大好きな先生
映画や小説などの物語では、恋愛関係の二人の間に、なにか問題がおこっても、それでも、相手のことが好きだという気持ちは完全に消え
それなのに、私はそれらとはちがった。完全に消え失せてしまった。もう、彼のことが嫌いで、憎い。
なぜなら彼は、私の大好きな先生を
楚愛と義洋の
それは、昔からそうだ。棚橋先生。下の名前は、みどりという。楚愛たちの家族からは“みどちゃん”と
そして、楚愛は高校生になり、初めての担任の先生が、同じく新しくはいった棚橋先生となった。それを知ったとき、楚愛は大きな
楚愛の気持ちとしては、
先生が、教室をあとにしたとき、楚愛はそれを
彼女を呼び止めようとするも、ためらった。どう呼べばいい? いつもどおりのみどちゃんか、それとも棚橋先生か。
「……みどちゃん」
まよった
「……淡辺さん、ここは学校ですよ。私は教師の立場であり、あなたは生徒の立場だから、そこはちゃんとわきまえてね」
先生は、楚愛をたしなめた。予想づいていたことだが、やっぱり悲しかった。彼女は、
しかし、これで完全に楚愛と先生との間に巨大な厚い壁が誕生した。みどちゃんは、棚橋先生になってしまった。楚愛は悲しかった。
「楚愛さん」
うつむく楚愛に、先生は優しく声をかけた。
「一年間よろしく。がんばりましょうね」
先生と生徒という、
そうだ。先生は、優しい人だ。どうして悪口なんて、言う
楚愛は、そう思うとハッとした。
それって、私では。
楚愛が
彼を好きだと思うのならば、それをころっと変えてしまうのは、芯が強いとは言えない。彼は素敵な人だ。カッコいい人だ。優れた人だ。楚愛はそこに
それが、
球体の中をのぞきながら、楚愛は頭がぐるぐるした。
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