第21話 大量の買い取り依頼
「着いたよ。イリアスの街だ」
四日前にイリアスの街を出て、北のウバイツの街、北西のエスコックの街、西のオタニサの街へ順に回って行き、再びイリアスの街へと戻って来た。
ジェームズとマリーさんの追跡から逃れる為に、毎回特急馬車を使ったので結構な出費だったけど、その分かなりの量のゴミを収集出来たので、きっと大丈夫……だと思いたい。
「お兄ちゃん。先ずは冒険者ギルドだよね?」
「そうだね。荷物配達の仕事も受けているからね」
逸れないようにクリスと手を繋いで街を歩き、ギルドへ到着すると、
「いらっしゃいま……お久しぶりですね、カーティスさん。そちらは、カーティスさんのご趣味ですか? 可愛いですね」
受付のお姉さんが変な事を言う。
何の事かと思って、視線の先に目を向けると、
「えへへ……いーでしょー。お兄ちゃんに買ってもらったんだー」
ワンピース姿のクリスが可愛らしい笑みを浮かべていた。
お姉さんは可愛い可愛いってクリスを褒めるけど、お願い待って! クリスが男の娘から戻ってこれなくなるよっ!
「こ、こほん。すみません。オタニサの街から、荷物を預かっています」
「はいはい。荷物運びの依頼ですね……って、あら? これ、昨日の日付なのにもう届いた……って、まさか特急馬車を使ったんですか? そこまで急がなくても大丈夫ですよ?」
もう慣れたけど、他の街と同じように驚かれ、再び北のウバイツの街へ荷物を運ぶ仕事を請けると、いよいよテレーズさんの所へ。
だけどその前に、収集しまくったゴミがどれだけ修理出来るか確認だね。
どんな物が、どれくらい修理出来るか楽しみだ。
「むー、お兄ちゃん。おっぱいエルフの所へ行くからって、ウキウキしてるー」
「ち、違うってば。あと、テレーズさんだからね? そんな呼び方しちゃダメだよ?」
一先ず宿を押さえ、部屋に入ると、早速ゴミスキルを使用する。
現れた半透明の板に沢山文字が並ぶので、修理可能なゴミに絞ったんだけど、それでも多い。
一つ一つ吟味していられないので、まとめて一気に修理すると、
――ゴミスキルがレベルアップしました。ゴミ錬金スキルが利用可能です――
聞き慣れない言葉が聞こえて来た。
「錬金……って、何だろう?」
「どうしたの? お兄ちゃん」
「いや、大量のゴミを一気に修理したら、ゴミ錬金っていうスキルが使えるようになったんだけど、錬金っていう意味が分からなくてさ」
「んー、とりあえず使ってみたら?」
「そうなんだけどさ。万が一、今修理した物に影響したら困るから……テレーズさんのお店で買い取りが終わってからにしようか。クリス、行こう」
新たなスキルは一旦置いておいて、先ずはテレーズさんの所へ。
特急馬車に四回乗って、結構な額を使っちゃったからね。
シャルロットに案内してもらいながら、テレーズさんのお店に到着すると、
「いらっしゃいませー! 二名様ですね。こちらへどうぞ」
前回同様に可愛らしいメイド服姿のウエイトレスさんに案内される。
「お兄ちゃん! クリスたちは、ご飯を食べに来た訳じゃないでしょっ!」
「あー、うん。……すみません。店長のテレーズさんをお願い出来ますか」
「あ! そう言えば、前にも来てくださった、店長をご指名のお兄さん! では、奥へどうぞ。……店長ー! ご指名でーすっ!」
この、ご指名って言い方は何とかならないかな?
お昼前だからか、前よりお客さんも多いし、すっごく注目されているんだけど。
思わず隠れる様にして、そそくさと奥の部屋へ入り、
「こーんにちっはー! 店長のテレーズでーすっ! ……あら、カー君じゃない。またお姉さんの所へ来てくれて嬉しいわー!」
ある部分が凄く大きな幼いエルフ、テレーズさんが現れた。
「こ、こんにちは。あの、また装備品を買い取っていただきたくて」
「おっけーよー! じゃあ、カー君のを出して、お姉さんに見せて」
「はい。ちょっと待ってくださいね」
ゴミスキルを使用し、状態が「優」と表示されている物を順番に出していく。
「あら、この鋼の剣は良いわね。こっちのバトルアックスも良いわよー! それから……」
うん。前に来た時よりも沢山あるし、買い取ってもらえる金額が楽しみだ。
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