第2話

美術室に付くと、部屋の電気が消えていて今日の曜日を確かめる。しかし、今日は普通に部活がある日だし。誰かいるかもしれないという期待を持って、美術室を覗いた。

「なんだ。いるじゃん。」

美術室には1人黙々と絵を描いている人がいた。制服的に....中1かな。

コンコンっとノックしてドアを開けた。

「こんにちは〜」

「え!?きゃ!?」

絵を描いていた子はびっくりしてこっちを向くと、その拍子に使っていた絵の具を落とした。

「え!?だ、大丈夫?」

「あ!大丈夫です!すみません!」

その子はそう言うけれど、立った時に机に当たって水もこぼしてしまった。

「あぁ!ど、どうしよう〜!」

なんか、すごい慌ただしい子だな。

俺は流しの所にある雑巾を取って、床を拭いた。その子も雑巾で直ぐに拭き始めた。

「本当にすみません!しかも手伝ってもらっちゃって!」

「全然大丈夫だよw」

俺はその子のネームを見た。

「えっと、岸田さんは大丈夫?濡れてない?」

「え!?なんで名前知ってるんですか!?」

「いや、ネーム。」

俺は岸田さんのネームを指差した。岸田さんは「あ。本当だ。」なんて言いながら、顔を赤くした。

「それより濡れてない?」

「あ。大丈夫です!」

なんて笑顔で言ってくれるけど、さっきみたいに負の連鎖が起きないかヒヤヒヤして仕方がない。挨拶に来ただけなのになんでこうなったんだ。っていうか、美術部ってもっといたような気がするんだが?

「美術部って、今日休みだっけ?もっといたような気がするんだけど....」

「えっと____ 」

岸田さんの話によると、美術部は高校生はまさかの0人。そして中学生は岸田さんの他にもいるけれど、ほぼ遊ぶために入って形だけらしい。だから1人だったのか。

「黒山さん?はどうしてここに来たんですか?....あ!もしかして、美術部に..」

「あ。ごめん。そうじゃないんだ。」

俺が話の途中で否定すると、岸田さんはあからさまにシュンっとしてしまった。

「えっと、俺は写真部に入ってるんだけど、写真部の活動で_____ 」

俺は写真部の活動のことを話す。岸田さんは理解してくれたようで少し安心する。

「えっとじゃあ、黒山さんはここの写真を撮るんですね?」

「うん。」

「やったー!それで、他の部員増ますかね?」

岸田さんはニコニコの笑顔でそういう。

『この展示はほぼ誰も見ないし、まあこの写真部の活動を経験するぐらいの気持ちでいて〜』

なんて写真部に初めて入った時に言われたことを言えず。

「うん。きっと増えるよ。」

なんて言葉を吐いた。まあ見る人は見るし、数人ぐらいは入ってくれるだろ....多分。

「じゃあ、明日から撮影させてもらうから。よろしくね。」

「は、はい!よろしくお願いします!!」

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