第17話 人生のろうそく

俺から悠季の記憶は、すぐに消えていなかった。


寝なかったからだ。


眠るのが怖かったのもある。


寝たらアイツの存在が消えてしまうから。


だけど…俺は導かれるように眠りに襲われた。



そして目を覚ます。



「あれ?俺…」



いつの間にか眠っていた。



「お邪魔しましたー」

「またな悠愼」

「ああ」




4人は帰った。



―――×―――×―――×―――×


「さあ、生まれ変わりましょう」

「はい…」



―――×―――×―――×―――×―――×



ある日の事。



「ねえ、悠愼君、聞いてる?」

「えっ?あっ…悪い…」

「悠愼君…どうかした?」

「いや…」


「…私…最近の悠愼君…分からない…」

「友夏ちゃん…」

「ぼんやりしている事、多いよね?」

「…ごめん…」



彼女は俺にキスをし帰って行った。





その日の夜。


俺の夢の中に女の人が出てきた。




『悠愼』

『ごめんね。ありがとう』




夢の中の彼女は、そう言って消える。


彼女は一体誰なんだ?


俺は大事な何かを忘れてる気がする。


毎晩、彼女は出てきていた。



ありがとう……


さようなら……


ごめんね……



繰り返される言葉に


俺の心は


いつも締め付けられ


目を覚ませば


いつも涙がこぼれ落ちていた……





ある日の事だった。




「悠愼君……ごめん…。私…これ以上は悠愼君と付き合えない」


「そっか……傷付けて……淋しい思いさせてごめん…」


「ううん……。ねえ…悠愼君…心残りの人いるんじゃない?」


「えっ?」


「悠愼だけじゃなくて…私達も大事な何かを忘れてる気がするんだ…伊都霞も正矢君も、功太君も私も…そして、悠愼君も…」



「………………」



「心にポッカリ穴が空いてるんだと思う。私達には大事な何かがある気がしてならなくて……」


「友夏ちゃん……」



その後、彼女は、功太と付き合い始めた。





―――――×――――×――――×




「彼女は私達を救ってくれました」


「彼女がいなかったら私は成仏出来なかったと思います」


「彼女は幸せになるべきです」




「……………」




「分かりました。花賀 悠季さん」


「はい」


「あなたには現世に戻る事を許可します。彼女達に感謝ですね……それにあなたには大事な仲間が待っています。幸せになりなさい」



「ありがとうございます」






『あなたは数か月間、海外に病気の為、入院生活。病気も完治し退院。海外から無事に帰国。今迄の人生に一部修正をし塗り替える事になりますが…。目を覚ました時、彼・椎那 悠愼の記憶は、あなたが消失した迄の記憶に戻します。あなたの口から全て、お話をしてあげなさい』



―――×―――×―――×―――×



俺は夢を見た。


女の人が遠くなっていく姿。



そうだ!


俺は愛する女を失って……


彼女の後を追って……


彼女の名前は悠季。


愛し合って別れる事になったんだ。


目を覚ませばアイツはいない


だけど……


この胸騒ぎは何だ?


嫌な胸騒ぎじゃなくて幸せに向かっていくような嬉しいような


俺は目を覚ます。



目を覚ませば朝日が入り込んでいた。


まるで幸せを照らしてくれてるような優しくて温かい光が ――――



「悠愼、いつまで寝てるんだ!来客だ!」

「親父」



俺はぼんやりとしながら玄関に向かう。



「はい」



来客は振り返る。



「……えっ……?」



俺は目を疑った。



「…悠…季……?えっ!?待て…」



「………………」




俺は幻でも見ているのか?



「本物?」

「えっ?」



悠愼は、驚いてるのと状況が把握していないのもあり、言葉が出ないようだ。



「どういう事だ?」

「さあ?どういう事なんだろうね」


「………………」


「答えになってねーぞ!」



微かに微笑みグイッと引き寄せ抱きしめる悠愼。



ドキン



私も抱きしめ返す。




「あったけぇ……マジ……悠季だ……本物だ…生きてる……」

「…うん…悠愼……」

「…何?」

「…ただいま…」

「…おかえり……悠季」



私達は抱きしめ合った体を離しキスをする。



再び抱きしめ合う私達。



「お前にもっと触れてーけど…我慢する」


「クスクス…うん。楽しみは後で取っておいた方が良いと思うよ」


「お前、後で悟しておけよ」


「やだ!」


「ムカつくけど今は嬉しい方が大きい」




私達は抱きしめ合った体を離す。




「で?ここに来た理由あるんだろう?」

「うん」

「あがりな」

「うん」



私は家にあがる。



そして説明をした。




「つまり、俺達の二人だけの記憶はそのままで、他のみんなは記憶が塗り替えられてる感じか」


「うん……そうなると思う」


「……そっか……悠季」

「何?」

「来な」

「うん」



私達は隣同士に並んで座る。



「改めて言う」

「何?」

「俺の傍にずっといろ!」



ドキン



「悠愼……うん…」



私達はキスをすると、悠愼はゆっくりと倒していく。



「俺……お前以外考えられない」

「悠愼……」



悠愼は角度を変え何度もキスを繰り返しながら時々、深いキスをする。



「悠愼……私の事、離さないでね♪」

「悠季……お前……急に……可愛すぎだろう?」




私達は1つになる。





命のろうそくが並び合うように


恋の炎も燃え上がる



それは


幸せな炎となり


命の炎となって


私達の人生は


共に歩む


良き相手(パートナー)となる


























































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