第23話 彼女も寂しいんだろうなと思った。

 最初に『お客』をとったのは13歳の5月だった。祖母が残した遺産も使い果たして、あの女は散財を止めない。『生活するために体を売れ』と、何を言ってるのか理解できなかったが、初体験は体を触られ股がられ、訳もわからない内に終わっていた。


 回数を重ねる毎にやり方も覚えたし、快楽を感じるようにもなった。どうすれば相手が喜ぶのか、どんなことを言われたいのかは実地で学び、予想と計算をしていった。


 どうやら自分には才能があるらしく、ねだれば色を付けてくれる人もいる。7月になると背が伸びたので、年齢を18歳と偽ってサイトに登録し、『リョータ』として女性と会っていた。


 会う女性の中でも既婚者だけは絶対に避けていた。1度だけ気付かず寝てしまった事もあるが、慰謝料は払いたくないので、以後気を付けた。


 セックスをするだけ時もあったが、デートをするだけの時もあった。恋人のように振る舞ってお出掛けして終わり。そういう人は楽でいいので贔屓にしていた。


 本番までする場合も、性病が怖いからキスもなしで愛撫はローションで済ました。ナマでしたことはないし、たまに病院にいって大丈夫かどうかも調べていた。


 相手の素性はあまり探ったりはしなかったが、会話を弾ませるために何をしている人か、どんな事をしているかを聞いたりする。普通のOLや会社員、バツイチの子持ち。遊び慣れてる人もいれば、初体験だという人もいた。


 一人、かなりの高給取りの女性がいた。有名大卒のエリートで大企業に勤めていて役付き。金払いが良くいい思いもした(ホテルのスイートルームに初めて泊まった)ので、懇意にしていたが、1度だけどうしてこんなことをしているのか聞いてみた。

 恋人もないし、仕事と家の往復だけで趣味もない。毎日同じ事の繰り返しで、嫌気が差したと言っていた。


 彼女も寂しいんだろうなと思った。





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