第58話 見かけに反してゲスいね、君!

「そうだ!陽太くん!連絡先教えて!」


 杉山は陽太と連絡先を交換しようとして、何故か夕夏から距離を取る。スマホでIDを交換した後、杉山が詰め寄った。


「なあ、興信所に払ったお金って、どうやって集めたんだ?」


「え?」


 急に肩に手を回されて質問される陽太。杉山はこの話がしたかったから、夕夏から陽太を離したのだ。


「なんじょは『学費を崩した』って言ってたけど、嘘ついてんのバレバレなんだよな~。あいつの態度から察するに『人に言えないような事』なのかな~とっ!」


 杉山の詰問に陽太は平静のまま返答する。


「教えてほしいですか?なら、今度ご飯でも奢って下さい。話してあげなくもないです」


 笑顔で切り返す陽太。その表情は読み取りずらかった。焦りや後ろめたさが感じられず、取り繕うのが上手い。


「君はガードが堅いな~。なんじょとは違うな」


「確かに夕夏さんは読み取りやすいですよね。おかげで行動が操り易いです」


「うわぁ、見かけに反してゲスいね、君!」


「はははっ!」


 陽太の連絡先をゲットできた杉山は手を振って去っていった。夕夏と陽太は手を繋いで予約したレストランへ向かう。


「にしても、夕夏さん。杉山さんに何でも話し過ぎじゃないですか?」


「ごめん。どうしてか、いつもバレちゃうの…」


「あなたも誤魔化すの下手ですね~。まぁ、夕夏さんはそこがかわいいんですけど!」


 にっこり笑う陽太の笑顔に照れる夕夏。眼鏡をかけていない彼は本当にかっこいい!


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