最初と最後

「ひなちゃん、メンバー入りおめでとう。」

 メンバー発表が終わってすぐ、部活前に声をかけてくれた先輩がまた声をかけてくれた。

 先輩は今年のこの大会を最後に部活を引退する。私が入部した当時から部活のことを教えてもらったり、趣味も同じだったりでとても仲が良くて、私の憧れの人でもある。


「あかり先輩!ありがとうございます!」

 私がそう言うと、先輩は『いや〜、ついにひなちゃんもメンバー入りか〜、先輩嬉しいなぁ....』と言ってくれた。


「でも、ここからです。大会でベスト出せないと恥ずかしいですし。」


「うん、でも無理しすぎは良くないからね。まぁのんびりいこう。」

 先輩はいつも、私のことを気遣ってくれる。私が悩んでいる時には、ゆっくり話を聞いてくれて....本当に感謝しかない。


「悔いのないようにしないとだ.......。」


「お互いにね。」

 自分のことも、相手のこともしっかり見ている先輩。私は先輩のそういう所に憧れた。


「あ、先生きたよ。」


「あ、はいっ。」

 私には、先輩に何が返せるだろう。夏休みに入ってからはずっとこんなことを考えている。


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