第16話 君との思い出
目を覚ます。
「みんな…」
「…良かった…」
俺達は戻る事が出来た。
その日の夜 ―――
みんなで花火をしたりして修学旅行気分で楽しい時間を過ごしていた。
みんなが寝静まり、夜も更けた頃、悠季と俺は会うようにしていた。
「悠愼…」
「悠季…」
私達は1つになる。
「あの時は霊が絡んでいたけど、今日は本当の二人だけの時間だな」
「うん…」
だけど……
私も
俺も
この時間(とき)しか
幸せな時間はなかった
~ 悠愼 side ~
あの後、現世に戻るまでには、ちょっと問題が発生していたのだ。
だけど俺達を一緒に必ず戻す約束をしてもらい
俺と悠季は別々に呼ばれた。
事情聴衆みたいなやつで根掘り葉掘り聞かれた。
その内容は言えないけど……
~ 悠季 side ~
あの後私と悠愼は別々に呼ばれた。
私は死んだ人間。
あなたには条件を付けます。
今回は特別です。
そう言われた。
もちろん彼にも条件付きで
お互いの内容は聞かされてもいないし話してはいけない。
そして私達は戻された。
「色々あったけど俺達戻れて良かったな」
「そうだね」
「好きな女(ひと)を失うのかって…マジ怖くて、マジビビった」
「悠愼…」
「だけど…今、目の前にいる」
「私…もう諦めていたし…このまま死ぬんだなぁ~って…だけど…少しでも戻れる時間があるなら戻りたかった……」
「その願い二人の想いで叶ったんだろうな…」
「そうかもしれない」
私達はキスをした。
「悠季…俺の傍にずっといろ!」
「うん…」
「お前の事、守っていくから」
「うん…悠愼…離さないで…」
「ああ」
私達は再びキスをし、角度を何度も変えながら時折、深いキスを繰り返した。
お互い目が覚めた時
違う世界が
待っている
~ 悠愼 side ~
俺の隣には悠季はいない
永遠に
遠くにいってしまう
~ 悠季 side ~
みんなの中から
私の記憶は
消えてしまっている
それが
俺達の
私達の
交換条件だった……
もし、後1回チャンスがあるならとは思うけど、それはきっと叶わないだろう?
相思相愛でありながら一緒にいられないのは辛い結末だった…………
夜明け前……
「悠季…」
「悠愼…」
キスをする中、悠季の体は薄くなっていく。
「分かってた…お前が…俺の前からいなくなる事…」
「悠愼…」
「悠季……」
「…ありがとう…悠愼やみんなと過ごせた時間は嬉しかった…」
「悠季…助けられなくてごめんな…」
「ううん…悠愼と1つになれたから…それだけで十分だから…悠愼の言葉…凄く嬉しかったよ…」
「悠季…」
「さようなら…悠愼…ありがとう…あなたに出逢えて良かった…」
彼女は夜明けと共に、太陽が射し込むと同時に、俺の前からゆっくりスーーッと消えた。
「悠季いぃぃーーーっ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます