本当に、恐ろしい子!
第53話 なら、布団に入りましょ。
変な時間に目が覚めた。
キャミソールしか着てない肩が少し冷えている。体を震わせて寝返りをすると、隣で陽太が寝息をたてていた。
添い寝していたのではない。『した』後に服を着て一緒に就寝していた。夕夏はゆっくりベッドから抜け出して、落ちてるパーカーを拾いトイレに向かう。
洗面台で手を洗ってから大きくため息をついた。また、陽太としてしまった。12月21日にしてから、陽太が泊まりにくる度に体を重ねている。大体陽太から求めてくるが、夕夏もそれを拒めなかった。
たかが外れたみたいに『ヤリ』まくってしまい、そして後悔する。陽太は『エッチ』が上手いのだろう。比べる対象がないから分からないが、何度も『イカ』されて『言葉攻め』されて、快楽に溺れてしまう。
『ダメだ』と自分に言い聞かせるが、あの可愛い顔でねだられると許してしまう。
本当に恐ろしい子だ。
部屋に戻ってベッドに腰を下ろしてしばらくボーとしていると、後ろから陽太に抱きしめられた。
「夕夏さん、どうしたの?」
外からの街頭の明かりに浮かぶ陽太の顔は寝起き
「なんでもない…」
「なら、布団に入りましょ。体冷えてますよ」
陽太に引き込まれて温い毛布の中に入る。陽太の温かい体に収まって夕夏は小さく囁いた。
「陽太くん、最近は寝れてる?」
「はい、この前寝坊しちゃいました。目覚ましかけなきゃですね」
陽太の不眠症は治ったのだろう。彼の心が安定しているのなら夕夏も嬉しいが、罪悪感は心の隅に残っていた。
「はぁ~~」
かき揚げを崩しながら蕎麦と絡める夕夏。会社近くの蕎麦屋で昼食を食べていた。お弁当はどうしたかって?『たま』にはいいでしょ!
「それは陽太くんに会えなくての『溜め息』か?それもと幸せの『吐息』か?」
夕夏の後から入店してきた杉山が同じ席に座る。なんでこいつは陽太との関係で悩んでいる時に話しかけるのだろう。
「別に、そんなんじゃない」
「そうか?最近気ぃ抜けてんじゃん。なんかあったか?」
話せるわけない。14歳の子供と爛れた関係で悩んでいるなんて。黙っていると、杉山がカマを掛けてきた。
「あれか、陽太くんと『した』のか?」
夕夏は黙って蕎麦を口に運ぶ。何か言ったらボロを出してしまうからだ。無表情を意識したが、左手を擦り合わせていた。
「おまえ、まじか…やったんか」
「何も言ってないでしょ!」
「いやいやお前、答えなければバレないと思ったか?『反応』ってのは体に出るんだぜ。表情より手の動きによ!」
「メンタリストか!あんたは!」
またも、杉山に看破されてしまう。夕夏がバレやすいのか、杉山が鋭いのか、どうしたら誤魔化せるのだろう。
「まぁ、周りには気付かれないようにしろよ。お前、仕事中も放心している時があるぞ」
「それは、ごめんなさい…」
確かに仕事中に手が止まって杉山に何度か注意された。エッチに夢中になって、仕事に身が入らないなんて本末転倒だ。
さらに、陽太との関係がバレたら、またアウトが増えて、夕夏は刑務所送りだ。なんとか自制心を保たなければならない。
「なんじょ。俺は例えお前が逮捕されたとしても、お前と陽太くんの恋を、応援するからな!」
慈愛のこもった顔で夕夏を元気付ける杉山。その顔がムカついたので取りあえずグーで肩パンしといた。
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