第2話冒険者ギルドに来たのです

 私の名前は『望月ほのか』。都内の高校に通う3年生です。

お兄ちゃんも同じ高校の3年生なんですけど、双子ではありません。10ヶ月ほど私が遅く生まれただけなのです。

パパとママは私達が小さい時に亡くなったそうです。

そのため私達は遠縁の親戚の家で育てられました。

私が中学に上がる頃にはおじさんもおばさんも仕事で海外に行くようになり、以降家事は全て私がしています。

私はお兄ちゃんが大好きです。『Like』ではなく『Love』の意味で・・・。

お墓参りに来たら突然異世界に来ちゃったけど、お兄ちゃんさえいてくれればどこに飛ばされても大丈夫です。

 「君たちは冒険者かい?」

先程の男性が私達に尋ねる。

「冒険者?いや、俺達はただの迷子だよ。信じてもらえないかもしれないけど、こことは別の世界からきたんだ」

お兄ちゃんが答える。

「なるほど、転移者なのですね」

そう女性が言う。

「信じてくれるのか?」

「ああ、信じるよ。たしかに珍しいことは珍しいがたまに異世界から迷い込む者はいるからね。魔法で異世界から召喚したという話もあるし。よかったら最寄りの街まで案内しようか?」

男性が尋ねる。

「それはありがたい。でもいいのか?」

「構わないわ。あなた達が囮になってくれたおかげでダークネスホースも倒せたのだし」

さっきの馬の怪物のことみたいです。

「ありがとう。俺は望月誠也、こっちが妹のほのかだ」

「望月ほのかなのです」

お兄ちゃんと私は自己紹介をする。

「俺はカインだ。冒険者をしているよろしくな」

「私はエイルよ。同じく冒険者をしているわ」

私達はカインさんとエイルさんと握手を交わす。 

そして、街を目指して歩き出した。

「ところでさっきの火の槍みたいなのは?」

お兄ちゃんが尋ねる。

「あれは火属性魔法だよ。魔力さえあればちょっと練習するだけでセイヤたちも使えるようになるさ」

「なるほど。この世界には魔法があるのか。たとえば魔力のない人は魔法が使えないのか?」

「魔力がない人間なんていないわよ。今から行く街の冒険者ギルドに魔力測定の道具があるから試してみるといいわ」

そうエイルさんが教えてくれた。

「魔法・・・楽しみなのです」

私は小さくそう呟いた。

しばらく歩くと、大きな壁に囲まれた街に到着した。

さっきみたいな魔物が入ってこないように壁に囲まれているのだろう。

「さぁ、ここがレグニカ王国の王都レグニカの街だ。まずはさっきのダークネスホースの素材を売りたいからギルドに行こう」

カインさんに連れられて、冒険者ギルドというところにやってきた。

「ほう、これは珍しい。ダークネスホースの角かい。これなら銀貨10枚ってとこだね」

カインさんがダークネスホースから切り取った角を机に置くと、受付の人がコインを数枚手渡した。

「ほら、あんたらの取り分だ」

カインさんはそう言うとお兄ちゃんにコインを4枚渡した。

「いいのか?俺達は何もしてないが」

「いいさ。セイヤが囮にならなきゃ倒せなかったからな。それに一文無しじゃ困るだろ?俺達からの選別だよ」

「ありがとうなのです」

私はカインさんにお礼を言った。

「そうそう、この子達の魔力測定をしてやってほしいんだけど」

カインさんが受付の人に言う。

「ああ、別に構わないよ。ちょっと待ってな」

受付の人がそう言いながら奥へ入っていった。

しばらく待っていると受付の人が水晶玉を持って戻ってきた。

「んじゃあ、この水晶に手を置いてくれ」

そしてお兄ちゃんが言われたとおりに水晶に手を置くと、水晶が光りだした。

「ほう、魔力量は13000かい。なかなかの魔力だね。だけど魔法適性が全くないね」

「じゃあ、俺は魔法が使えないってことか?」

「いやいや、魔法の属性に対する適性がないだけだから無属性魔法なら使えるよ」

「無属性魔法?」

お兄ちゃんが尋ねる。

「私も詳しいことは知らないからねぇ。さぁ、次はお嬢さんだ」

受付の人にそう言われ、私も水晶玉に手を置く。

すると先程と同じように光り出す。

「なっ!?魔力量15万だって!?しかも魔法適性は・・・全属性!?」

受付の人が驚いた感じで叫んだ。

「えっと・・・あの」

私はどうしたらいいかわからずおどおどする。

「ちょっと君たち、私についてきてくれ」

受付の人がそう言いながら移動を始めた。

「なんだかよくわからないが、俺達はこれで失礼させてもらうよ。達者でな」

「私も行くわね。じゃあね」

カインさんとエイルさんがそう言いながら店を出る。

「ああ、ありがとう。助かったよ。この礼はいつか必ず」

「ありがとうなのです。また会いましょう」

私達はカインさん達に別れを告げ、受付の人についていく。

そして二階の部屋に通された。 

「・・・というわけでして」

机に座っている髭の男性に受付の人が何やら伝えていた。

「なるほど・・・。紹介が遅れてすまない。俺はこの街のギルド長のノースだ」

「望月誠也といいます」

「妹のほのかです」

私達は髭のギルド長さんに自己紹介する。

「話は聞かせてもらった。君たちはいったい何者だ?」

「実は・・・・」

お兄ちゃんがギルド長さんにこれまでの経緯を説明する。

「なるほど。で、振り返ると通ってきたはずのトンネルは消えていたと」

「はい、そうなんです。どうにか帰る方法はないでしょうか?」

「ふむ、結論から言おう。方法は・・・ある。あるにはあるんだが」

ノースさんが少し難しそうな顔をする。

「異世界に行くには、異次元転移という神大魔法が必要なのだ」

「神大魔法っていうのは?」

「この世界にいくつか点在する迷宮にあると言われている。俺も詳しいことは知らないんだ」

とりあえず帰る方法はあるみたいだ。

「そこでなんだが。方法を見つけるためにも強くなりたいとは思わないか?」

ノースさんがそう尋ねる。主に私を見ながら・・・。

「そうだな。このままじゃ、また魔物に襲われたら今度は間違いなく殺されるだろうし・・・」

「だったら冒険者予備校に入らないか?」

「冒険者予備校?」

そう私が聞き返す。

「ああ。迷宮攻略するには冒険者になるのが一番だからな。特にお嬢ちゃん、君ほどの魔力があればランクアップもすぐだろう。王立だから入るのはタダだ。卒業できるかはわからないけどな。無事卒業できたら通常はFランクスタートがCランクからになる。どうだい?」

「わかった。冒険者予備校に入るよ。ほのかもいいか?」

「私はお兄ちゃんがいればどこへでも行くのです」

こうして私達は冒険者予備校に入ることになった。

「入学は二週間後だ。それまで魔法の知識などの基本的なことは・・・」

ノースさんがそう言いかけたところでガチャッとドアが開いた。

「おお、来たか。紹介しよう。元Sランク冒険者のミリアだ」

入ってきたのは金髪の長い髪が綺麗な女性だった。

「こんにちは、念話で話は聞かせてもらった。ミリアだ、よろしくな」

「望月誠也です。こっちは妹のほのかです」

「ほのかです。よろしくなのです」

ミリアさんと握手を交わす。

「話の途中だったな。これから入学までの二週間、私がお前達に基本的なことを教える」

「はい、よろしくお願いします」

「よろしくなのです」

私達はミリアさんに頭を下げる。

こうして、入学までの二週間私達はミリアさんに習うことになった。

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