Second meeting

「ねえねえ、管理人君」


「今日は誰を呼び出すんです?」


「ああ、今日はいいよ」


「え?」


「私の話に付き合ってよ」


「話って……?」


「ここは本編で話せなかったあんなことやこんなことを話す番外編だよね」


「そうですね」


「でも、もうなんかいちいち質問するのめんどくさいからこんな風な対談形式でよくないかなーって」


「えー?」

「それじゃあ、僕はなんのために?」


「話し相手、というか優秀な聞き手だよ」


「僕だって忙しいんですよ」

「一人でエッセイでも書いてくださいよ」


「確かに君の言い分もわかるけど……」

「エッセイだとどうも固くなっちゃうしさ、いいじゃん」


「それに、新しい短編として書くより、この連載の続きとして書いたほうが管理が楽だしー」


「絶対それでしょ」


「あはは……」


「ということで、ここは今日から質問コーナーだけでなくいろいろなことにチャレンジする番外編になります!」


「僕はそれに付き合わされるの?」


「もちろん!」


「……」


――――――――――――――――――――


「まあまあ、ここは息抜きなんだから肩の力を抜いてよ」


「僕はあきれてるんですよ!」

「こんなこと始めるあなたに!」


「そうなの?」


「聞けばあなたはもうすぐテストがあるとか」


「ぎくっ」

「どうしてそれを?」


「すごくメタ的なことを言うと、あなたが今私にそう言わせたからです」


「あはは、おもしろいことを言うね」

「そんなことは置いておいて……」


「単位の問題は『そんなこと』なのか……」


「昨日、近況ノートに来たコメントで閃いたんですよ」


「何をです?」


”I wanna make English version for my story.”


「なるほど」


「わかるのかい?」


「どうせ何を提案しようが、僕は付き合わされるんでしょ」


「ご名答」


「私には作れるって思うんだよ」


「すーぐ調子乗るんだから」


「さ、ということで作っていこうか」


「そもそもどうしてここで作るんです?」


「新しく連載を始めれば……」


「ちっちっち」

「君は私のことがよくわかっていないようだね」


「まさか……どうせ続かないとか?」


「そうだよ、そうそう」


「だから、いつ終わってもいいようにこの番外編で作ると」


"That's right"


――――――――――――――――――――


「翻訳ツールを使えば……」


「品がない!」


「品……」


「第一、あんな機械に僕の魂がこもった物語を任せられるか!」


「確かに私は(私より英語ができる)友人に『〇〇の英語ってグーグル翻訳みたいだね』って言われたけれど!」


「それ、誉め言葉?」


「い~や、違うね」

「たぶんこいつの訳は直訳ばかりでよくわからんって意味だ」


「かわいそう」


「それでも、作ってみたいの!」


「なぜそこまで……」


「なんとなく」


「もしここが物語の世界なら僕はきっと『管理人は閉口している』と文をつけたくなるような顔だね」


「でも、新しいことにチャレンジするのって楽しいじゃないか」


「そうですね」


「僕も英語の勉強になる、彼も勉強になる」


「彼って?」


「そりゃあ、彼さ」


「だから……」


「ごちゃごちゃ言ってないで始めるよ!」


――――――――――――――――――――


ちなみに私、辞書片手にがんばってはいますが、結構怪しいのであくまで参考までに。


――――――――――――――――――――


「まずタイトル!」


「難しいのは異世界転移ですか?」


「そうだね……」

「I'm not summoned to the different world」

「かな?」


「直訳すると?」


「私は異なる世界に召喚されていない、だね」


「召喚?」


「まあ、召喚でしょ」

「転移は訳すのが難しいから、召喚ってことで」

「設定的には召喚でも間違ってないし」


「まあ、そうですね」


「次は」

「Here may be in the -system error-orld」

「訳はここは-システムエラー-界の中かもしれない」


「システムエラーの位置はどういう意図が?」


「裏話をすると、ここのタイトルは『ここはゲームの世界らしいです』なんだよ」

「だけど、システムエラーで『ゲームの世』が削れてるんだ」


「なるほど」


「それで、英文がね」

「Here may be in the game worldが元なんだけど」

「ここからgame とworldのwを削って日本語に合わせてるの」


「へー、ちゃんと考えてるんですね」


「当たり前だろ!」

「こんなこと、翻訳ツールはできないからな」


「ちなみに『らしいです』と日本語にあるが、これはそのまま訳すとめんどくさいので、『かもしれない』に変更したよ」

「大して意味は変わらない……かな?」


「そして、後半だ」


「ちょっとおかしなゲームを攻略しなきゃいけなくなりました、ですね」


「むしろ長いほうがやりやすいかな」


「I gotta clear the little strange game」

「私は少しおかしなゲームをクリアーしなきゃいけない、でどうだ」


「『なりました』が消えてません?」


「そうなんだよ」

「ここが翻訳の難しいところだよね」


「いっそのこと……」

「I don't have the other way except to clear the little strange game」

「私は少しおかしなゲームをクリアーする以外の道(方法)は持っていない、とかどうだい?」


「だいぶ変わったような……」


「でもニュアンスは伝わるだろう?」

「しなきゃいけない感とか」


「え~」


「そもそも完全に翻訳しようというのが、間違いのもとだからね」

「大事なのは相互のニュアンスが通じているかだと私は思っているよ」

「英文を読んでしっくりくるかが大事なんだよ」


「そうですか……」


「管理人君も飽きてきたようだし、ここらで締めようか」


――――――――――――――――――――


「今日のおさらい!」


「小説のタイトルですね」


「そうだ」


”I'm not summoned to the different world !?”

"Here may be in the -system error-orld"

"I don't have the other way except to clear the little strange game"


「だよ!」

「最後は私のお気に入りの後者の訳を採用したよ」


「ではでは、続きはまた次回~」


「次回もこれやるの!?」

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