君がいる写真は

@haru_1127s

第1話

 春。

俺にとって飛鳥高等学校で高校最後の始業式があってから少し経った頃。俺の所属している写真部では会議があった。

「じゃあ今日は新しく入った新入部員もいるし自己紹介をして、今後の活動を話し合います。」

そう話すのは、この写真部の部長兼俺の幼馴染みの西崎 直人。

顔の良さは上の上。性格も良し。成績良く運動も出来るとかいう漫画みたいなやつ。

そんなことを考えながら、席に座ると今年入ってきた人もいて結構人が増えていた事に気がつく。まあ、俺の学校は中高一貫校で、中学生もいるし、多いはずか。

そういえば、今日はどんな写真を撮ろうかな。そう言えば桜が綺麗に咲いていたな〜。でも、桜を撮る人は多いだろうし....あ。逆に桜以外を撮るっていうのも面白いか?

「おーい。北斗。」

俺が色々考えていると、直人から呼ばれた。

周りの視線は全員、俺に向かっている。

中高一貫校分の人数が多く視線が少し痛い。

「お前の番だぞ。」

「え。」

反射的にそんな声が出てしまう。後輩もいるのに俺は何してんだ。これだったらただただ人の話を聞かない酷い先輩だぞ。

「えーっと。高校3年生、黒山 北斗です。よろしくお願いします。」

俺がそう言うと、拍手が出る。

横にいる直人は「はあ。」と小さくため息をついた。

「北斗、ちゃんと話は聞けよ?」

「ごめんって。」

「じゃあ、これからの部活動について話します。」

写真部の部活動は基本、学校の行事の写真を撮って展示する。

しかし、春頃はまだ部活に入っていない生徒のために部活紹介のような展示をする。

今日はその展示用の写真を撮る部活を決める感じ。

運動部とかは撮るの難しいんだよな。凄い動くから。だからなるべく文化部の方が嬉しい。座ってくれてるようなやつ。

なにより俺が人撮るの苦手だからなー。風景を撮るのは好きなんだけど、どうも人を撮るのは致命的に苦手。どんなアングルがいいかとか分からないんだよな。

「北斗は?」

「ん?」

前のホワイトボードを見ると、ほとんどの部活が決まっていた。

え。また、やってしまった....さっき話を聞いていなくて痛い目線を送られたのに、すぐ聞かないってやばいな。

「美術部かサッカー部どっちがいい?俺はどっちでもいいから北斗決めて。」

気がつくと選択肢はもう残り2つしかなく、しかも片方は運動部。運動部は絶対に無理だし、もう美術部しかない。

「じゃあ俺、美術部行く。」

「まあ、だと思ってた。」

そういうと、直人はホワイトボードに俺と直人の名前を書く。

「じゃあ、今日はこれで解散!部活の写真の期限は2週間後までです!遅れないように!」

その言葉で部員のみんなは「お疲れ様でした〜」って言って解散して行った。

「北斗、今日これからどうする?」

「んー。美術部ちょっとだけ見て帰るかな。」

「そっか。じゃあ、俺先に帰ってる。」

「りょーかい。」

直人が帰っていくのを見送り、俺は美術部の所へ向かった。

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