第10話ディスタブマジック(魔法封じ)なのです

 そして数日が経過し、俺とほのかはどんどん魔法や戦術の知識を増やしていった。

「・・・というわけで、魔法陣には魔法発動のための魔法式が組み込まれているわけじゃな」

今はエリス先生による魔法の授業だ。

(待てよ・・・?この魔法式の原理を応用すればあるいは・・・)

俺の頭の中にある閃きが浮かんだ。

放課後になり、俺はナナリーに声をかけた。

「なぁ、悪いが今からちょっと付き合ってくれないか?」

「え?セイヤ!?し、しかたないわね」

俺はナナリーを連れて裏庭へ向かった。

「よし、ここなら人もいないし大丈夫そうだな」

「な、何よ?こんなひと気のないところに連れてきて・・・」

「実はな・・・俺」

「ち、ちょっと待って!!心の準備がっ」

「え?ああ・・・」

するとナナリーが大きく深呼吸をした。

「さ、いいわよ!言ってちょうだい」

「わかった。実は、俺のことを魔法で攻撃してほしんだ」

「は・・・?」

なぜかナナリーはぽかんとしていた。

「だから、ナナリーに俺のことを魔法で攻撃して欲しんだよ」

「わけがわからないわ。別にやってほしいと言うのなら構わないけれど」

「本当か?なら頼む」

「言っておくけど、怪我しても私は知らないわよ?」

ナナリーはそう言いながら杖を構える。

「ああ、大丈夫だ。身体強化してるからまぁ大怪我はしないだろう」

「わかったわ。じゃあいくわよ?大いなる火の精霊よ・・・」

そしてナナリーが詠唱を始める。

(よし、火属性の魔法式はたしか・・・)

俺は頭の中で魔法式の計算をし、魔力を込める。

「ファイヤーボール!」

「今だ!ディスタブマジック(魔法封じ)」

その瞬間、ナナリーの魔法は発動前に消えてしまった。

「え!?セイヤ、あなた今何をしたのっ!?」

「ナナリーの魔法の魔法式を逆算して、魔法を打ち消す魔法式を放ったんだ」

「まさか・・・そんなことが?」

「まぁ、成功するかどうかはわからなかったからナナリーにお願いしたんだ。ほのかじゃ威力が強すぎるから失敗したら命が危ないしな」

するとナナリーは少しムッとしていた。

「ん?どうした?」

「なんでもないわよ・・・」

とにかく俺は魔法を無効化する無属性魔法に成功したのだった。


 私、ナナリーには一流魔法使いとしてのプライドがある。

しかし、一緒に入学したクラスメイトのほのかに圧倒的な力の差を見せつけられた。

私はそれ以降努力をした。ほのかに負けないように・・・。

そんなある日の放課後のこと、ほのかの兄セイヤに裏庭に連れてこられた。

(こんな誰もいないところに連れてきてどうするつもりなのかしら)

「よし、ここなら人もいないし大丈夫そうだな」

「な、何よ?こんなひと気のないところに連れてきて・・・」

「実はな・・・俺」

(まさか・・・告白!?)

「ち、ちょっと待って!!心の準備がっ」

「え?ああ・・・」

そして私は大きく深呼吸をした。

「さ、いいわよ!言ってちょうだい」

「わかった。実は、俺のことを魔法で攻撃してほしんだ」

「は・・・?」

私はぽかんとした。

「だから、ナナリーに俺のことを魔法で攻撃して欲しんだよ」

セイヤが私にセイヤを攻撃しろと言ってきた。

「わけがわからないわ。別にやってほしいと言うのなら構わないけれど」

「本当か?なら頼む」

「言っておくけど、怪我しても私は知らないわよ?」

私はとりあえず杖を構える。

「ああ、大丈夫だ。身体強化してるからまぁ大怪我はしないだろう」

だけど練習場でもないのにセイヤに強力な魔法を放つわけにはいかない。

私はできる限り初級の魔法を詠唱するこあとにした。

「わかったわ。じゃあいくわよ?大いなる火の精霊よ・・・」

そして詠唱を始める。

するとセイヤは手をこちらに伸ばし目を閉じた。

「ファイヤーボール!」

「今だ!ディスタブマジック(魔法封じ)」

その瞬間、私の魔法は発動前に消えてしまった。

「え!?セイヤ、あなた今何をしたのっ!?」

「ナナリーの魔法の魔法式を逆算して、魔法を打ち消す魔法式を放ったんだ」

魔法を打ち消したですって!?

そんな魔法は聞いたこともない。

「まさか・・・そんなことが?」

「まぁ、成功するかどうかはわからなかったからナナリーにお願いしたんだ。ほのかじゃ威力が強すぎるから失敗したら命が危ないしな」

(つまり私なら魔法が弱いから大丈夫ってこと!?)

私は馬鹿にされたみたいで腹が立った。 

「ん?どうした?」

「なんでもないわよ・・・」

(まぁいいわ。いずれ私の方が優秀だって分からせてやるんだから)

私はさらに練習量を増やすことにしたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る