モテるのも大変なんだなぁ～

「なに色気づいてんだよ！おまえ！」

　出社して席につくなり、隣の杉山が挨拶もせずにツッコんでくる。

「いきなり意味不明な絡みしてこないでよ！『色気づく』ってなによ！」

「ピアスしてんじゃん！」

　自分の耳を指して夕夏の赤い色のピアスを指摘する杉山。普段、夕夏はアクセサリーを身につけない。肌に合わないし、邪魔くさいからだ。でも、大学生の時にピアスの穴はあけていた。

　イヤリングと違って落ちにくいし、シリコン性ならつけていられたからだ。

　陽太が誕生日に贈ってくれたピアスを夕夏はずっとつけていた。夕夏の耳に穴があるのに気付いて、持ってたピアスからヒントを得たらしい。

　それにルビーは７月の誕生石だ。リサーチからチョイスまで本当に完璧すぎる！

　陽太が夏休みに入ってからは家事は全て任せっきりになった。夕夏も新しい案件に取り組んでるので、本当に助かっている。最近の陽太の料理は手が込んできた。ビーフストロガノフや、グラタン、チキン南蛮にピラフ！

　無理はしなくていいと伝えたが、受験勉強のいい息抜きになるらしかった…。

「夕夏さん、夏祭りに行きませんか？」

　陽太の突然の提案。７月の終わりに行われる地元の夏祭りに夕夏を誘っていた。

「ああ、亀神社のお祭りね！なつかし～。子供の頃よく行ってな～！」

「一緒に行ったことありましたよね。どうですか？」

「うん！行く行く！」

　快諾したが、お祭りの日は平日の金曜日だ。夏休みの学生と違ってこちとら仕事だバッキャロー！お祭りは21時まではやっているので、定時に上がって電車に飛び乗れば18時半には地元に帰れる！最寄り駅の一つ隣で降りたらすぐの神社なので、陽太と駅で待ち合わせてお祭りに向かう。

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