世界編 #09 土の魔法

 聞谷ききがやいんせきへきしゅうへんは、6ねんまえたちいりきんいきとなった。しょうとはいえがんぺきほうらくひんぱつしており、しんなどによるがけくずれがされているからである。

 せつあきおんは10えるがなくなり、ふゆじょうせつがいはつする。そのためほとんどのこうつうもうのうせず、みちというみちが30センチをえるたかさのせきせつおおわれてしまう。

さむいですよ、もうかえりましょうよ⋯⋯。ガスマスクもつらいんじゃないですか?」

しょうねん、あったかくなるほうとかないの?」

「ないですよ。」

てきせいは?」

「“つち”だけです。」

 このだいにはじゅつけんきゅうすすんでいて、“てきせい”とばれる、わばじゅつぶんおおはっけんされていた。“ねつ”や“つち”、“かぜ”などのいっぱんてきてきせいだけでなく、しょうせいたかい“ぎんよく”、“みず”、“ていこう”、“じゅうりょく”といったものまでそんざいした。しゅようじゅつ使つかえるにんげんすべてのぶんしゅうとくのうというわけではなく、てきせいふくすうあわせているということがおおい。

「え? はやってよ、つちのこさがしのそくせんりょく じゃない!」

「いや、“つち”ってってもツチノコとはかんけいないんじゃ――」

なにってるのよ。あいどろなんだから、せんばいとっきょでしょう?」

どろ? ツチノコってへびじゃないんですか?」

 すうふん二人ふたりはおたがくちにしていた“つちのこ”と“ツチノコ”がまったくのべつものであるとかいした。

「⋯⋯つまり、つちのこってのはへびのことじゃなく、うごどろにんぎょうだってことですか?」

「そういうこと。」

 しょうねんためいきをつく。

けい、いるはずないじゃないですか⋯⋯。」

「そんなことないって! きみがっこうならったはずだよ、あか1げんせんそう。」

「そりゃ――ならいましたけど。」

しろについては、あまりくわしくやってないんでしょうね。がくせつかれてるぶんは、きょういくではあつかいにくいから。」

 しょうじょは、ヘッドライトをけてしんようじゅりんはいっていく。しょうねんあわててあとう。

しろてきせいは“つち”。てきせいつうだけど、そののうりょくはんじょうなほどひろくて、どろにんぎょうたせて使えきすることができたらしいの。」

「ちょ⋯⋯ちょっとってくださいよ!」

 しょうじょのスニーカーはおくおくへとすすんでいく。

「そのどろにんぎょういまでものこってて、300ねんかけていんせきへきこわそうとしているの。」

いんせきへきこわす? なんでです?」

「それがしろのぞみだからよ。かれは、そとかいしんてんもとめたの。あか1げんせんそうもそのけんそうきたものだし⋯⋯」

 みぎひだりぶくろをするしょうじょ

「ちょうどかった。わたしせんだいからのでんしょうだんぺんてきってるだけだし、ほんにんいてみましょう。」

 かのじょがぽんといたのは、ぞまりかただった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る