第8話シルフィの秘密なのです
男子寮に着いた俺はとりあえず着替えることにした。
部屋の中には二段ベッドと2つの机が並んでいる。
片方の机でシルフィが勉強をしていた。
俺はシルフィと同室になったのだった。
知らない人じゃなくクラスメイトと同室で一安心した。
「あの、着替えるんだったら外に出ていようか?」
シルフィが言った。
「え?別にいいよ。男同士じゃないか」
「そ、そうだね」
そう言ったシルフィは少し恥ずかしそうだった。
そして着替えを済ませ、シルフィの机を覗く。
「お、魔法陣の勉強してたんだな」
「うん、そうなんだ。僕は剣士だから魔法は使えないんだけど、魔法陣の理論は好きなんだ。魔法陣を書くだけなら誰でもできるしね」
俺もミリアさんの家にいた時に魔法陣の勉強も一通りやっていた。
「この魔法陣なら、ここをこう書くといいんじゃないか?」
シルフィの描いていた魔法陣に少し書き加える。
「なるほど!それならたしかに威力が跳ね上がるね。セイヤ、君は頭良いんだね」
「いや、たまたまだよ。ところでいつまでそんな堅苦しい服でいるんだ?部屋着に着替えたらどうだ?」
シルフィは学校の制服のままだった。
「ああ、うん。そのうち着替えるから気にしなくていいよ」
そして、俺がトイレに行って戻ってきたらいつの間にかシルフィは着替えを済ませていた。
翌日、教室に入るとほのかが駆け寄ってきた。
「お兄ちゃん!やっと会えたのです」
「こら、ほのか!こんなところで抱きつくんじゃない!」
「だってだって!寮が別々なんてあんまりなのですよ」
「当たり前だろう。そうだ、ナナリー」
俺はナナリーに声をかける。
「な、何よ?」
「昨日は強く言い過ぎたよ。すまなかった」
俺はそう言いながら頭を下げる。
「もう気にしてないわ。私の方こそごめんなさい」
とりあえずナナリーの機嫌は悪くないようだ。
「それはそうとほのか」
ナナリーがほのかに話しかけた。
「はい。何なのです?」
「あなた、いくら兄妹だからってセイヤにベタベタしすぎだわ。セイヤだって嫌がっているわよ?」
「いや、俺は別に・・・」
するとナナリーの口調が強くなる。
「い・や・よ・ね!?」
「ま、まぁあんまりくっつかれるのも困るかな・・・」
ナナリーの迫力に押された。
「わかりました。なるべく控えるのですよ・・・」
ほのかがしぶしぶ答えた。
(ナナリーのやつ、いきなりどうしたんだ?)
「ところで昨日のことってなんだい?」
シルフィが俺に尋ねる。
「ああ、実はな・・・」
昨日の帰り道のことをシルフィに話した。
「へぇ、そんなことがあったんだ。女の子達を助けるなんてセイヤはかっこいいね」
「まぁ、たまたまだよ」
そして座学の授業が始まった。
座学が終わると、次は実技の授業だ。
「次は実技をするからな。みんな運動着に着替えて実戦場に集合じゃ」
理事長はそう言い残して出ていった。
更衣室に入り、俺は着替えを始める。
「おい、何してるんだ。早く着替えよう。遅刻するぞ?」
「僕は大丈夫だから先に行っててよ」
「何言ってるんだよ。しょうがないな」
俺はシルフィの制服を脱がそうとする。
「セイヤ、ちょっと待っ・・・」
すると、胸部に柔らかい感触があった。
「シルフィ、お前まさか」
「ごめん、セイヤ。何も言わないで。みんなには秘密にして」
なんとシルフィは女の子だった。
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