百三十八話 三日月島3
「では隼人はずっと一人で戦ってきた
のだな。」
「いや、でも最初の頃は仲間を
作ったり、協力もしたりしてたよ。
ただ、どうせ別れがくるんだから
......無意味な関係なんてもう作る必要
なんてない。」
「無意味だなんて、そんなこと──」
「無意味だったよ。
その世界から消えてしまえば、
俺はあの人達と二度と会うこと
ができない。そんなの、死んだのと
一緒だ。」
「隼人......」
「......悪い。変なこと言ったな。忘れてくれ。」
別にこれを話すつもりなど、更々
なかったのに、
ついしゃべりすぎてしまった。
俺の話にタチアナが悲しそうな
表情をしている。
「これからも、君はそうやって
生きていくのか?」
「......かもな。」
「君と共に一緒に戦ってくれる
者はいないのか? そう、君と
同じ転生者とか。居るのだろう?
隼人と同じように世界の危機を救う
転生者が。」
「まあ......いるには......いる。」
「ならば、その者達と共に行動すれ
ばいい。そうしたら、君は孤独から
解放される。」
「いや......別に俺は孤独が嫌とか──」
「いいや、隼人。君は疲れた目を
している。ずっと一人で何もかも
背負って、疲れはてた、そんな目だ。」
「......」
「違うか?」
俺は反論できなかった。
タチアナの言葉に。
これが図星っていうもんなんだろうか。
別に自分は孤独が辛いとか
思っていない。
......たぶん......
けれど、タチアナの言葉が自分の
胸にずきずき刺さる。
まるでいままで、自分を騙してきた
物が、一つ一つ壊されている、
そんな訳のわからない感覚だった。
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