮かべるマリーさんが、現れた。
「ちょっとピンチなんだ。少しだけ手伝って!」
「残念ね。前にも話したけど、私は人間に攻撃出来ないのよ」
「あ……そうだった」
「けど、人間以外には攻撃出来るの。こんな感じにねっ!」
マリーさんが叫ぶと、突然馬車が一瞬激しく揺れる。
「な、何をしたの?」
「風魔法で突風を起こして、馬車を前方に吹き飛ばしたの。という訳で今、超低空飛行で、空を飛んでいるわ。物凄く高速で」
「あ。貼り付いていた騎士たちが落ちた……って、これ着地はどうするの!? 馬や馬車が……」
「はいはい、大丈夫だから。攻撃じゃない魔法なら普通に使えるのよ。そんな事より、聞かせてもらったわよ。貴方、お姉様とお話ししてたでしょ! どこなの!? お姉様はっ!? お願い! 私にもお姉様とお話しさせてっ!」
どうやら、マリーさんは魔力切れ状態でも周囲の様子は分かっていたらしく、僕がシャルロットと一緒に居る事がバレてしまった。
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