おいで……陽太くん
第50話 とっても綺麗ですよ
今日はクリスマスイブ、の3日前の12月21日の日曜日だ。夕夏と陽太はデートの約束をしていた。何故、クリスマスイブに会わないかといえば、その日は海藤夫妻と出掛けてしまうから、夕夏とのデートは前倒しにしたのだ。
クリスマスデート!それはカップルならそれなりに盛り上がるイベントではないでしょうか?非リアや独身の皆様にはスルーイベントだと思いますが、今年の私はリア充として楽しむことをここに誓います。
まぁ、今日はクリスマスじゃないんだけど…。
17時に都内の駅で待ち合わせている夕夏と陽太。すでに、陽太は改札の前にいるのを夕夏は見つけた。合流してデートスタートしたいところだが、夕夏は会うのを渋っていた。
理由は、服装に気合いを入れすぎたからだ。ほぼ着たことないワンピースを着てきてしまった。わかってる。普段から仕事着もパンツ姿だし、私服もズボンしか着てないから、違和感が凄いんだよ!
ひらひらとした丈から出た素足(タイツは履いている)がどうも落ち着かない!ああ、どうしよう!やっぱり、白のストレッチパンツにしとけば良かった。
「夕夏さん!」
「ひゃいっ!」
立ち往生していると陽太の方が夕夏を見つけて声をかける。夕夏は振り返って白のワンピース姿を見せる。
「あ……あの」
「おしゃれしてくれたんですね。とっても綺麗ですよ」
「ほんとに、本当?」
「ええ、夕夏さんのスカート姿は新鮮ですね。俺もおしゃれしてくれば良かったかな?」
「陽太くん何着てても様になってるよ」
張り切りすぎた服装も恥ずかしさも陽太の笑顔で吹き飛んだ。手を差し出してくれたので、繋いでレストランへ向かう。
「お正月には家に来てくれますか?」
夕夏は元旦に海藤家にお呼ばれされていた。帰る実家を無くした夕夏にとっては、正月に共に過ごす人がいるのは嬉しいが、めちゃくちゃ緊張する。
「うん。なんか緊張しちゃうけど、伺わせてもらうね」
「まあ、今から家族付き合いを積極的にしていきましょう!いずれは義家族になるんですし…」
「気が早くない?」
「3年経ったら結婚の挨拶しなきゃいけないんですよ?なら、その時スムーズにいくように良い関係を築いておくのが望ましいです」
「君には頭が上がらないよ」
天性の人たらし。しかも、計算されている。
「そうそう!俺、お母さんにおせち料理教えて貰うんです。伊達巻に海老の煮物に数の子、栗きんとん!作った事ないんで楽しみです」
「どんどん料理が上手くなるね、陽太くん」
「今度一緒にお菓子作りするんですよ。美味しかったら持っていきますね」
『両親』と楽しそうに暮らしているのは、本当に良かった。嬉しそうな陽太の姿にいつもより肌寒い足の事も気にならなくたった。
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