プレゼント

みんな、部活に行ったり帰ってやっと2人きり。

今日の部活は…、サボっちゃった!沙良も部活入ってるけど…。サボり魔だからいつも行ってないと思う。

「なに?サボり魔?」

「うげっ、また聞こえてた!?」

「心の声がな。漏れすぎなんだよ。」

「…ごめん。でもサボり魔なのは当たりでしょ?」

「当たりでしょ?って自信満々に聞くなよ。…当たりだけど。夏鈴も今日はサボりだから仲間だな。このままサボり魔になっちゃう?」

イタズラな笑顔を浮かべる沙良は可愛い。

「勝手に仲間にしないでよ、サボり魔とは違うし!なる予定もないから!」

「えぇ〜、なってくれないの?」

ほっぺたをぷくーって膨らませて拗ねてるアピールしてるけど…可愛いけど…。

「そんな顔しても絶対なりません!」

「ちぇ〜っ、あ、そういえばさ…。」

そう言って私の顔をじっと見つめる。

「え、な、なに…?」

「夏鈴、メイクしてる?」

「…へ?」

まさか気付いてくれてたとは思わなくて、びっくりした。

「…似合ってる。」

いつもはそんなこと言ってくれないのに…。

「思ってないでしょ…!」

「ううん、思ってる。思ってたし、気付いてたんだけど、違ったらって思って言えなかった。似合ってるよ。」

顔が熱くなっていくのが自分でも分かる。似合ってるよ。って言ってもらえることが私にとって凄く嬉しくて、他の誰でもない沙良が言ってくれたから。

「…そんな事言っても、なにも出てこないよ?」

沙良の事を見るのが恥ずかしくて、沙良から視線を逸らす。

「なーんで俺の事、見ないんだよ。…なぁ、こっち向いて?」

「恥ずかしいもん…。」

「今さらだなぁ…。」

「だって、沙良の事…。あの冬の日から…。」

「…ん?」

恥ずかしいけど、沙良の方を見て伝えようとしたら…。

「…なぁ、そこから先は俺から言わせて?多分同じだから。俺、ずっと前から夏鈴の事が…。」

ずっと言いたかった、伝えたかったその言葉が私に伝えられて、私の目から涙が溢れる。おんなじ気持ちだったんだ…。

「…泣き虫だなぁ…。」

って言いながら優しく頭をなててくれる。

「……私っ、私…も沙良の事好き…っ!」

思わず沙良の事を抱きしめてしまった。

「あははっ、嬉しいな…。なんか俺まで泣けてきたんだけど…。」

「え…?」

紗良から離れようとすると

「バカっ、見ようとすんな。」

そう言ってまた抱きしめられる。

「俺、見た目こんなだろ?だから女に間違えられる事が多かったり、肌のケアしたり、メイクするのも好きだから、たまーにするんだけどそのせいで気持ち悪いって言われたりしたんだよね。だからやめようかなって思ってた時に、夏鈴が初めて俺の事受け入れてくれたっていうか…。」

「そういえばあったね…。沙良の事色々言ってた子達に私が言ったんだっけ…。」

「別に良いじゃん。私は気持ち悪いなんて思わないよ。って言ってくれた時、俺めちゃくちゃ嬉しくてさぁ…。だからあの時、夏鈴が変な奴らに絡まれてるのたまたま見つけて、前助けてくれたし、今度は俺が助けてやらなきゃ。って思ったんだよ。ほんとはめちゃくちゃ怖かったけど…。」

「ふふっ。」

「なに笑ってんだよ…!」

「ほんとにあの時は助けてくれてありがとうね。」

「おう…。」

抱きしめられてるから顔は見れないけれど、きっと照れてる。おうって言う時は照れてる時だから。

「夏鈴は俺の事よく見てんだなぁ…。」

「……だって好きだもん。」

「いきなり言うなよ。」

「これからいっぱい沙良に好きだよって伝えられるね?」

「可愛いやつだな…。あ、そうだ、誕生日プレゼント渡さなきゃ。」

私は沙良から離れてワクワクしながら待っていた。

「俺、隠してたけど、裁縫も得意だから。…誕生日おめでとう。」

沙良から渡されたのは熊の人形がついたストラップだった。熊の顔、沙良に似てて可愛い。

「凄く可愛い!!これつけてもいい??」

「もちろん、つけていいよ。俺がつけてあげる。どこにする?」

「ここ!…可愛い〜!!」

「あははっ!良かった!…あとさ…。」

「ん?」

「今日、一緒に帰らない?」

少し恥ずかしそうに、言ってくれた。

「もちろん!一緒に帰ろ!」

沙良はニコッと笑って

「じゃあ下駄箱まで競走な!」

「ええ!?待って!先生に見つかったら怒られるよ!」

走って行ってしまった沙良を私も走って追いかけた。


先生に見つかってたみたいで、次の日の朝、呼ばれて2人並んで怒られました。

怒られてる最中、チラッと横を見たら目が合って、2人とも笑っちゃってまた怒られるかと思ったけど、気付かれてなかったみたい。

なんだかたまにはこんな事があっても良いかな〜って。廊下走るの楽しかったなぁ。


「また一緒に走ろうね?」

「何言ってんだ、バーカ。また怒られるの嫌だし走らないよ。……またやっても良いかも?」

「楽しかったんだ?」

「…おう。」

「やだ!沙良ちゃん可愛い〜!!!」

「ちゃんはやめろ!ちゃんは!」

「じゃあ、さら…。」

「沙良くんもダメだから。沙良で良い。」

「ケチ!」

「そんな怒んなよ。夏鈴ちゃん?」

「だ〜!!!もう!!」

「はいはい、怒らないの。分かりましたか?」

「…はい。」

「いーこ。」

笑顔でわしゃわしゃと頭をなでられる。

「犬じゃないし!髪の毛崩れた!」

「あー、後で直してやる。俺上手いし。」

ごめんな?と頭をポンポンされて、ドキドキしたのは秘密にしておきます。だって調子に乗るかもしれないもん。そんな沙良も好きだけどね?

「ん?なに?」

「沙良の事、大好きだよ。」

これからも、ずっとずっと、君にこの言葉を届けるから。ちゃんと受け取ってね?

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