第19話 まさにガチャを回す感覚、当たれUR!
その次の日。
キキョウさんが団長を務める『オッス・オトコノハナゾノ』を訪れた次の日の早朝に、私とハルカさん、それとスマッシャーさんは無料で貸していただいた宿屋を後にして再びレジスタンス基地へと向かった。
すると、そこは昨日この場所に居た以上の女性たちでわいわいがやがやと賑わっており、どうやら昨日計画した作戦をキキョウさんが団員に伝えてくれた様子であった。
そして、私たちの存在に気が付くや否や、レジスタンス基地に集まった女性たちは一斉に私たちの下へと駆け寄って来た。
「イッパツさん!お話は聞きました是非とも我々にお手伝いさせてください!!」
「リロールというスキルの話を聞きました!でも、どうやってレア度を上げるんですか?教えてください!」
「おう!早くあたいらにそのリロールを使ってくれよ!戦いたくてうずうずしてんだ!」
などなど…。
血気盛んな女性たちはあれやこれやと言ってきたが、残念ながら私は聖徳太子ではないので困り果てていると、手を叩く大きな音が2回響き一同は一斉に静まり返った。
「こら!皆さん!イッパツさんが困っているでしょうが!先程話した通り、皆さん、全員、平等に!レア度を上げてもらいますから!大人しくしていなさい!」
「「「は~い…」」」
まるで、教師か委員長が如く、キキョウさんが張った声で皆さんを窘めると、私に群がった女性たちはとぼとぼとその距離を空けてくれた。
「ありがとうございます。キキョウさん」
「いえいえ、それで今日はどのようにすればいいでしょうか?」
「そうですね…」
私のスキル「リロール」についての説明は終わっている。とはいえ、その定かではない発動条件については詳しくは説明していなかった。いきなり胸を揉ませて…もとい触らせてくれと言って不審がられなどしないか心配だったが、悩んでも仕方ないので正直に白状することにした。
「あのですね。私のスキルの発動条件は女性の胸に触ることでして…」
「はぁ…、胸に」
「まぁ、その一瞬なんですがね?私の右手を皆さんのおっぱいに…」
「分かりました!」
「え?」
「はいはい!皆さん!聞いていたでしょう!イッパツさんに苦労を掛けないためにも、皆さんすぐに胸を出してくださーい!!」
「「「はーい!!」」」
「えええぇ!?」
次の瞬間、体育の授業が始まる前の休み時間に入った瞬間の男子生徒が如く、皆さん一斉に上着を脱ぎ散らかし、中には下着までも投げ飛ばしておっぱい丸出しの人もいた。
貧、小、中、大、特などなど。選り取り見取りのおっぱいたちがぷるんぷるんと私を待ち構えている。ここは天国か?地獄ではなかったのか?いや、もはやそんな些細なことはどうでもいい。漢、イッパツ。この女体の海へいざ!参らん!!
…と。危うく理性が崩壊するところであったが、私は寸での所で立ち止まった。私が創り出すのは男女平等の国である。私がハーレムになるウハウハ帝国では断じてない!
「あのですね。何もおっぱいに直接触る必要もなくてですね…」
「あら?そうなんですか?」
「はい。あ、あとできれば個室で1人1人触らせていただければと」
「畏まりました。皆さん!聞きましたね!これからイッパツさんがお一人ずつレア度を上げてくださるそうです!決して無礼のないように!…それではイッパツさん、私の部屋をお使いください」
名残惜しくも、しっかりと皆さんのおっぱいを眼に焼け付けながら、私はキキョウさんの計らいで団長室を借りることになった。
「…ふぅ、危うく大乱交スプラッシュブラジャーズになるところでした」
「何それ?」
「あぁ、いえただの独り言で…って、うわぁっ!?ハルカさん!?」
一人団長室で入ったと思ったが、何故かこっそりとハルカさんまで同伴していた。
「どうしてここに?」
「イッパツが変な気を起こさないように、監視ぃ」
「私はそんなことしませんよ」
「さてね~。それに、相手の方がどうか分からないしね」
「相手?」
「いや、皆、男の人に会うことなんて滅多にないんだよ?男女二人、密室、何も起きないはずもなく…」
「いやいやいや…」
「まぁ、どっちにしろ。見張りは必要だろうよ」
「はぁ…あれ?そう言えばスマッシャーさんは?」
まさか、あの女体の海にスマッシャーさんを放って置いたままか!このままでは彼らの童貞(予想)が危ない!
「あぁ、彼ならさっきレジスタンスの人たちが脱ぎかけた瞬間にはもう外に飛び出していたよ。はっはっは!あいつも初心だよね~」
成程。それなら一安心。…本当に一安心か?
とにかく、スマッシャーさんのことは一旦置いておき、早速一人目の女性を呼ぼうとしたところでふと気になったことがあった。
「ん?早く女の子を呼ばないのかい?」
「ちなみに、ハルカさんはいいんですか?レア度を上げなくても?」
勿論、下心は0でそう尋ねたわけだが、ハルカさんとスマッシャーさんには私のスキルを伝えはしたが今の今まで使用したことはなかった。
「折角ですし、今ここでサクッと…」
「いや、私はいいかな…。あと、スマッシャーも断ると思うよ。あいつはあいつで頑固な所があるからね~」
「そう…ですか」
「あれあれ~?もしかして私のおっぱいに触りたかった?」
「違いますよ」
「そうだよね~、あれだけ洞窟の中で触ってたもんね~」
「嘘っ!?寝ている間に無意識に!?」
「それに触るだけでは飽き足らず、吸ってたかも…?」
そこまできて明らかに遊ばれているのがハルカさんの表情から見て取れたので、私は時間を無駄にしないためにも早速レジスタンスの皆さんのレア度上げを開始することになった。
女性入室、目標(おっぱい)をセンターに入れてタッチ、スキル使用。
女性入室、目標(おっぱい)をセンターに入れてタッチ、スキル使用。
女性入室、目標(おっぱい)をセンターに入れてタッチ、スキル使用。
そんな驚くような単純作業が延々と続き、何やら無心でソシャゲのガチャを回している気持ちにすらなってきた。リロール使用後にハルカさんが“鑑定紙”を女性に渡して退出。その交代で他の女性が入って来てまたリロール発動という完全な流れが出来上がり、それも慣れてきた頃、最後にキキョウさんが入室してきてこの作業は無事に完了した。
スキルの使い過ぎなのか、何やら気怠い感じに襲われながらも団長室を出ると、そこには満面の笑みで喜ぶ女性たち、中には嬉しさのあまり涙を零す者たちも居て、その晴れやかな光景を見て一気に体の疲れが取れた気がした。
そして、各員“鑑定紙”で現在のレア度を測定した後、数名の女性たちが再度団長室内に招集されることとなった。
「おめでとう、諸君!君たちは晴れて“SR”のレア度を得ることとなった!この力を無駄にせず、イッパツさんのためにその力を貸してくれ!」
そう喜びの言葉を掛けるキキョウさんの前には4人の女性たちが居た。
「それでは、1人ずつイッパツさんに自己紹介をして」
「はーい!私の名前はピッカンテでーす!魔法のスキルを使いまーす!」
「おいっす!あたしの名前はドルチェ!こう見えても、最強のー…斧のスキル使いっすー!よっろしくぅー!」
「はいはーい!僕の名前はブルー!盾のスキルを使うよー!頑張るよー!」
「えっと…私は先日ご紹介させていただきましたが、ウララカです。…あぁ!私のスキルは弓のスキルです。よ、よろしくお願いいたします…」
ウララカさんは先日キキョウさんと一緒に自己紹介をしてもらったので見知った仲だったが、残りの3人は何とも癖のある3人だった。
「あ!そうだ、ピッカンテ姉ちゃん!“SR”に成れたらやろうって言ってた、あれやろうよ!」
「お!ナイッス思い出しぃー、ブルー!」
「ええ、じゃあいくわよ…。私たち…最強無敵のぉ~」
「「「ゴルーゴンゾーラ三姉妹…でーす!!」」」
「……わ、わぁ…凄い…」
いきなり何が始まるのかと思いきや…やっぱり何が起こったのかはさっぱりだったが、とにかく3人とも嬉しそうだったのでとりあえず拍手を送った。
「…まぁ、この馬鹿三姉妹は放って置いてですね」
「酷い!?団長さん!?」
「イッパツさん、私も入れて『オッス・オトコノハナゾノ』は武装系スキルに5人の“SR”、他補助系のスキルに10人の“SR”、残り武装系と補助系合わせて20人の“R”でした。これは大幅な戦力アップですよ、イッパツさん!これで本格的作戦が開始できますね!」
「えぇ!皆さん、頑張りましょう!」
「「「おおおぉ!!」」」
こうして、私の努力の甲斐もあり、私たちは大幅な戦力の底上げに成功し、これでまた男女平等の国へ一歩前進できた。
そう、成功したのが…。
この結果があまり手放しで喜べる事態ではないことを、この場の喜び様を見る限り私以外の誰も気が付いている様子ではなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます