第54話 可愛い子犬を演じましょうか?

※性的描写はありませんが、陽太がほぼ下ネタ言ってます。苦手な方は避けてください。内容は『セックス禁止』を言われて陽太が拗ねてるだけです。














 1月の第3土曜日。

 陽太がアパートにやって来た。最近はお家デートしかしていないが、彼は受験生だ。よく考えたら受験まであと2ヶ月ないのに、セックスに興じている場合じゃない。自分を律しなければっ!


 陽太と一緒にシチューを作って食べる。ワイドショーを見て交互にお風呂に入って寛いでいた。陽太が襲ってくるならこの時だ。ほら、やっぱり手を握ってきた。その手をほどいて毅然とした態度で切り出す。


「陽太くん、大事な話があります!」


「何ですか?」


「その……君が18になるまで、セックスはなしにする」


「…………やっぱりそうきますか。1度許しといて、あんまりです」


「それは、ごめん……でもこのままじゃまずいの!万が一、私が……妊娠したら、陽太くんは『責任』とれるの?」


「無理ですね。結婚できませんから……」


「でしょ…だから『大人』になるまでは、我慢してよね」


「…納得いきませんが、バレたら夕夏さんが捕まっちゃいます。それだけは嫌ですから…」


 陽太は首を掻きながら、大きく息を吐く。彼にとっても苦悩の決断だと心を痛めていたが、そんな夕夏の傷心をひっくり返す発言を陽太はする。


「夕夏さん、あなたが悩んでたのは気づいてました。禁止令も出されると思っていましたけど、それまでは『ヤりまくってやろう』と思いました」


「はい……?」


「本当は夕夏さんの体に快楽を覚えさせて、俺なしじゃいられなくしようとしたんですが、案外堕ちませんでしたね」


 皆さん、彼の言ってることがどういうことか説明してくれるだろうか?夕夏は陽太との関係に罪悪感を持っていたのに、彼は違ったらしい。夕夏が取るべき行動は懺悔ではなく防衛だ。


 何故なら、彼は子犬の皮を被ったオオカミなのだから…。


「はぁ、可愛かった陽太くんはどこにいったんだろう?」


「そんなもの、貞操と一緒にどっかに行きました。それとも、可愛い子犬を演じましょうか?」


 あざとさが滲み出ている顔もなんてカッコいいんだ。誰だよ。こんなモンスターを作り上げたのは!


「夕夏さん、ちゃんと18になるまで我慢します。でも少しくらいイチャイチャするのは許してくれますか?」


「イチャイチャって、何したいの?」


「手を繋ぐのはいいですか?」


「いいよ…」


「じゃあ、キスは?」


「いい…」


「髪触ったり、頬に触れたりするのは?」


「うん、大丈夫…」


 陽太は夕夏の髪や頬に触る。彼の手がそのまま首や鎖骨に触れる。


「肌に触れたり、足に触るのは?」


 ぐっと体を近付けて夕夏の太股をいやらしく撫でる。陽太が迫ってくる時の動きだ。


「ちょっと待って!そうやってなだれ込もうとしてるでしょ!ダメ!」


 陽太の体を突き放して拒絶する夕夏。陽太はむくれながら抗議した。


「……セックスはダメって言いましたけど、挿入がダメってだけですよね。そのほかはしていいですか?」


「その…ほか?」


「お互いの触ったり、素股したり、フェラや69(シックスナイン)やアナルは?」


「陽太くんっっ!!!!」


 夕夏は声を上げて欲望のピッチャーマシーンを止める。よくもまあ!性的要求がすらすら出てくること!それに最後なんて言った?この子っ!


「君は、も~!」


 早熟すぎる14歳の彼氏に頭を抱えて苦悩する夕夏。陽太は体を反らして不貞腐れる。


「どうせ俺はママ活してるようなヤリチンですよ…」


 『ヤリチン』が何か分からなかったが、拗ねているのは分かった。


「陽太くん、今さら君に『純心』になれなんて言わないよ。知ったことや体験したことは陽太くんの一部だから受け入れる。でも、こればっかりはお互い自制しないといけない。


二人の将来のために…ね?」


 夕夏は陽太の膝に手を当てる。陽太は自分が贈った指環をつけた左手を握り、手にキスをする。


「俺とできないからって、他の男で気を紛らわせないで下さいね?」


「その言葉、そっくりそのまま返すよ」


「しませんよ。心配なら貞操帯でもつけますか?」


「貞操タイ?」


 陽太は苦笑いをして、何でもないと濁した。



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