百九十二話 再会を夢見て6

「タチアナ様、ここは私たちも。」



アルナ、続いてドッペも背負っていた

剣を抜き



『チェイン!』



同時にチェインをかける。



「させるな!」



それを見た魚人兵達はまたさっきの

ビームがくるぞと、一斉にタチアナ達に

襲いかかる。



「......致し方ないか......」



そう言って

できれば魚人族を

これ以上傷つけたくはなかったの

だが......とタチアナもナイフを構え

ようとした次の瞬間



ザブンッ!



と三日月島のちょうど真ん中の海で、

何かが飛び跳ねた。



「止めるのです!!!!!」



その謎の影はこちら側に近づいてくる。



「注意しろ!! 人間どもかもしれん!」



魚人兵の誰かがそう言って、警戒

体勢に入る。



「双方、武器を捨てなさい!!!」



「あ、あなた様は......!!」



そして、ようやくその姿が認識

できるほどの距離まできたその

謎の影の正体を見て、魚人兵達は

次々に武器を捨てていく。



「人魚姫様!?」



月と星の光に照らされて、

綺麗なブルーの髪が神々しく輝き、

見るものを圧倒する。



「ど、どうして!」



「どうなってんだ! 人魚姫様は

呪いにかかって眠っておらしたのに!」



あちこちから魚人兵達の困惑と歓喜が

入り雑じった声があがる。



「そうか。任務を遂行したか......」



タチアナは安堵してナイフをしまう。



「タチアナ様......あの綺麗な方は

一体......」



アルナは人魚姫のあまりの美しさに

見とれてしまう。



「それもあとで話すさ。それよりも

どこかにヨーテル達がいるはずだ。

見つけ出して、直ぐにここを離れよう。」



すると、アルナとドッペはどきっと

した。



「アルナ、ドッペ。先程から

お前たちは私に何を隠しているのだ。」



「そ、それは......」



「アルナ。ここはわたくしから

話そう。」



ドッペは自分の後輩を庇って、

船が壊されてしまったことを

タチアナに告げたのだった。



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