百三十九話 三日月島4
「作るべきだよ。仲間を。」
「......」
「そんな目をされては、見ている
こちらが辛くなってしまう。」
「......でもな......んー、なんだかな......」
「なんだ?」
「俺が他の転生者と仲間を作って
行動しないのは、別に孤独でいたいとか、
協力したくないとかじゃなくて......」
「ならば、一体何故なのだ?」
「......俺、他の転生者、だいっきらい
なんだよ。」
俺の言葉にタチアナはポカーンと
している。
「き、嫌い? なぜ?」
「タチアナ、俺は異世界を救うために
転生してるっていったよな?」
「ああ。まさか、他の転生者は
違うのか?」
「いいや、他の転生者も一応、
世界を救うっていう名目で転生している。
けどな......俺も何千回と異世界に
転生して、何人もの転生者や
転移者と会ってきたけど......まともに
異世界救ってんの俺だけだったんだよ。」
「!? それはどういう──」
「タチアナも言ったろ? その世界で
暮らせばいいって。」
「まさか......」
「そう。みーーんな、転生した
異世界で、危機も救わずに
のんびりと生活してたんだよ。
で、そいつらに聞いてみたんだ。
どうしてこの世界が危機に陥っている
のに、それを見捨ててこんな生活
してるんだって。
そしたら、そいつらこう言ったんだ。
今俺は、この世界での生活を
満喫してるんだ。
頼むからこの世界の危機を救わないで
くれよって。」
「......し、しかし、その者達は
異世界の危機を救う最中で、自分に
合った生活を見つけたのかも
しれないだろ?」
「あぁ、そうだな。実際、その世界で
好きな人ができて結婚し、本当に幸せな
生活を送っている人もいた。
その人達には本当に申し訳なかったと
思ってる。
けどな、そんなの一握りだ。
ほとんどのやつらが、自分が
ずっとこの世界にいられるようにと、
平和な世界にならないよう悪事まで
働いてたよ。」
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