第9話 関係

ある日、学校での事―――



「悠季」

「何?友夏」

「悠季…功太君と付き合ってるでしょう?」

「うん」

「それで…私…功太君に悠愼君の事、相談してるんだ」


「うん」


「黙っておくのは嫌だから、一言言っておこうと思って。だけど、それ以上は何もないから」


「そうか。分かった」




私達は、話題を変え他の話をした。






ある日の夜。



ドクン



≪えっ!?…体が…動かない…≫



スーッと私の前に人影が現れた。



≪誰…?≫

≪男の人?≫



男の人は、私の上に乗って来ると、私の身体の中に入り始める。



≪や、やだっ!≫



私は怖くなり気付けば身体と魂が離れてしまった。



「嘘…」


すると、男の人は私に気付き近付いて来る。



「い…いや…こ…来ないで……いやぁぁっ!」



私は逃げる。



「……誰か…いんのか?」



ドキン


「…悠愼…?」

「…悠季…?」

「嘘…私…いつの間にか…」

「悠季…こんな時間にどうして?つーか…お前…また…戻れ!自分の身体に」



私は首を左右に振る。



「…バカ…下手に身体から離れ……えっ?男……?」


「…私の中に…入ろうとして…」


「どういう事だ?男が悠季の中にだと…?」



すると悠愼の身体の中に入っていく男の人。



「悠愼っ!」

「戻れっ!悠季…俺の事は良いから…戻れっ!」

「や、やだ……悠愼が……」

「俺は死にはしないから安心しろっ!」



俺の身体は操られ始める。



「悠愼…?」


「よ、よせっ!彼女にはきちんとした相手がいるから……彼女に近付くなっ!」




ドンッと悠愼は飛ばされ、壁に当たる。



「悠愼っ!」

「悠季…」




【コノオトコヲ…モドシテ…ホシケレバ…】


【オレノ…イウトオリニ…シロ…】



「えっ?」



【オレニ…ダカレロ…】




「えっ……?それって……」




【サア……ドウスル……カガ……ユウキ……】



「悠季…よせ…こいつの言いなりに…」




【ダマレ…オトコ…クチ…ダスナ…】


【ユウキガ…イイ…】


【オレハ…カノジョガ…イイ…】



【モシ…イウトオリニ…シナケレバ…オンナモ…オトコモ…モット…クルシメル…】


【オマエラノ…ナカマ…クルシメル…】



「………………」



私は悠愼にキスをした。



「悠季…」

「悠愼や仲間が助かるなら…私は良いから…」

「馬鹿…お互いの友達を裏切る事になるんだぞ!」


「…私に…関わった人に…迷惑かけたくないから…!友夏や功太君を裏切る事になるのは嫌だけど…」



私は気付けば自分の部屋に戻っていて、私を押えつけ私を上から見つめている悠愼の姿があった。



正しくいえば悠愼の姿をした霊が悠愼を操っているんだろうけど…



ドキン




≪友夏…功太君…ごめん…≫

≪魂は違うけど…悠愼の身体だから≫

≪私……最低だよね…≫



私は涙がこぼれ落ちた。





ねえ神様


私は


いつまで


この生活を


続けないと


いけないのでしょうか?


霊魂と隣り合わせで


みんなに迷惑かけている私は


このまま生きてていいの?




私達の身体はいつの間にか1つに重なっていた。




「…ごめん…悠愼…友夏…功太君…」

「…悠季……大丈夫か?」

「…うん…大丈…」



悠愼はキスをした。



「泣くな……悠季…」



私は悠愼の優しさに涙が溢れた。




既に俺から霊はいなくなっていた。


悠季と1つになってから満足したのかスーッと消えていった。


どうやら自分が死んだと自覚していなかった幽霊であり悠季に恋をしてしまった霊だったのだ。


俺に "ありがとう" と

"ごめん" と言って去った。



夜が明ける。


俺達はいつの間にか一緒の布団で眠っていた。




「悠季ーー」と、母親の声で目を覚ます。


「うん?なぁに…?」



ガチャ

部屋のドアが開く。



「ママ達、出掛けてくるから出掛けるようだったら戸締まりはきちんとお願いね」


「うん……」



そう言うと母親は去って行く。





「あら?…今…悠季のベットに誰かもう一人いたような…」




「なぁ」



ビクッ



「きゃ……」



口を手で塞がれる。



「馬鹿…大声出すな…」




ドキッ


至近距離の顔に胸が大きく跳ねる。



私は首を上下に振り何度も頷く中、



かぁぁぁぁっと頭から、つまさき迄身体が熱くなった。




≪は、肌が当たってる…!≫



その時だ。



私の携帯が鳴り響く。



ビクッ


画面には功太君と出ていた。


私から離れベットに横になる悠愼。


私は起き上がる。



≪功太君…もしかして迎え≫



「もしもし?」



私は携帯に出る。



「あっ!悠季ちゃん?起きてた?」

「うん…」


「今日、出掛ける約束していたんだけど、急用が入って。この埋め合わせするから、今日はごめん」


「そっか…分かった」



携帯を切る。



「功太とデートか?」

「うん…だったんだけど断りの電話…」



ドキッ


振り返った視線の先には悠愼が肘を付き頭を乗せ、胸辺りまで布団をずらした状態で私を見つめていた。


私は目を反らす。



「は、早く、よ、洋服着て…」


「お前もだろう?俺は、布団で隠せてるし!お前が先に着な。俺、背向けて見ないようにするから」


「良いっ!私が後で良いから!」



私達は、交代し布団に入ると私は背を向けた。




「…悠愼…」

「何?」


「私…迷惑ばかりかけてるね…生まれつき霊に憑かれ易い体質って…生まれて来なきゃ良かったかな?」


「…悠季…自分を責めるな。お前は何も悪く…」



私は起き上がると、私に布団で体を隠してくれる悠愼。



「…悪くないって?…本当にそう言えるの?」


「悠季…」


「…もう…やだよ…。どうして?…どうして私なの?」


「………………」



「…私…いつか死んじゃうのかな……?」




スッと両頬を優しく包み込むように触れる悠愼。



ドキン……


悠愼はキスをした。




「……悠季がいるから俺がいるんだろ?お前を助けられるのは俺しかいないから……絶対に死なせはしねーよ…お前は…生きる為に生まれて来たんだから……」



「………………」



「今日はゆっくり休んでな。俺、帰るから…」



「…………」





“帰らないで”


“一人にしないで”


“傍にいて”



そう思うのは


私の心に


もしかして


二人の人が


喧嘩してる…?




私の心は


功太君 と 悠愼 の間を


行ったり来たりしていた……



ねえ


私の幸せは


いつまで続くの?



そんな悠愼の想いも


どこか複雑で


私の想いも


複雑だった……






「それでねー…」

「友夏ちゃん…?功太…?」

「悠愼…」

「悠愼…君…」



八会う3人。


「…悠愼君…あの…これには事情……」


と、友夏ちゃんは理由を言うも、言い終える前に俺は言葉を遮った。



「…事情…?……功太っ!テメー」



グイッと俺は功太の胸倉を掴んだ。



「さっき悠季にデートのキャンセルした理由はこれかっ!」


「えっ?どうして?…それ……」と、功太。


「嘘……だって…功太君…何も用事ないって……」



「………………」



「つーか、何で悠愼が悠季ちゃんの家に?」


「悠季に、何かあったの?」



「………………」



「ちょっとな……」



俺は掴んだ胸倉を離した。



「……霊が絡んでて……お前らよりも質が悪い。俺達は…お前らを裏切った…」


「裏切ったって…?」


「…寝た…関係持ってしまったんだよ…」

「…えっ…?」

「悪い…だから文句言える立場じゃねーんだ…」


「悠愼…君…」

「悠愼……」


「じゃあな……」























































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