無罪の罪で流罪になったので王国に復讐します!

白鷺人和

第1話 書状

『起きてくださいぼっちゃま!もう朝ですよ!」

召使いの声と、体を揺すられる感触で起き、ゆっくりと目を開ける。シャーッ!という音と共に、召使いがカーテンを乱暴に開く。朝日で照らされ、僕は思わず目を細める。

そして起き上がって背伸びをした。

召使いに急かされながら下に下がると。

既に父上と母上は起きていて、朝食を食べていた。

「おぉ、やっと起きたかマルコ。今日は少し遅かったな!」

軍人出身の父上は朝から大きな声でハキハキと喋る。

「貴方が早すぎるんですよ、それとおはようマルコ、アリサ」

と父上と対象的な母上が、コロコロと微笑いながら言う。アリサというのは、僕を起こした召使いの名だ。

食卓には色とりどりの料理が並べられ、それらは窓から刺す朝日に照らされ、美しい程の輝きを発している。僕は席についてゆっくりと食べだした。こうしていると時間がゆっくりと流れているように感じて、僕は朝のこの時間が好きだった。たまに父上や母上と喋りながら、朝食を頬張るこの日常の一部がずっと続けばいいのにとさえ思っていた。

だが、その時。それは一瞬にして崩される。

いきなり、ドアから、ドンッ!という大きな音が鳴った。家ごと揺れたんじゃないかと思うぐらい大きな音だった。

母上が「ハーイ!今行きますよ~」と言って玄関のドアを開けると、軍服を着た男が二人立っていた。

「シェルト・クラウスさんのお宅ですか?」

手前側の男が確認するように言った。シェルト・クラウスというのは、僕の父上の名前だ。

「私が何か?」

いつの間にか父上は母上の後ろに陣取っていた。

すると、手前側の男は奥の男から一枚の書状を貰うと、それを自信満々に二人の前に開いて見せた。

「シェルト・クラウスさん、貴方に謀反の疑いが掛けられています。軍部まで出頭願います。

奥様も、参考人としてご同行願います」

僕は父上と母上の所まで駆け寄り。

「父上、母上、連れてかれちゃうの?」

と涙目になりながら、尋ねると、父上はゴツい手のひらで僕を2~3度撫でて、

「大丈夫さ、本当の事を言えば、無罪である事はすぐに分かるから、すぐに帰ってくるよ」

と微笑みながら言い、軍部の人達に連れてかれていった。

僕は、召使いと一緒に父上と母上の帰りを待った。たが、待てど暮らせど両親は一向に帰ってこず、やっと軍部の人達が僕たちを呼び出した時までに、実に10日が経っていた。

僕は軍部の人達に連れられ、軍部の収容所に来た。僕は、早く父上と母上に会いたくて、軍部の人達を急かす。だが、待っていたのは、元気なあの両親ではなかった。

僕を待っていたのは、木の棚に綺麗に2つ並べられた、両親の生首だった。

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