第2話 運命の刻へ
ユニガン宿屋。
クエストアイコン表示。
第二話『運命の刻へ』
悪意を纏った怪物を倒したアルド達は不吉な予感をはらみつつ、
ミグランス王に事態の報告をする。
その間にも、悪意は過去から今へ向かってきていた。
クエスト開始。
暗転。
同・二階。
ミグランス王の元に集まっているアルド達。
アルド「と、いうわけなんです」
ミグランス王「そうか……」
俯く王。
サイラス「如何されましたかな?」
ミグランス王「父上からの言葉を思い出していた」
エイミ「お父上の言葉?」
ミグランス王「ああ。かの戦いの時期に、そなた達が戦ったという化物が何匹も現れていたらしい」
リィカ「ナント! デハ、コレハカノ神ガリバイバルヲハタスゼンチョウデハ?」
エイミ「ま、まさかぁ。そんな……」
ヘレナ「案外、的を得ているかもしれないわね。もしかすると、魔獣達との戦いが影響しているんじゃないかしら?」
ミグランス王「余も同じことを考えていた。民達は今は、平静ではあるが魔獣に対する潜在的な敵意は以前より強まっているからな」
ヘレナ「でも、違和感は残る。そう簡単に復活するようなシロモノかしら?」
アルド「確かに、そうだな。神って言われていたくらいだし」
エイミ「アルド、村長さんに話を訊きに行かない?」
アルド「そうだな……」
フィーネ「お兄ちゃん?」
アルド「どうにも、抵抗があるんだよな。じいちゃん、過去を話したがらないし。ここで話の訊くのはいけないことのような気がする。今更って感じだけど」
サイラス「もしかすると、思い出したくないことを思い出してしまう故に話さないのかもしれないでゴザルな」
エイミ「でも、この事態への打開策を見いだせるかも知れないし。訊いてみようよ」
アルド「そうだな。うん。じいちゃんのところに行こう」
移動開始。バルオキー・村長宅へ。
○バルオキー・村長宅・内
村長の前にアイコン表示。
タップしてイベント開始。
村長の前に集まる一行。
村長「アルドか」
アルド「じいちゃん?」
村長「しばらく、出てくる」
アルド「どこへ行くんだ?」
村長「言えん」
アルド「もしかして、昔の戦いに関係してるのか?」
村長「アルド、お前……」
アルド「悪いとは思ったけど、王に話を聞いたよ。若い頃のじいちゃんが仲間たちと一緒に……」
村長「そこまで聞いたなら話は早い。ここからはワシの問題だ」
サイラス「そうは行かないでゴザル。お一人では危険すぎますぞ」
エイミ「そうですよ。あの怪物相手に一人で立ち向かうより、ここにいる皆で戦った方がいいですよ」
村長「そうはいかん。言ったはずだ。これはワシの問題だとな」
アルド「どうしてそこまで頑なになるんだよ。らしくないよ」
村長「これは、過去の因縁なんだ。俺が決着をつけねぇと……」
アルド「じ、じいちゃん……」
村長「すまない」
出て行く村長。
リィカ「オヒトリデハキケンデス! アトヲオイマショウ!」
アルド「ああ! 何としても追いつくぞ!」
外に駆ける一行。
○同・外
前後して。弾かれたように外へ飛び出してくる村長。
追ってくるアルド達。村長、あっという間に村外へ出ていく。
アルド達の目の前に時空の歪みが発生する。
アルド「なに!?」
エイミ「時空の歪み! なんでこんな時に――!」
吸い込まれていくアルド達。
暗転。
○次元の狭間
時空の歪みから弾かれるアルド一行。
アルド「あれ? ここって……次元の狭間か?」
時の忘れ物亭から出てくるマスター。
マスター「来たか」
アルド「マスターが俺達を呼んだのか?」
マスター「俺にそんな力はないよ。話は聞いている。中へ入れ」
促されるまま中に入る一行。
○時の忘れ物亭・内
階段の前に白い球体が漂っている。
アルド「あ、あれは?」
マスター「お前たちを呼んだ張本人だ」
球体「あ、良かったぁ。成功してくれたみたいね!」
フィーネ「あ、あのぉ……あなた? いえ、人……なんですか?」
球体「今はこんなんだけど、昔はちゃんと人間だったわよ。失礼しちゃうわね」
フィーネ「ご、ごめんなさい」
球体「いえいえ。寧ろこんな姿でごめんなさいね。肉体は昔に滅んじゃって、今は魂だけだから」
サイラス「それで、あなたは一体何者でゴザルか?」
球体「名前はまだ言えないわ。言ってしまったら、色々と困るのよ」
エイミ「は、はぁ」
球体「で、話に入らせてもらうわ。準備はできてる? うん。出来てるわね。さすが男の子。あ、女の子や……女の子でいいの?」
ヘレナ「私とリィカのこと? 女性体だからそう定義していいわ」
球体「わかったわ。そうそう本題ね。脱線しちゃうところだったわ。はっはっは」
リィカ「ハイテンションナカタデスネ」
球体「昔はムードメーカーとして名を馳せていたのよ。ご近所でも有名だったわ」
アルド「そ、そうなんだ……」
球体「あなた達を呼んだのは私よ」
エイミ「いきなり本題に切り込んだわね!」
球体「かの神が復活を果たそうとしている今、時空に歪みまで生じてしまった。これは人の悪意が原因。過去に、ある男が犯してしまった過ちによって醸成された死者の悪意が理すらも歪めてしまったのよ」
アルド「死者の、悪意って。どういうことなんだ?」
球体「あなた達の時代から遡ること数十年前、邪神との戦いが歴史の裏で繰り広げられた……までは知ってるわよね?」
フィーネ「うん」
球体「正確には、戦いは終わらなかった。ギレウス達は邪神を倒しきれなかったの」
ヘレナ「どういうこと?」
球体「邪神に封じ込められていた悪意だけはどうしようも出来なかった。だから封印するしか無かったの。天上の柩に無理矢理おしこんで別空間に放逐したわけ」
アルド「ということは、俺達の時代に出てきたのは封印が解けかかっているからか!」
球体「そういうこと。頭のいい子はお姉さん、大好きよ。ああ、これで肉体があったら頭ナデナデしちゃうわね。よく見るとあなた、猫っぽいし」
アルド「(この人? 鋭いな……)」
ヘレナ「それで。この事態を収拾する方法は? もう一度封印すればいいのかしら?」
球体「いいえ。それじゃダメだわ。根本的な解決にならないもの」
サイラス「なら、どうすればいいのでゴザル?」
球体「過去に行って、邪神を倒すのよ。完全に。二度と復活できなくなるくらいに。コテンパンにやっつけるの。そうすれば、あなた達の時代に復活することはない」
エイミ「確かに根元から解決するけど、過去の戦いでは倒しきれなかったんでしょ?」
球体「うん。でも、それは私という今が居なかったから。なっがい時間を使って溜め込んだこの力をぶち込んでやれば、滅ぶでしょう。たぶん」
アルド「たぶんって……」
エイミ「博打じゃないんだから。ん? ちょっと待って。私たちがここに呼ばれたのって……」
球体「勘のいい子はお姉さん大好きよ。うん。貴女はきっといいお嫁さんになれるわ。断言してもいいわ!」
エイミ「それはどうも。いや、そうじゃなくて! 過去に行って、神と戦えってことですか?」
球体「うん」
ヘレナ「さらっととんでもないこと言ったわね」
球体「過去の戦いより弱らせてからきっちりトドメを刺す必要があるのよ。お姉さんの一生のお願い、聞いてくれないかな?」
リィカ「スピリットニイッショウノオネガイトイワレテモ」
球体「はっはっは。お姉さん一本取られたわ」
サイラス「アルド、どうするでゴザル?」
アルド「うーん」
球体「ちょっと! 考えてる場合? 男の子だったら即時即答即断速攻で決めなさいよ!」
アルド「現に、俺達の時代で兆候は出ているわけだし」
フィーネ「このままにはしておけないよね」
エイミ「決まりね」
ヘレナ「どうやって過去に行くの? 合成鬼竜に頼んでみる?」
球体「それについてはご安心あれ。今から道を開くわ。私を介して、過去に直接跳ぶの。天上の柩の中までね」
アルド「そんなことができるのか!」
球体「ふっふーん。私を舐めてもらっちゃ、困るわよ。では早速」
エイミ「ちょっと待って! まさか、過去に行ったっきりとかないでしょうね?」
球体「大丈夫よ。ちゃんとマーカーするから。万が一に備えて、過去からココに戻れるようにするわ」
フィーネ「な、なるほど」
球体「準備ができたら、私に言ってね」
球体に話しかける。
球体「準備できた?」
選択肢『いつでもいける!』or『もう少し待ってくれ』
『いつでもいける!』を選択。
暗転。球体の前に集まるアルドたち。
球体が光を発する。
時空の歪みが発生し、吸い込まれていく一行。球体が続く。
『もう少し待ってくれ』を選択。
球体「なるべく早くお願いね」
自由行動開始。
○過去・セレナ海岸
歪みから出てくる一行。
アルド「ここは……セレナ海岸か?」
遠方に巨大な要塞が浮かび、若き頃のギレウス、ヴィクト、メディーナがそれを睨めつけている。
エイミ「あの人たちは?」
ギレウス「あの野郎、ここに来てあんな隠し玉を!」
ヴィクト(過去)「だがやる事は決まってるだろ」
メディーナ「ええ。直接乗り込んで、儀式とやらを……」
ギレウス「ぶっ潰す。面白くなってきやがったぜ」
ヴィクト「だがどうする? イレーヌとルイーズ、王子は大怪我負っちまってる。三人だけで向かうか?」
ギレウス「時間がねぇからな。うん?」
ギレウス、アルドたちに気づく。
ギレウス「なんだ。お前ら? いつからそこにいた?」
アルド「あ、いや。俺達は……」
ヴィクト「おいおい、ギレウス。若者いじめは良くないぞ」
ヴィクト加入済み
アルド「え? ヴィクト?」
ヴィクト「なんだ? 俺を知ってるのか?」
アルド「え? あ、まさか……」
ヴィクト未加入
ギレウス「いじめてねぇよ。つか、見た感じ俺と年変わんねぇよ」
アルド「え? ギレウス?」
共通
アルド「まさか、ここは過去?」
ギレウス「なんだ、過去とか何だとか。見たことない格好してるし。怪しいな」
ヴィクト「俺たちも十分怪しく見えると思うぞ」
ギレウス「今更だろ」
メディーナ「何言ってるのよ、おバカコンビ」
ギレウス「バカってなんだ。こいつよりはマシだ」
ヴィクト「酷い言いようだな、まったく。で、お前たちは何者なんだ?」
アルド「えぇと……」
メディーナ「もしかして、自警団の人?」
ギレウス「自警団?」
メディーナ「ほら、ミグランスのよ。兵士さん達が募ってたじゃない。只事じゃないから様子を見に来てくれたんでしょ?」
アルド「あ、ああ。ほら、あの城みたいなのが出てきたから。何事かと思って。王から要請を受けてきたんだ」
ギレウス「成る程。あのおっさんらしいな。それで--」
空間が揺らめき、黒い大気が収束していく。
ギレウス「おい、この黒い奴はお前らの身内か?」
エイミ「どこをどう見れば身内に見えるの?」
メディーナ「でもさ、二足歩行するカエルとかいるじゃん。あと、人間じゃないのも」
ヘレナ「私のことはお構いなく」
リィカ「マシンデスガ、ハートハイツデモバーニングデス」
大気が怪物を象り、禍々しい雰囲気を放つ。
禍々しき眷属と戦闘。
敗北の場合、次元の狭間で球体に話しかけるところからやり直しorクロノス石でコンティニュー
ギレウス「ヴィクト! 打ち上げろ!」
斬り上げ、ファントムが宙を舞う。
ギレウス「消え失せろ」
大地を踏みしめ、拳を握り締めるギレウス。大気が歪む程の熱気を込め、一気に放つ! 鮮やかな色と絢爛を秘める鳳凰が怪物を彼方まで放逐。大爆発が起こる。
ギレウス「ふぃー。準備運動としちゃ、まずまずか」
アルド「す、すごい……」
エイミ「ちょっと、これ強すぎない? 完全に消滅したわよ!」
サイラス「只者ではないと思っていたでゴザルが……」
ギレウス「いやいや、お前らも大したもんだ。かなりの修羅場潜ってるようだし、力を貸してもらおうかね」
アルド「邪神を倒すのに協力すればいいのか?」
ギレウス「邪神? 何言ってんだ?」
サイラス「へ?」
ギレウス「俺らは、あそこにいる奴……デッシュを倒しに行くんだ。邪神ってなんのことを言ってるんだ?」
ヘレナ「アルド、彼らは天上の柩に邪神が封印されていることを知らないみたいね」
ヴィクト「封印だって? 何がどういうことだ?」
球体がアルドとギレウスの間にするり、と入り込んでくる。
球体「それは私が説明するわ」
ギレウス「なんだてめーは?」
アルド「俺たちを導いてくれた球体だよ」
ギレウス「球体なのはわかった。何で喋ってんのかわかんねぇよ」
球体「黙って聞きなさいな。相変わらず融通の利かない奴ね」
ギレウス「相変わらず? お前、俺を知ってるのか?」
球体「んなことはどうでもいいの。あなた達、天上の柩に何が封印されているのか、知ってる?」
ギレウス「儀式の祭壇だかなんだかじゃないのか?」
球体「あれは文字通りの柩なの。門を開いて、向こう側から巨大な怪物を呼び寄せるためのね。あの建造物自体、中心にあるものを抑える閂みたいなものなの」
ヴィクト「じゃあ、その柩が開く前に何とかできればいいんだろ? 簡単だな」
ギレウス「ああ。さっさと乗り込んで、野郎の息の根を止めりゃ万事解決だ。複雑なことなんてありゃしねぇ。いや待てよ。天上の柩とやらはぶっ壊せないのか? 神を封印するための柩なんだろ?」
球体「壊したい?」
ギレウス「ああ。今後、こういう事態が無いようにしたい。何より、俺達はデッシュの計画を木っ端微塵に叩き潰すと決めてるんだ。奴の切り札を台無しにして、心の底から敗北を味わわせてやりたい」
ヴィクト「メディーナの寿命も奪われたからな。念入りにやるつもりだ」
アルド「寿命?」
顔を落とすメディーナ。
ギレウス「こいつ、生まれつき霊力が高い奴でさ。けど、高い力を発揮すると寿命を削っちまうんだ。体が耐えられなくてさ」
ヴィクト「先日、デッシュが仕向けてきた大型の怪物を浄化するために力を行使してな。俺達の仲間を助けるために……」
アルド「そうだったのか……」
ギレウス「だからよ、ここらで借りを返したいわけだ」
メディーナ「二人共、気を遣い過ぎよ」
ギレウス「気にすんな」
ヴィクト「ああ。大船に乗った気でいろ」
球体「くぅー、やっぱかっこいいわね。よし、ここは私が一肌脱ぐわ」
ギレウス「脱いだらどうなるんだ?」
球体「私、脱ぐとすごいのよ。ふふん。なにせ、邪神を浄化できる……かもしれないんだから」
ギレウス「そいつはすげぇ。ありがたや~」
メディーナ「かもしれないということは、やってみないと分からないってこと?」
球体「そうね。決定的にするには、あなたの力も必要になるわ」
メディーナ「私の?」
ギレウス「待て。こいつの寿命を縮めるくらいに力を使わせるつもりか?」
球体「そんなことさせないわよ。ただ、どうしてもやって欲しいことがあるの」
沈黙が流れる。
球体「お願い」
メディーナ「何をすればいいの?」
球体「私が溜め込んだ力を一緒に引っ張って欲しいのよ。膨大な霊力を具現化させ、その力をもって邪神を浄化する。私単独では力を引き出しきるのに時間がかかってしまうの。だから……」
メディーナ「わかった」
アルド「決断はやっ!」
メディーナ「嘘を言っているように聞こえないし。だったら即時即断即答よ」
エイミ「えっ……?」
ギレウス「ま、嘘だったら小僧ごと消せばいいか」
ヴィクト「そうだな。若い芽を摘むのは嘆かわしい限りだが、仲間の命と秤にかければな」
リィカ「エマージェンシーデス! コノオフタリハバイオレンスデス!」
ギレウス「そうならんように、やることはちゃんとやってもらうぜ? えぇと……」
アルド「アルドだよ。ギレウスさん。こっちは妹のフィーネと仲間のエイミ、サイラス、リィカにヘレナだ」
ギレウス「アルドとフィーネ、それを取り巻く愉快なイロモノ達か。覚えたぜ」
サイラス「イロモノでゴザルか!?」
ギレウス「だって、お前さんカエルじゃねぇか。喋るカエルって見たことねぇぞ」
ヴィクト「腕に覚えがあるのは間違い、と付け加えないのか? ああ、俺はヴィクト。よろしく頼む」
ギレウス「こいつの事は忘れていいぞ。たぶん、次の戦いで死ぬかもしれんから」
ヴィクト「酷い言い草だな」
ヴィクト・キャラクエ3クリア後
アルド「そんな事言ってるけど、頼もしいって思ってるんだろ?」
ギレウス「なんだよ。見てきたように言うもんだな」
アルド「え? あ、いや。随分と仲良さそうだから」
ギレウス「ふぅん? まぁ、いいけどよ」
アルド「もう時間もないし、そろそろ行こう」
同・クリア前
メディーナ「そこまでにしておきなさい二人共。そろそろ準備しないと」
以下、共通
エイミ「そうね。天上の柩……必ず神の復活を止めましょう」
セレナ海岸から見える天上の柩をズーム。
雲を抜け、禍々しい生物的な要塞の頂上が鈍い光を放つ。
クエストクリア
クロノス石入手。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます