百十七話 一方地上では4

カクバとバーゼン、鬼灯は

分かれて捜索をしたが、

あの鎧と剣以外、これといった

タチアナの情報は得られず、

三人はとぼとぼと

集合場所の船が迎えに来るはずの

場所に戻ってきた。




「くそっ......マジかよ......」



「......さすがに心が折れたのだよ。」



「......疲れた。」



三人はへとへとになり、

迎えの来ない船を待つように、

海を眺める。



「マジでどうすんだよ......これから。」



「......」



バーゼンと鬼灯は疲れて返事を

する気力も無く、黙りこむ。



「おい! 聞いてんのかよ!」



「聞いてるのだよ。今その事に

ついて考えている。」



「......俺考えたんだけどさ、

明日もタチアナ探して、何も

情報が無かったら、

俺達、一回この島から出て、

長老達探しに行った方が

いいんじゃねぇの?」




「......それ......タチアナ......

見捨てるって──」



「ちげぇよ! 一回長老と合流して、

長老にタチアナの居場所、占って

貰おうと思ってんだよ。」



「俺もちょうどそう思っていたのだよ。

まあ、それなら最初から、長老に

占ってもらっておくべきだったのだが......」



「だって、それはしかたねぇだろ。

長老の魔法は体力を相当使うらしいし、

乱用していいもんじゃねぇんだよ。

でも、ここまで見つからないとなると、

やっぱ、それに頼んなきゃみつかんねぇ

だろ。」



「......わかった......私もその案に

......賛成。」



「しかし、この島から出るのは

どうするのだよ。」



「そんなの、そこへんの木で

いかだ作ればいいだろ?

この前の時もそうやって

帰ってきたじゃねぇか。」



「あの島とこのジュラ島とでは、

海の危険度が違いすぎるのだよ。

......だが、そんなことも言っている

暇はないか......」



「よっしゃ! じゃ、決まりな!」



「でも......明日まで......ちゃんと......探す。」



「わぁってるって!」



三人はこれからの

方針が決まると、それぞれ眠りについた。

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