第4話訓練開始なのです

 翌朝、目を覚ますと俺の身体は金縛りにあっていた。

正確には、ほのかが俺の身体に抱きついていて身動きがとれないでいた。

「ほのか!起きてくれ!」

そう言いながら引き剥がそうとするがなかなか離れてくれない。

「起きろってば!」

するとようやくほのかが目を覚ます。

「ふぇ?おはようなのですよ〜」

そう言いながらやっと離れてくれた。

「お兄ちゃん、おはようのチュウお願いなのです〜」

ほのかが目を擦りながらそんなことを言う。

「そんなことしたことないだろ!とにかく俺はトイレに行きたいんだ」

そう言い残して俺はトイレに駆け込んだ。

そして俺とほのかは洗面台で顔を洗い、運良く持ってきていた歯磨きセットで歯を磨く。

そこへミリアさんがやってきた。

「二人ともおはよう。よく眠れたかな?」

「おはようございます。まぁなんとか」

「ミリアさんおはようなのですよ」

俺達はミリアさんに挨拶をする。

「ん?その歯ブラシ、初めて見る材質だね」

ミリアさんが歯ブラシを見ながら尋ねる。

「プラスチックっていう人工の素材です」

「へぇ。異世界の素材かぁ」

そして朝食を終えると、俺達の初めての修行が始まった。

まずは俺の番らしく、ほのかは木陰で座って見ている。

「君の場合は魔法の適性がないから、まずは無属性魔法である身体強化をやってもらう」

「わかりました」

するとミリアさんが俺の胸に手を当てる。

「まずは魔力を知るところから始めよう。目を閉じて」

俺は言われた通りに目を閉じる。

「そしてイメージするんだ。身体を巡るエネルギーの流れを」

目を閉じたまま集中してイメージしてみる。

すると、ミリアさんの手から何かエネルギーのようなものを感じる。

「うん、いいね。魔力が高まってきたよ。そしたらそのままそのエネルギーが足に行くようにイメージして」

足にエネルギーを集中する。

「それくらいでいいよ。そしたら目を開けて」

言われた通りに目を開く。

何だか両足がポカポカする感じだ。

「じゃあちょっとジャンプしてみて」

「わかりました」

そして俺はジャンプする。

するとどうだろう。軽くジャンプしたはずなのに10mは飛んでいた。

そして普通ならそんな高さから着地したら骨折くらいしそうなはずなのに何も感じずに着地できた。

「お兄ちゃんすごいのです!」

ほのかが叫んだ。

「今のが身体強化だ。イメージすればどの部位でも強化できる。魔力を纏った部分は表面も固くなるから強く魔力をこめればよほどのことがない限り傷もつかない」

「なるほど。これはすごいな」

「そういえばセイヤの魔力は13000だったね。この魔力量はSクラスなみだよ。ちなみに私の魔力量は15000ほどだ」

ということはほのかはミリアさんの10倍あるということになる。

「とりあえずセイヤは今やったことをしばらく自分でやってみてくれ。次はほのかの番だ」

俺はほのかとタッチ交代し、自主練習を始めた。

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