第23話 魔銃の使い方

『おぉ……カーティスさん。あの魔銃を修理出来たんですね。凄いです! その魔銃も、古代兵器……は言い過ぎですので、古代武器と言った所ですかね。いずれにせよ、今の技術では製造出来ない武器です』


 水色の魔銃を修理した所、早速シャルロットが説明してくれた。

 確か以前に聞いた話では、魔法が使えなくても魔法力を使って魔法が使えるとか。

 どんな魔法が使えるのかは分からないけど、雷魔法以外に使える種類が増えるのなら、かなり嬉しい。


「お兄ちゃん。その棒は? それに魔銃って?」

「あ、ごめんね。何でも、この魔銃があれば、魔法が使えるらしいんだ」

「そうなんだ! 凄いね! どうやって使うの?」

「……確かに。どうやって使うんだろ」


 クリスの何気ない質問で戸惑っていると、シャルロットが助け舟を出してくれた。


『カーティスさん。魔銃は型によって使い方が異なるのですが……そちらはマスケット型になるので、一発ずつ魔法力を込める必要があります。少々面倒ですが、その都度発動させる魔法の種類を変更出来ます』


 が、何を言っているのか、あまり理解出来ない。

 とりあえず、一回魔法力を込めたら一回魔法が使えるって事かな?


「お兄ちゃん。どこかで練習してみたら?」

「うん、そうだね……けど、その前にお昼ご飯かな」

「えへへ……そ、そうだね」


 クリスのお腹が小さく鳴ったので、シャルロットに案内してもらい、手頃な価格で美味しいランチを食べる。

 お腹もいっぱいになったし、いざ魔銃の練習……って、まだだ。

 よく考えたら、他の街と違って、テレーズさんのお店に行っていたし、やるべき事が終わってないや。


「クリス。魔銃も気になるけど、先にゴミ捨て場で回収作業しなきゃ」

「あ、そっか。忘れてた」


 四つの街を回って、金貨四枚。

 これを繰り返して、金貨百枚……ううん、小さい家なら金貨五十枚でも買えちゃうかも。

 流石に、この街はルイス家から近過ぎるから、もう少し遠くの街へ行って、治安の良い所が見つかったら、そこで家を買うのも良いかな。

 そんな事を考えながら、四つあるゴミ捨て場を回り、そこそこの量のゴミを収納した。


「んー、お兄ちゃん。何か、ちょっと少なかったね」

「そうだね。四日前に三箇所のゴミを綺麗に回収しちゃったからね。まぁ仕方ないよ」


 四つの街を巡っていれば、いずれお金が貯まる……と思ったんだけど、四つだと少ないかもしれない。

 明日は配達の依頼を受けているから、北のウバイツの街へ行くけど、その次は北西のエスコックの街ではなくて、違う所へ行った方が良さそうだ。


「お兄ちゃん。次は魔銃の練習だねー。何処でやるのー?」

「どんな魔法が出るか分からないし、街の外へ行こうか。万が一にも、人や建物を巻き添えにする訳にはいかないからね」

「はーい! じゃあ、こっちかな。行こっ、お兄ちゃん!」


 クリスに手を引かれて街を出ると、暫くは街道沿いに歩き、適当な所で道から逸れ、草むらの中へ。

 周囲を見渡してみても、誰も居ないし、ここなら大丈夫だろう。


「……シャルロット。先に聞いておくけど、これって火の魔法が出たりするかな?」

『魔銃の中には当然ありますが、今お持ちになられている物でしたら、氷魔法しか出ないタイプです』


 なるほど。それなら草むらが燃えて、それが広がっていったりって事はないよね。


「とりあえず、魔法力を込めれば良いんだよね……こんな感じなのかな?」

「お兄ちゃん、頑張って! クリスは魔法が使えないから、全然わかんないけど」

「うん。何となく、棒の中に魔法力が溜まっているような気はするんだ」


 とはいえ、魔法力が注がれている感じはするものの、どれくらい注げば良いのか分からない。

 とりあえず、ある程度の所で注ぐのを止めると、


『カーティスさん。次は魔銃の先端を撃ちたい方向に向け、下についているトリガー……取手みたいな物を指で引いてください』


 タイミング良くシャルロットが教えてくれたので、草むらに向けて取手を引く。

 その直後、魔銃の先端から白い冷気が放たれ、真っ直ぐ一直線に草むらを凍り付かせてしまった。


「お兄ちゃん、凄ーい! これは、何て魔法なのー?」

「……見た感じは、アイシクル・ランスっていう魔法かな? ただ、射程距離が全然違って、普通はあんなに遠くまで届かないはずなんだけど」


『カーティスさんが魔法力を沢山注がれたからですよ。もっと少なくても大丈夫ですよ』


 シャルロットが指摘してくれたけど……それ、もっと早く言って欲しかったよ。

 でもこれで、雷魔法以外の魔法が使えるようになった。

 練習して、魔銃を完璧に使いこなせるようになるんだ!

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