第7話学校生活スタートなのです
試験が終わり、私とお兄ちゃんは指定された教室に入る。
そこには机が4つしかなく、すでに二人座っていた。
ナナリーと、金髪の少年?だった。
「きたわね、ほのか。同じ特進クラス同士よろしくね」
「やあ、セイヤ。同じクラスだね。これからよろしく」
少年とお兄ちゃんはすでに知り合いのようだ。
「よろしくなのです。えっと、そっちの・・・」
「僕はシルフィエットです。シルフィと呼んでください」
「望月ほのかです。シルフィさん、よろしくなのです」
「ほのかの兄の誠也です」
「私はナナリー・スピルバーグよ。あなた達兄妹だったのね」
みんな互いに自己紹介をした。
すると、教室のドアが開いた。
「みんなそろっておるな」
入ってきたのは理事長だった。
「わしがそなたらの担任のエリスじゃ」
「あの、理事長先生自ら教えてくださるのですか?」
先に口を開いたのはシルフィだった。
「さよう。通常AからDの4クラスしかないが、今年は特別に優れたそなたらを特進クラスに迎え、わしがじきじきに指導を行なう」
こうして私達の学校生活がスタートしたのだった。
その日の夕方、私とナナリーは女子寮に向かっていた。
「ねぇねぇ、その君たち。良かったら俺らとお茶しない?」
声をかけてきたのは二人の男子生徒だった。
「えっと・・・あの・・・」
私がどうしていいかわからずおどおどしていると、ナナリーが口を開いた。
「間に合っているわ。さ、ほのか行きましょう」
そう言いながらナナリーが私の手をひいた。
「おいおい、ちょっと待てよ。そんなつれないこと言うなよ」
男子がナナリーの腕を掴んだ。
「汚い手で私に触らないで!」
ナナリーが男子の手を振り払う。
「なんだと!調子に乗ってんじゃねぇぞ!」
そう言いながら男子がナナリーに殴りかかろうとする。
「はい、そこまで!」
間に入ってきたのはお兄ちゃんだった。
「お兄ちゃん!」
「この子らは俺の妹と友人なんだ。無礼があったなら俺が謝るからここは俺に免じて引いてくれないか?」
「ちっ、しょうがねぇな。行こうぜ」
そう言いながら男子生徒二人は向きを変え歩き出した。
「ちょっと待ちなさいよ!あんた達、この私に許可もなく触れたのよ?謝りなさいよ!」
ナナリーが叫んだ。
「んだと、この女!お高くとまっていい気になりやがって!」
せっかくお兄ちゃんのおかげで丸く収まりそうだったのに・・・。
「待て待て!入学早々ここで騒ぎを起こしてどうする。ここは引いてくれ!さもないと・・・」
お兄ちゃんが男子に耳元で何かを呟いた。
「わ、わかったよ!」
そう言うと男子生徒たちは逃げるように去っていった。
「ふん、根性のないバカなやつらね!よくやったわ、セイヤ」
ナナリーがそう言うと、お兄ちゃんがナナリーの元に歩み寄った。
「バカはお前だ!」
「な、何よ!?せっかく私が褒めてあげてるのに」
「何事もなく引いてくれたのに挑発なんてするんじゃない!相手は男二人だぞ!怒らせたりなんかしたら何されるかわかんないんだぞ」
「あんたに関係ないじゃない」
ナナリーが言い返す。
「関係なくなんてない!!」
お兄ちゃんが強く叫ぶと、ナナリーが少しビクッとした様子だった。
「ナナリーはクラスメイトだ。クラスメイトには怪我とかしてほしくない。もっと自分を大事にしろ!」
「わ、わかったわよ。ごめんなさい」
そう言ってナナリーはお兄ちゃんに謝った。
「じゃあ、私達は寮に行くのです。さぁ、ナナリーさん行きましょう」
気まずい雰囲気だったので、私は早々にナナリーさんを連れて寮に行くのだった。
★★★★★★★★★★★★★
私の名前は『ナナリー・スピルバーグ』。
スピルバーグ公爵家の令嬢だ。
幼少の頃から魔力に優れていた私は専属の家庭教師から魔法を習い、特に火属性の魔法に優れていた。
いつの間にか家庭教師よりも魔法を使えるようになって『赤のナナリー』と呼ばれるようになっていた。
公爵家の令嬢である私には毎日のように縁談の話が持ち込まれていた。
うんざりした私はこの魔法の力を活かして家を飛び出し冒険者を目指すことにした。
冒険者予備校に入った私は驚愕した。
なんと私が一年もかけて作り出したオリジナルの魔法を一度見ただけでしかも詠唱を省略して発動する少女に出会ったのだ。
冒険者予備校の生徒に私以上に魔法を使えるものがいるわけ無いと思っていた私のプライドは傷ついた。
しかし、同じクラスになったのだし仲良くしようと思った。
そしてほのかと一緒に寮に向かっていた時だった。
二人の男子生徒がナンパしてきたのだ。
普段ならこんな奴ら相手にしないのだけど、気が立っていた私は彼らを怒らせてしまった。
そこへほのかの兄、セイヤがやってきた。
私が怒らせた彼らをセイヤは追い払ってくれた。
今までこういうことがあってもお付きのものが追い払ってくれていた。
よくやったと褒めてあげると皆ありがとうございますと喜んでいた。
「ふん、根性のないバカなやつらね!よくやったわ、セイヤ」
私はいつものようにそう言うと、セイヤは私の元に歩み寄った。
「バカはお前だ!」
あろうことか私を叱ったのだ。
「な、何よ!?せっかく私が褒めてあげてるのに」
「何事もなく引いてくれたのに挑発なんてするんじゃない!相手は男二人だぞ!怒らせたりなんかしたら何されるかわかんないんだぞ」
「あんたに関係ないじゃない」
私はセイヤに言い返す。
「関係なくなんてない!!」
あまりの迫力に私はビクッとした。
「ナナリーはクラスメイトだ。クラスメイトには怪我とかしてほしくない。もっと自分を大事にしろ!」
「わ、わかったわよ。ごめんなさい」
貴族の令嬢で今まで甘やかされて育った私は生まれて初めて両親以外の人に謝ったのだ。
こんなに真剣に私を叱ってくれる人は初めてだった。
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