百三十六話 三日月島
獣の革に燃え移った炎をバフさんに貰った
ランプに灯す。
「これで少しは明るくなったな......」
「隼人、この洞窟の壁を見てみろ。
そこらじゅうに血の固まった跡が
ある。」
「ほんとだな。これはバフさんが言ってた
海底洞窟からきた悪魔との戦いの
跡なんだろ。......って、ペルー。そろそろ
俺の頭から降りろ。重たいから。」
「......」
俺の頭の上が気に入ったのか、ペルーは
一向に俺の頭から離れようと
しない。
「おい、無視かよ。」
「よせ隼人。鳥に言葉は理解
できないんだ。」
「いや、タチアナ。この鳥は
絶対俺の言葉を理解してるぞ。
な? ペルー。」
「......」
「そんなことより、先を急ごう。
もしかしたらもうすでに皆が三日月島に
着いているかもしれない。」
「あ、はい。」
タチアナと、頭に乗ったペルーと
一緒に急ぎ足で海底洞窟を歩き、
二時間が経過した。
「そういえばタチアナ。
言っておきたいことがあるんだが。」
「? なんだ。」
「俺が転生者だってことは
みんなには秘密にしといてくれ。」
「......君がそう望むなら私は
一向にかまわないのだが、隼人、
なぜ君はそれを隠すんだ?
最初から我々に話してくれれば、
我々も君に協力したのに。」
「......まあ......あんま......人と協力するって
いうのが苦手なんだよ。それにほら、
俺は本来ならこの世界にはいない
存在なんだし、そんな俺が
この世界の人と安易に関係を築くって
のは......なんだか......な......」
「......よくわからないが、君については
秘密にしておこう。
だが隼人、いざというときは
君の力を貸してくれ。」
「あぁ......わかった。任してくれ。」
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