第10話 功太の想い、そして危険な場所へ・・・

私はしばらく学校を休んだ。


功太や友夏から連絡やメールがあったものの私は何もしなかった。



ある日の休日、私はフラッと街に出た。



「功太君、それ違うし!」

「功太君…友夏……」

「悠季!?」

「悠季ちゃん?」


「良かったぁ~悠季、連絡しても返事ないから心配したよ~」



変わらない笑顔で言う友夏に胸が痛い。



「……二人……一緒……だったんだ……」

「うん。あっ!誤解しないでね。別に私達は友達で、たまに悠愼君の事、相談してるんだよ。それだけだから」


「友夏は…そうかもしれないけど……功太君は…どうかな……?」


「えっ?…悠季?」





何故私がそう言ったのかは、功太君からメールで、私の事も好きだけど、友夏ちゃんも気になるんだと言われたからだ。



「ちょっと……悠季?ねえ…功太君…?」


「……功太君…友夏に…特別な想いあるんじゃないかな…?」


「功太…君…?ねえ…何か言ってよ…」

「…理だよ……俺……嘘はつけないから……悠季ちゃんも好きだけど……友夏ちゃんも気になるんだ…」


「功太君…」と、友夏。


「友夏ちゃんが、悠愼、一筋だって分かってる。アイツカッコイイし…俺なんか相手してくれないって事くらい…」



「私は…功太君の事…好きだよ…。トコトン付き合ってくれて凄く嬉しかったんだ……。…でも…私…普通の人間じゃないから……。迷惑ばかりかけて……裏切って……ゴメンね…。私…二人の事…好きだけど……これ以上……一緒にいれない……」



「悠季…?」


「悠季ちゃん…?」



「私と付き合うと面倒だし、色々、巻き込まれちゃうもんね……私の事は…もう良いから…忘れて…」



私は走り去った。



「悠季ーーっ!」

「悠季ちゃーーんっ!」




私なんか


生まれて来なきゃ良かったんだ……


私は何の為に生まれて来たの?


私さえいなければ


みんな幸せになれたんだよね……





私は途方に暮れぼんやりとしながら歩く。



その時、私の耳に飛び込む子供の泣き声。



「……子供……?」



小学校 3、4年位だろうか?

私は歩み寄る。



「どうしたの?僕?迷子?パパとママは?」



子供は泣く一方だった。



「名前は何かな?住所は?……どうしよう…?警察に……」



子供は首を左右に振る。



「でも…ここにいても……」

「……一緒に……探して……?」

「えっ?」



≪何だろう?≫



私は違和感があった。



「……僕と……一緒に……探して……」

「分かった。じゃあ探そうか?」

「ありがとう」



≪気のせいかな?≫




―――×―――×―――×―――×




「なぁ、悠愼」

「ん?」

「お前ら4人の関係ってどうなってんだ?」

「4人って?」


「功太、お前、悠季ちゃん、友夏ちゃん」

「功太は、悠季ちゃんと付き合ってんだよな?」

「ああ」

「お前は、友夏ちゃんと付き合ってんだろ?」

「ああ」


「だけど……功太が友夏ちゃんと一緒にいる所、見掛けたって話出てんだけど」

「あー、友達だろう?」

「でも…頻繁にっておかしくないか?」


「別に良いんじゃねーの?」

「いやいや、お前の彼女が違う男といるんだぞ?」


「…正直…良く分かんねーんだ…」

「えっ?」

「一人一人が誰を求めてんのか…」

「悠愼…」


「だけど……悠季にとっては俺がいなきゃアイツは不安に押し潰されると思う。俺はアイツを放っておけないのが現状だから……」



―――×―――×――――×―――×


「ねえ、僕、何処まで行くの?随分と奥まで…」



≪……立ち入り禁止……?≫

≪えっ!?待って……≫



赤い文字でそう書いてある大きめの長方形の木札と鎖で繋がれ中に入らないようにしてあった。


私は手を離そうとした。



グイッと子供とは思えない力で握りしめられた。



「痛っ!」



「何処に行くの?お姉ちゃん」

「…えっ…?」

「一緒に探してくれるんでしょう?お姉ちゃん」



≪やだ……もしかして……≫



【クスクス……キャハハ……】


【ボクト……イッショニ……サガシテクレルンダヨネ……オネエーーチャン】



男の子の顔が見る事が出来ない位に変わった。




「きゃあああっ!!」



私は逃げようとしたが、今迄にない位の力で私の体が動かなくなった。


ガシッと両手を掴まれた。


ビクッ


【ニガサナイヨ…ヤクソクデショ…オネエチャン】



「わ、分かったから…探すから…この手…離し…」



【ヤダ】




「えっ!?」



【ハナサナイ…ヤクソクシタノニ……ニゲル……】



「………………」



私は男の子に片手を握られ、体が引っ張れるようにまるで操り人形のよう森の奥へと連れて行かれるのだった。






















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