第14話 今日は私の誕生日だった…。

「いや~!大浴場のほうも広々してて凄かった!満足!まんぞく!」


「楽しんでくれたようで、良かったです」


 夕食後も共同の露天風呂の方に浸かってきた夕夏。25メートルプールのようにでかくて景観も良かった。明日の朝もう一度入って、今度は景色を楽しもうと思う。

 こういったのんびりするだけの旅行も乙なものですな~。


 部屋で陽太とテレビを見ていると、ドアがノックされた。陽太がすぐに立ち上がり何かを受け取っている。ルームサービスでも頼んだかと座りながら待っていると、彼は夕夏の目の前にケーキを置いたのだ。


 小さいホールケーキのプレートには『HAPPY BIRTHDAY 夕夏』と書かれていた。


 そういえば、今日は私の誕生日だった。


 陽太がグラスとボトルを持って夕夏の前に座り、笑顔を向ける。


「お誕生、おめでとうございます。夕夏さん」


「これ、わざわざ用意したの?」


「いえ、このお部屋は最初からお祝いプランがついているんですよ。気づいてなかったんですか?」


 確かに支払いをする前に夕夏も宿泊プランは目を通したが、部屋の様子(露天風呂は写ってない)と料金しか見ていなかった。


「そうだったの。てか、よく私の誕生日覚えてたね、陽太くん」


「覚えてますよ。夏の夕暮れ時に産まれたから、『夕夏』さんなんですよね。とても綺麗ですね」


 ロウソク越しに見える陽太の顔は妖艶だった。彼はボトルを開けてグラスに注ぎはじめた。


「じゃあ、お祝いしましょうか!」


 細長いグラスにシャンパンを入れて乾杯する。陽太のグラスに入ってるのはりんごジュースだが…。甥っ子がプランしたサプライズ誕生日はロマンチック過ぎるものだった。



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