百三十七話 三日月島2

「ときに隼人、私からも君に

尋ねておきたいことがあるのだが、

いいだろうか?」



「答えられる範囲ならいいぞ。」



「そもそも、隼人。

君はなぜ転生者になったのだ?」



「......」



「すまない。答えられないことか。」



「いや、そうじゃない。

全然覚えてないんだ。何で俺があの

白い部屋にいたのか。」



「白い部屋?」



「あぁ、俺を異世界に転生する

神様がいる場所で、俺はそこを起点に

いろいろな異世界に転生してるんだよ。

でも、なんで俺は覚えてないんだ?

昔すぎて忘れたのか?」



といっても、少しだが日本での

生活は覚えている。

しかし、どういう経緯で俺はあの

白い部屋にいたのか全然覚えていない。




「私に聞かれても困る。」



「あぁ、悪い。そういえば、昔

神様にそのことについて聞いたことが

あったな......何て言ってたっけ......

いや、なんかあやふやにされて

異世界に転生させられたような......」



結局どんなに頭を悩せても、

やはりなんで俺があの白い部屋に

いたのか思い出せなかった。




「すまん、やっぱ思い出せない。」




「隼人......では君はいままで自分が

何故転生させられているのかも

わからずに、その神様という者の

言うことを聞いてきたのか?」



「まあ、そうなるな......いや、

だって問答無用でその異世界を

救ってくれって、転生させられるし、

自分の国に戻る方法もわからない。

だったら、神様の言うことを聞くしか

ないだろ?」



「......言うことを聞かずに、転生した

世界で暮らすということはできなかった

のか?」



「できただろうな。実際、転生した

異世界で何年か、その世界を救わずに

のんびり過ごしたときもあった。

けど、俺が転生した異世界は

何らかの危機に陥ってるわけだから、

やっぱ、救わずにはいられなかったよ。」



「そうか......」

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