第4話 大武術大会 最終日

(場面転換 翌日、ナグシャムの会場)

司会者

「さぁ!!とうとう!!

とうとうこの日がやってまいりました!!!


総勢130組から始まった歴代最高規模の今大会!!

数多の強敵を退け、今大会の栄光を手にするのは!!

一体!!どちらだというのか!!


第81回ガルレア大陸大武術大会!!

決勝戦の開催を!!


ここに!!宣言させていただきます!!!」

観客 

「わぁぁぁーーーーーーーー!!!」

司会者

「それでは、決勝戦前のあいさつを!!

ガーネリ様よりいただきたいと思います!!」

ガーネリ

「はい。」

(ガーネリが壇上に上がろうとする中で場面転換 控室)

ナユタ

「今頃はガーネリ様のあいさつが始まっているころですね・・・」

アルド

「そうなのか。

・・・・もうすぐ最後の試合が始まるんだな。」

ナユタ

「そうですね。

なんだか長いようであっという間でした。


・・・・・・・・。

本当にここまでこれたんですね。


最初にアルドさんに声をかける前は、ここまで来れるなんて想像もできていませんでした・・・・


本当に、アルドさんにはなんて感謝をすればいいのかわかりませんね。」

アルド

「ここまで来たんだ。

いまさらそんなことは気にしなくてもいいよ。


それに、今は勝つことだけを考えてくれ。

俺も全力を尽くすよ。」

ナユタ

「はい。絶対に勝ちましょう。」

スタッフ

「アルド選手・ナユタ選手。

もうすぐ試合開始です。」

アルド

「ああ。わかった。

行こう!!ナユタ!!」

ナユタ

「はい!!」

(場面転換 ナグシャムの会場)

司会者

「ご来場のみなさま!!お待たせしました!!

それでは選手の入場です!!」

観客 

「わぁぁぁーーーーーーーー!!」

(アルド・ナユタが入場 歩いてくる、歩きながらセリフに入る。可能なら紙吹雪も飛ばしてほしいです)

司会者

「先に入場してきたのはアルド選手・ナユタ選手です!!

大会常連のリチャードマスク選手・ゴブリンマスク選手に続き、

優勝候補のシグレ選手・アカネ選手に勝つ大番狂わせ!!」

(会場にアルド・ナユタが到着)

「この勢いのまま!!優勝も勝ち取ろうというのか!!

今大会最大のダークホースが!!

今!!舞台に降り立ちました!!」

観客 

「わぁぁぁーーーーーーーー!!」

観客A

「ナユタくーん!!頑張れーー!!」

観客B

「西の大陸の剣士さんも頑張れーー!!」

アルド

「すごい声援だな・・・」

ナユタ

「そうですね。

僕たちもこの応援にこたえられるように頑張りましょう。」

司会者

「そして!!次に入ってきますのは・・・」

(シオウ・ゲンジが歩いてくる)

「今大会、一回戦・二回戦をたった一人で勝ち抜くその実力!!

いまだ底が見えません!!


決勝戦も、その実力で圧倒するのか!?


シオウ選手・ゲンジ選手の入場です!!」

観客 

「わぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!!!!」

観客 

「いけーーーシオウーーーー!!!」

観客 

「あのシビれる勝利を今日も見せてくれーーーー!!」

シオウ

「・・・・・・・・。」

ゲンジ

「シオウ。今日も頼みますよ。」

シオウ

「・・・・・承知した。」

司会者

「勢いに乗るナユタ選手・アルド選手が優勝を持っていくのか!!

それともシオウ選手・ゲンジ選手がその実力を知らしめるのか!!


本日も目が離せません!!!


それでは試合・・・・・」

観客 

「キャーーーーーーーーーーー!!」

司会者

「あ、あれ・・・?

い、一体どうしたのでしょうか!?」

(ナグシャムの街に魔物が入り込んでいる)

魔物

「ぐるおぉぉぉーーーーー!!!!」

観客 

「う、うわぁぁーーーー!!

ま、魔物だぁぁーーーーー!!」

武術長

「な!?

なぜ町の中に魔物が出るのだ!!

警備は何をやっている!?!?」

(フードの男が笑っている)

謎の男

「ははははは!!!

いい気味だ!!!


このまま大会をめちゃくちゃにしてしまえ!!!

わははははは!!!!」

(フードの男が走って逃げていく)

シオウ

「・・・・・!!」

アルド

「くそ!!

何がどうなっているんだ!!」

ナユタ

「そんなことを言っている場合じゃありません!!

このままじゃたくさんの人に被害が・・・!!」

(観客の一人が逃げようとして転ぶ)

観客 

「う、うぅ・・・・」

魔物

「ぐおおぉぉーーーーー!!」

武術長

「はぁぁぁぁ!!!」

(武術長が魔物を殴り倒す⇒魔物が倒れる)

武術長

「マオマオ!!私が魔物をひきつける!!

その間に皆を避難させろ!!」

マオマオ

「はい!!

皆さん!!こっちです!!

落ち着いて避難してください!!」

魔物 

「ぐるるるる・・・・!!!」

(追加の魔物が武術長に迫る)

武術長

「くそ!!

数が多すぎる!!このままでは・・・」

(離れた場所で観客が魔物に襲われている)

観客 

「キャァーーー!!

武術長

「!!

まずい!!間に合わん・・・!!!」

ナユタ

「あぶない!!!!」

(ナユタが魔物の攻撃から身を挺して観客を守る)

武術長

「な!!

あやつ!!」

マオマオ

「!!

ナユタ!?」

ナユタ

「だ、大丈夫ですか・・・?」

観客 

「は、はい・・・

わたしは大丈夫ですが・・・・」

アルド

「ナユタ!!」

(アルドが魔物を切り倒す)

アルド

「おい!!

大丈夫か!?」

ナユタ

「はい・・・大丈夫です・・・。

あなたも早く逃げてください・・・。」

観客 

「は、はい・・・・」

(観客が逃げていく)

アルド

「ナユタもその傷じゃ・・・

一度避難するんだ!!」

ナユタ

「駄目です!!」

アルド

「な・・・!!

 だけどその怪我じゃ!!」

ナユタ

「関係ありません!!


 マオマオと結婚するということは・・・

 武術長の一族に加わろうということ・・・


 そんな自分がこの場から逃げたら・・・

 二度とマオマオに・・・武術長に・・・

 顔向けできません!!」

武術長

「・・・・・・・!!」

マオマオ

「ナユタ・・・・・!!」

ナユタ

「僕は、誰一人傷つけさせない!!


 アルドさん!!

 協力してください!!」

アルド

「ナユタ・・・。


 わかった!!

 一緒にやるぞ!!」

(戦闘開始 勝利後、イベント)

ナユタ

「はぁ、はぁ、はぁ・・・」

アルド

「くそ・・・数が多い・・・


(それに・・・ナユタももう限界だ。早く何とかしないと・・・!!)

(魔物がナユタの後ろから迫る)

魔物 

「ぐるおぉぉぉーーーーー!!」

アルド

「まずい!!」

アカネ

「はぁぁぁーーーー!!!」

(アカネが魔物を切り倒す)

アルド

「!!

 これは・・・アカネか!!

シグレ

「俺もいるぞ!!」

(シグレが魔物に切りかかる)

シグレ

「すまん!!遅くなってしまった!!」

ナユタ

「あなたたちは・・・

 ありがとう・・・ございます。」

シグレ

「なっはっは!!

 礼など不要だ!!


 それよりもだ!!

 武術大会に参加した者たちに声をかけておいた!!


 まもなく増援が到着するはずだ!!」

(後ろから武術会参加者(リチャードマスク達など)がやってくる)

リチャード

「薬屋の兄ちゃん!!よく持ちこたえてくれた!!

 あとは任せてくれ!!」

ゴブリン

「えぇ!!いくわよ!!

 みんな!!」

参加者

「おぉ!!」

アルド

「すごい・・・こんなにたくさん来てくれるなんて・・・」

ナユタ

「皆さん・・・ありがとうございます・・・

 うっ・・・」

(ナユタが倒れる)

アルド

「お、おい!!ナユタ!!

 大丈夫か!!」

(場面転換 紅葉街道にてフードの男が走っている)

謎の男

「はぁ、はぁ、ここまで逃げればもう大丈夫だろう・・・


 くくく・・・あんな予選で俺の実力をわかった気になりやがって・・・

 目にもの見せてやったぜ!!」

???

「何を見せてやったというのだ?」

謎の男

「!?

 お前は決勝の・・・」

シオウ

「貴殿の作戦なら失敗に終わったぞ。」

謎の男

「な・・・!?

 この大陸にない魔物寄せのお香を使ったんだぞ!!

 解決策がそんな簡単に出るわけ・・・」

シオウ

「それについては、たまたま異大陸の商品に詳しい女商人がいたのでな。

 解決策を教えてくれたのだ。


 魔物についても私の幼馴染が大会参加者を率いて掃討しているころだろう。」

謎の男

「なっ!!

 そんな都合よく・・・」

シオウ

「さて、残すは貴殿をとらえるのみだ。

 悪いが投降してもらおう。

謎の男

「だ、誰が投降なんて・・・」

シオウ

「嫌だと申すか・・・」

(シオウが刀を構える)

 それでは貴殿を切った後、ナグシャムまで連れて行かせてもらう。」

謎の男

「な・・・そんな・・・」

シオウ

「覚悟!!」

謎の男

「わ、分かった!!

 投降する!!投降するから切らないでくれ!!」

(シオウが刀を止める)

シオウ

「ふむ。賢い選択だ。

 私もむやみな殺生は好まぬ。」

(謎の男に近づく)

「それではナグシャムまで戻るとしよう。」

(男を連れてシオウが歩き出す)

(場面転換 ナグシャムの宿)

ナユタ

「・・・・・うーーん。」

マオマオ

「!!

 ナユタ!!


 よかった・・・気が付いたのね。」

ナユタ

「マオマオ・・・?

 ここは・・・?」

(ナユタが起き上がる)

「は!!

 武術大会は!?決勝戦は!?」

マオマオ

「落ち着いてナユタ。

 寝ていたといっても一時間もたっていないわよ。」

ナユタ

「そ、そうなんだ・・・


 あれからどうなったんだい?」

マオマオ

「そうね・・・

 ひとまず結論からいうと・・・

 無事に騒動は収まったわ。


 首謀者も捕まったそうだし、被害についても今のところは大きなものは出ていないそうよ。」

ナユタ

「そっか・・・

 みんなが協力してくれたおかげだね・・・」

マオマオ

「えぇ。

 みんなが協力してくれたおかげでたいした被害もなく解決できた・・・


 だけどその中でも一番に助けてくれたのはあなただったわ・・・」

ナユタ

「・・・・・・・・。」

マオマオ

「本当にありがとう。

 父が心命を懸けて臨んでいるこの大会を、本気で守ってくれて・・・」

(マオマオが後ろを向く)

「こんな私に、本気で向き合って、こんなところまで来てくれて・・・


 ・・・・・・・。

 ねぇ、ナユタ・・・」

ナユタ

「なんだい?」

(マオマオがナユタに向き合う)

マオマオ

「多分、私の結婚相手はこのまま決勝で勝った相手になると思う。

 お父さんは、自分の言ったことは簡単に曲げない人だから・・・」

ナユタ

「・・・・・・・。」

マオマオ

「わたしと一緒にどこか遠くに行こう?

 ナユタと一緒なら・・・わたし・・・」

ナユタ

「・・・それはだめだよ。

 僕と一緒に行ったら、君の望みは叶わないじゃないか。」

マオマオ

「それは・・・」

ナユタ

「君の望みは、お父さんの支えになること、お父さんと一緒にこの国のために働くこと、いつも言ってたじゃないか。

 

 だから・・・

 次の試合、絶対に勝つよ。」

マオマオ

「そんな体で何言ってるの!!

 魔物にうけた傷も全然癒えてなくて、さっきまで寝込んでたのに・・・」

ナユタ

「僕は君の楽しそうに未来を話す笑顔が好きなんだ。

 そしてそれを支えたい、一緒に頑張りたいと思う。


 そのためには、絶対にこの武術大会を成功させないといけない。

 決勝戦という大舞台から逃げちゃいけないんだ。」

マオマオ

「だけど・・・」

(ナユタが立ち上がる)

ナユタ

「心配しないで。

 きっと勝ってみせるから。


 その時は、もう一度武術長にあいさつさせてほしいな。」

(マオマオがうつむく)

マオマオ

「・・・・・・・・。」

(マオマオが胸に手を当てるポーズでしゃべる)

「わかった。信じる。

 わたし・・・見てるから!!」

ナユタ

「うん!!

 行ってくる!!」

(ナユタが外に歩き出す)

マオマオ

「頑張って・・・ナユタ・・・」

(場面転換 外でアルドと合流)

アルド

「・・・本当に大丈夫なのか?」

ナユタ

「アルドさん・・・。

 もしかして全部聞いてたんですか?」

アルド

「い、いや・・・

 盗み聞きするつもりはなかったんだけど・・・」

ナユタ

「いえ。アルドさんには隠すつもりはなかったので大丈夫ですよ。


 大体はさっき話した通りです。

 このまま決勝戦を戦おうと思います。」

アルド

「・・・ナユタの気持ちはわかったよ。

 けど・・・」

ナユタ

「・・・やはりアルドさんは反対ですか?」

アルド

「・・・・・・。

 正直に言うとその傷で戦うべきじゃないと思う。」

ナユタ

「・・・・・・。」

アルド

「けど、ナユタがやるって決めたんだ。

 俺はそれを全力で手伝う。

 絶対にナユタを武術長に認めさせてみせるよ。」

(ナユタがうつむく)

ナユタ

「本当に・・・あなたという人は・・・」

(ナユタがうなずく)

「ありがとうございます!!

 決勝戦、よろしくお願いします!!」

アルド

「あぁ!!行こう!!」

(場面転換 決勝戦の舞台)

司会者

「みなさま大変ながらくお待たせしました!!

 アクシデントにも見舞われましたが!!これより!!

 決勝戦を再開させていただきます!!」

観客 

「わぁぁぁーーーーーー!!!」

司会者

「それでは両選手に登場していただきましょう!!

 アルド選手・ナユタ選手、そして、シオウ選手、ゲンジ選手の入場です!!」

(両方の選手が舞台に上がる)

観客 

「わああぁぁぁぁーーーー!!」

観客B

「シオウ選手――――!!

 犯人を捕まえてくれてありがとーーー!!」

観客C

「ナユタ選手も魔物からまもってくれてありがとーーー!!」

司会者

「両選手すさまじい人気です!!

 果たしてこの試合!!勝つのはどっちなのか!!」

(アルド、ナユタ、シオウ、ゲンジに画面ズーム)

シオウ

「・・・貴殿のその傷は・・・。」

アルド

「っ!!」

ナユタ

「・・・・・・。

 やはりばれてしまいましたか・・・


 けど、心配はいらないですよ。

 決勝戦、勝たせていただきます。」

シオウ

「・・・・・・。

 その傷で、本当に私たちに勝てると思っているのか?」

ナユタ

「・・・思ってますよ。

 絶対に勝ちたいって。


 負けられない理由があるから戦うんです。」

(ナユタが武器を構える)

「シオウ選手!!

 本気で勝ちにいかせていただきます!!」

シオウ

「・・・強い意志だな。

 本当に・・・。」

ゲンジ

「シオウ?

 まさかとは思いますが・・・」

シオウ

「わかっている。

 主命には逆らわぬ。

(シオウが武器を構える)

 貴殿にも負けられない理由があることはわかった。


 だが私も、私自身の忠義の為に戦わせてもらう!!」

ゲンジ

「今回は私も参加させてもらいますよ。

 シオウが心配というわけではないですが、念のためにね。」

(アルドも武器を構える)

アルド

「ナユタは俺が支える!!

 絶対に勝つぞ!!」

司会者

「それでは試合・・・・開始です!!」

(銅鑼の音が鳴る)

観客 

「わあぁぁぁーーーーーー!!」

(画面が空にスクロールし、画面が暗転 場面転換 ナグシャムの宿)

ナユタ

「う、うーーん。」

マオマオ

「!!

 よかった、気が付いたのね!!」

アルド

「ナユタ!!

 体は大丈夫か!!」

ナユタ

「アルドさん、マオマオ・・・。

 ここは・・・。」

(アルドとマオマオがうつむく)

アルド

「・・・・・・。」

マオマオ

「それは・・・・。」

ナユタ

「・・・・・そうですか。

 僕は・・・負けたんですね。」

アルド

「ごめん・・・ナユタ・・・。

 俺がナユタを支えるなんて言っておきながら・・・」

ナユタ

「アルドさんが気に病むことじゃないですよ。

 アルドさんがいなければ、そもそもここまで来れなかったんです

 

 本当に・・・ありがとうございます。」

アルド

「・・・・・・。」

マオマオ

「け、けど・・・本当にすごい試合だった!!

 ナユタも、アルドさんもすごく強かった!!

(マオマオがうつむく)

 本当に、本当に・・・・!!」

ナユタ

「・・・・・・・。

 ありがとう。マオマオ。

(ナユタがベットに寝そべる)

 すいません。

 少し、試合の疲れが出たみたいです。

 しばらくの間・・・一人になってもいいですか。」

アルド

「・・・わかった。

 俺達は、しばらく外に出てるよ。」

マオマオ

「ナユタ・・・私・・・。」

ナユタ

「ごめん、マオマオ。

 今だけでいいから・・・」

マオマオ

「・・・わかった。」

(アルドとマオマオが部屋の外に行く)

(ナユタがベットに倒れこむ)

ナユタ

(なんだか、どっと疲れたな・・・)


(ほんきで勝とうと思ってた。勝ちたいと思ってた。)


(だけど・・・)

(扉がノックされる)

ナユタ

「・・・?

なんだろう?」

???

「邪魔するぞ。」

(武術長が入ってくる)

ナユタ

「あなたは・・・!?」

武術長

「ふん。想像通りひどい顔だ。

 一人で腑抜けていたのか?」

ナユタ

「・・・・・・。」

武術長

「・・・まぁ、今日はそういうことを言いに来たわけではない。


 マオマオの結婚相手についてだ・・・」

ナユタ

「!!

 それは・・・!!

武術長

「ふん。貴様には悪いが、マオマオに伝えた通りだ。

 今大会の優勝者に話を持ち掛けることにした。」

ナユタ

「・・・・・・。

 そう・・・ですか・・・。」

武術長

「シオウ選手は今回の事件の首謀者を捕まえた功労者だ。

 それだけではなく、魔物を街によびよせたお香の除去、

 今大会を優勝した実力、我が一族に入るのに相応しいといえる。


 そう思っていたのだがな・・・。」

ナユタ

「・・・え?」

武術長

「ふん。

 あやつは今大会が終わってから早々に行方をくらませてしまったのだ。


 経歴も不明な者たちだ。

 どこに行ったのかも予想がつかぬ。」

ナユタ

(それは・・・大会運営者である武術長に調べられないわけ・・・)

武術長

「そうなってくると準優勝の貴様が候補にあがってくるというわけだ。」

ナユタ

「!!

 それって・・・!!」

武術長

「早とちりするなよ。

 貴様だけの実力ではこの舞台に来ることすらできなかったのだ。

 マオマオトの結婚は認めん。


 ・・・ただ、貴様がいなければ怪我人が出ていたのも事実だ。

 その点については感謝している。


 だから・・・


 ・・・マオマオとの交際は認めてやる。」

ナユタ

「・・・!!!


 ありがとう・・・ございます・・・!!!

 武術長・・・!!!」

武術長

「ふん。

 私は大会の後始末があるので先に行く。

 それではな。」

ナユタ

「あっ!!

 それなら僕も何かお手伝いを・・・。

武術長

「いらん!!

 そんなことよりもやるべきことがあるだろう!!」

ナユタ

「!!

 そ、そうですね・・・。

 ありがとうございます!!武術長!!」

(ナユタが部屋を出ていく)

武術長

「ふん。

 せいぜいマオマオを失望させないようにしろ。」

(場面転換 ナグシャムの街中 マオマオとアルドがいる)

ナユタ

「マオマオ!!アルドさん!!はぁ、はぁ、見つかってよかった!!」

マオマオ

「ど、どうしたのよ・・・そんなに血相を変えて・・・

 それに今は安静にしていないと・・・」

ナユタ

「それどころじゃないんだ!!

 さっき・・・ゴホッ!ゴホッ!」

アルド

「お、おい!!

 大丈夫か!!また傷が開いちゃうぞ!!」

ナユタ

「す、すいません・・・。

 街中を走り回っていたもので・・・

 そ、それよりも・・・」

マオマオ

「な、なに?」

ナユタ

「武術長が・・・

 僕たちの交際を認めてくれるって!!」

マオマオ

「・・・・・・!!!」

アルド

「ほ、本当か!!

 やったじゃないか!!」

ナユタ

「はい!!

 アルドさん・・・本当に、本当にありがとうございました!!

 アルドさんがいなかったら、僕は・・・。」

アルド

「お礼なんて今更いいよ。

 それに俺なんかより今はマオマオだろ。」

(マオマオがプルプルしている)

ナユタ

「そ、そうですね。

 だから、マオマオも・・・

 ・・・マオマオ?」

マオマオ

「・・・・・・。」

ナユタ

「あ、あれ?どうしたんだい?」

マオマオ

「・・・かった。」

ナユタ

「マ、マオマオ?」

(マオマオがナユタに抱き着く)

マオマオ

「よかった・・・本当に・・・

 ナユタ・・・!!」

ナユタ

「マ、マオマオ!?

 い、息が・・・」

アルド

「お、おい!!ナユタ!!

 マオマオ!!ナユタが・・・」

マオマオ

「ナユタ・・・ありがとう・・・

 本当に・・・嬉しい・・・」

ナユタ

「ぼ、ぼくも・・・すごく・・・

 嬉しい・・・よ・・・・」

アルド

「ナ、ナユタ!?

 マオマオ!!ナユタの顔が真っ青に!!」

マオマオ

「・・・え!?

 ナ、ナユタ!?」

(マオマオが離れる)

ナユタ

「ゴホッゴホッ・・・。

 ま、また医務室送りになるところだった・・・。」

マオマオ

「ご、ごめん・・・

 嬉しくてつい・・・」

ナユタ

「ふ、ふふふ・・・・

 だけど、マオマオらしいや。」

マオマオ

「も、もう・・・

 いいじゃない。今日くらい・・・」

ナユタ

「そうだね。

 今日くらい、こんなにうれしくなってもいいよね。


 ねぇ、マオマオ。

 ・・・改めて言わせてほしい。」

マオマオ

「・・・なに?」

ナユタ

「まだ僕は、武術長に結婚を認めてもらえるほど強くなれてはいないけど・・・


 君の夢を支えるために、君の隣にいたいんだ。


 君のお父さんに認めてもらえるように、今よりももっと強くなって見せる。

     

 だから・・・これからも君と一緒にいさせてほしいんだ。」

マオマオ

「・・・・・・。


 そんなの・・・答えは最初から決まってるわよ。

 私も・・・あなたと一緒にいさせてほしい。


 これからもよろしくね。ナユタ。

(画面が上にスクロール、空に画面が動き、暗転

 スクロール中に、画面端でマオマオがナユタに抱き着いてクエスト終了)

Quest completed

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