第24話 あなたに伝えられるだろうか?
二月の終わりにあの女が引っかけた男が金持ちだった。上手くすれば玉の輿だと自慢してきたので、チャンスだと思った。
いい加減借金の取り立てを追っ払うのも面倒になってきたから、ちょうどいい。
借金の返済に家と土地を売らせて、上手く金持ち男の所に行くよう『誘導』できた。自分は『児相』に向かって『計画を進めよう』と思ったが、『夕夏ちゃん』に預けようと言っていたので、心が跳ねた。
夕夏さんに会える…。
優しい彼女なら、自分を見捨てたりしないだろう…。
再会した時、一目で夕夏さんだと分かった。昔と同じ可愛い容姿にショートボブの髪。大人になった彼女は、さらに魅力的だった。
一生懸命仕事して、明るくひたむきな人。料理は相変わらず下手だったが、頑張って作ってくれる。
本当に『あの女』と『姉妹』なのかと疑うほどだ。
あの女が汚泥の中から産まれたのなら、夕夏さんは美しい雲の中から産まれたのだろう。
優しくて、美しくて、可愛らしい人…。
お金は何とか集まったし、『調査』をしてくれる事務所も見つかった。
足りなかった分は心苦しいが夕夏さんのクレジットカードから出した。
後は『結果』を待つだけだ。でも、『時間は限られている』。来年の『3月22日』までに解決しなければならない。
あと少し…。
もう少しで…手が届く。
そうしたら、あなたに伝えられるだろうか?
『好きです』って…言えるだろうか?
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